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目次
書籍情報
届かせる技術
ヒットを「狙って生み出す」思考と仕組み

早川敬之
ETV特集やNHKスペシャルなど、ディレクターとしてドキュメンタリー制作にかかわる。
Netflix、Alibaba、Google等の海外配信事業者むけにオリジナル連続ドラマ・アニメ等を制作する。
21年からAmazon Prime Videoオリジナルコンテンツ制作者として『バチェラー・ジャパン』などのヒット作にかかわる。
文藝春秋
- はじめに
- 第1章 “配信戦国時代”の「届かせ方」
- オリジナルコンテンツこそが重要
- 予算は日本の数十倍
- 第2章 ハリウッド流の届かせ方
- グリーンライトで届かせる
- 「企画書」の作り方
- 「Above the Line」 と 「Below the Line」
- 問われる「客観的数字」
- 人口動態の数字も重要
- 隙があれば徹底的に叩かれる
- 会議時間の目途は三十分
- 企画は会議でアップデートされる
- 「偽陽性」と「偽陰性」の心理バイアス
- 七割勝てるならグリーンライト
- この仕事の醍醐味
- 「投資判断」を左右する五つの要素
- その企画が”そそる”かどうか
- 大事なのは膨らみの面積
- PMFという三つの指標
- 第3章 ハリウッド流の「届かせ方」
- 徹底的な「分業システム」で届かせる
- 脚本は「ライターズ・ルーム」で生まれる
- 司令塔は「ショーランナー」
- 「スクリプト・ドクター」の見事な手術
- 日本との違いは?
- 契約は細部にわたる
- 浮遊する「貸し借り」
- デベロップメント・コスト
- リリース前のリサーチ 「シザーハンズ」と呼ばれた男
- リリース直後が命
- フィードバックも徹底的に
- 第4章 韓国ドラマの「届かせ方」
- 人気ドラマ量産の秘密
- 配信の文法を知り尽くす
- 政治にエンタメ軸を通す
- 「386世代」が流れを主導
- ポン・ジュノの「闘争」
- 配信ドラマ活況の副作用
- 第5章 シカゴ大学で痛感した「数字こそ命」
- とにかくデータ、データ
- 「一生、チームに貢献できない」
- 「タカ、たまには良いこと言うね」
- 配信プラットフォームの発想との相似
- 数字は万能の説得ツール
- そしてフジテレビへ
- 第6章 フジテレビ時代に学んだ「届かせ方」
- 東日本大震災が起きて
- リドリー・スコット作品との「出会い」
- リドリーにメールを出す 外堀を埋める
- フジテレビの胆力/Googleとの協業
- 「テラスハウス」で学んだこと
- 「これって、ターゲットがズレてませんか?」
- 配信ってこういうことなんだな
- 「ポケモンGO」の届かせ方
- 世界が変わるという予感
- フジテレビ幹部が出資に反対
- 株価はストップ高
- シリコンバレー効果
- 大義があれば、アクションにつながる
- フジテレビの「届かせ方」
- 「おいしい話」が大好き
- ユニークな組織編成
- 企業内競合を厭わない
- 「めちゃイケ」の届かせ方
- NHKとの違い
- フジテレビの失速
- 第7章 配信事業者時代に知った「届かせ方」
- 自分が震えるかどうか
- 再浮上した「沈黙の艦隊」
- 「北野映画」との出会い
- 企画は突然、目覚める
- 黄金時代の息吹
- 北野映画とハリウッドのマッチング
- 撮影現場に足を運ぶ
- アメフトとラグビー
- 「何をやるか」よりも「誰とやるか」
- 第8章 私の大事な「届かせ方」
- 「届かないこと」について
- 「つくる技術」の伝承
- ドキュメンタリー育ちの名監督たち
- 「体験価値」で届かせる
- 「逆張り」で届かせる
- インサイドワークで届かせる
- 越境者が届かせる
- ブローカレッジとクロージャー
- 「つなぎ役」を担いたい
- 必要なのは両方だ
- 創造性のクレブス回路
- 北野組をクレブス回路で分析すると
- 壊して創り、熱狂を生む
- 「ポケモンGO」の循環
- ローカルだから届く
- 発信自体も田舎から
- 国境を越えていく物語を
- 「令和元禄人工知能運動」のすすめ
- 第9章 エンタメは日本の有望産業だ!
- エンタメは「買い」だ
- 非常に強い日本のIP
- 日本の逆襲が始まる
- エンタメ立国へ
- 新しい生態系
- 日本語字幕がクールに
- 物語とテクノロジーの融合
- アカデミー賞を狙う!
- ミレニアムブリッジ
- インディーズバンドの野望
- ラストワンマイルの勝負
- あとがき
書籍紹介
本書では、NetflixやAmazon Prime Video、ディズニープラスといった配信プラットフォームが次々とメガヒットを生み出す理由に迫ります。
ハリウッド流の企画書作成や分業システム、韓国ドラマの量産手法など、海外の先進的なアプローチを具体的に紹介しながら、日本のテレビ局時代や配信事業者時代の実体験も織り交ぜて語られています。また、シカゴ大学で学んだデータ活用の重要性や、ビジネスシーンに応用できるヒントも満載です。エンタメ業界の方だけでなく、企画やマーケティングに携わるすべての人に役立つ内容だと思います。
予算規模の違いやショーランナーの役割、データに基づく意思決定など、具体的な事例を通じて「どう届けるか」という視点が鮮やかに描かれています。読み進めるうちに、自分の仕事やプロジェクトを振り返りたくなるはずです。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
「分業システム」で届かせる

FODのような国内系事業者でも、ネットフリックスのようなグローバルプラネットフォームでも、「何人観るか」が重要なことです。そして、できるならエピローグまで観てほしいと考えます。
ドラマを見始めてから間隔を開けずに大量に視聴する「ビジウォッチング」、一気見の心理をビジネスのモデルに組み込んでいるのが、配信プラットフォームです。テレビドラマの作法に縛られず、全十話は一気に配信します。待たなくても話の続きを視聴できるので、視聴数の減少を抑えることができます。かつてのドラマ視聴のあり方が変わったといえるでしょう。
プラットフォームのドラマの作品づくりを可能にしているのは、脚本の分業です。作品はなんといっても脚本の面白さに左右されます。その脚本を複数の脚本家がチームとして組織されることで、作品を早く完成させることができているようです。
脚本家チームは「ショーランナー」「スクリプト・ドクター」「アイデア屋」「ライター」といった細かい役割分担が存在します。全体像をみる人、直す人、アイデアを募る人、シナリオを書く人といった具合です。メンバーの役割を明確にして、早く、厚みがある脚本ができあがります。
数字は万能の説得ツール

数字やデータ分析は万国共通の万能ツールです。私の投資対象のエンターテイメント業界でも、どんな産業でも分析・戦略立案に関して同じアプローチができます。私が今取り組んでいる仕事は、主観をデータで裏付けしてエンタメに投資するという仕事です。
主観は記憶に大きく支配されます。人それぞれに様々な主幹があります。育った環境、行動様式、習慣、伝統などに影響を受けるでしょう。みんなの主観ばかりぶつけあっていても、収拾がつきません。そこで頼りになるのがデータになっています。そのデータを裏付けしない限り、企画は観客に届くものにはなりません。