国産RPGクロニクル/著者:渡辺範明

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書籍情報

タイトル

国産RPGクロニクル

物語の革命者たち

発刊 2026年4月30日

ISBN 978-4-7816-2474-7

総ページ数 351p

出版社リンク イースト・プレス

著者

渡辺範明

株式会社スクウェア・エニックスのゲームプロデューサーを経て、現在、株式会社ドロッセルマイヤー商會代表取締役。
ボードゲームやカードゲームを中心に様々なタイトルを手掛けるゲームデザイナーでもある。

出版

イースト・プレス

もくじ

  • はじめに
  • 第1章 ポケットモンスター赤・緑 世界一売れている国産RPG
    • 世界一売れている国産RPG
    • ポケットモンスターとは
    • 田尻智とゲームフリーク
    • クインティでゲームクリエイターに
    • ゲームボーイと通信ケーブル
    • 動詞からのゲームデザイン
    • 交換の動機
    • 7年の開発期間
    • ポケモンのゲームデザイン①最終目的はコレクション
    • ポケモンのゲームデザイン②成長しない主人公
    • ポケモンのゲームデザイン③戦闘シーンの再解釈
    • 拡張現実的なゲーム体験
    • 現実由来のモンスター
    • 失われた商機
    • 実体験からゲームを作る
    • 低い期待値でのスタート
    • コロコロコミックとポケットモンスター
    • ヒットの兆し
    • ポケットモンスター青
    • 成功例の乏しかったアニメ化
    • ポケモンを愛してください
    • 「ポケモンらしさ」とは何か?
    • アニメ放送スタート、だが……
    • ポケモンショックを乗り越えて
    • 奇跡の長寿ハード
    • ゲームプロデュースの真髄
  • 第2章 ロマンシング サ・ガ ドラクエでもFFでもないRPG
    • 「第三」の国産RPG
    • ドラクエ・FFとの対比
    • サガシリーズのアイデンティティとは
    • ジャンクでフラットな世界観
    • ゲームボーイで本格RPG!?
    • プレイ環境がゲームの個性を生む
    • 古典RPG的世界観からの逸脱
    • 種族システムが語る、Sa・Gaのジャンク&フラット世界
    • ゲームボーイSa・Ga3部作がもたらしたもの
    • 正統派ファンタジーへ回帰したロマンシング サ・ガ
    • フリーシナリオシステムの実現
    • フリーシナリオがもたらす体験
    • ロマンシング サ・ガ2での継承&発展
    • ロマンをもたらすゲームシステム
    • その後のサガシリーズ
  • 第3章 真・女神転生 国産RPG最大のカルトシリーズ
    • 国産RPG最大のカルトシリーズ女神転生
    • 女神転生シリーズのルーツ
    • 寡作な女神転生シリーズ
    • ゲームスタイルの確立
    • 世界観の確立
    • 10年に1度の新作
    • シリーズの流転
    • メガテンを象徴する三大要素①悪魔召喚プログラムという発明
    • メガテンを象徴する三大要素②時代を映す鏡としての東京
    • メガテンを象徴する三大要素 ③乾いた語り口
    • 現実世界と地続きのゲーム
  • 第4章 moon アンチRPGの系譜
    • アンチRPG
    • moon前史
    • moonゲーム概要
    • アクションリミットが表現する「成長」
    • アニマルの生態を「理解」しないとキャッチできない
    • ラブとは何なのか?
    • ゲーム世界とプレイヤーとの距離感
    • moonが残したもの
    • アフターmoonのラブデリックの系譜
  • 第5章 ソードアート・オンライン RPGモチーフ・ラノベの革命
    • RPGモチーフ・ラノベの代表作
    • (個人的に)ここ20年で最も悔しい作品
    • 完成度が高すぎる先行作品!?
    • ソードアート・オンライン前史
    • 2つの流れの合流地点・オンラインゲームもの
    • 2002年に生まれた2作品
    • 商業出版とアニメ化
    • デスゲーム要素の導入
    • 俺TUEEE要素とデスゲームの両立
    • 「ゲーム」を渡り歩く主人公
    • ジェームズ・ボンド化していくキリト
    • 力を何に使うのか?
  • 第6章 ダンジョン飯 ハイファンタジーの復権
    • ハイファンタジーの復権
    • ダンジョン飯のストーリー
    • ダンジョン飯のゲームらしさ①空間
    • ダンジョン飯のゲームらしさ②時間
    • ダンジョン飯のゲームらしさ③キャラクター
    • 食う者と食われる者
    • ダンジョン飯のゲーム化不可能性
  • 第7章 ファイナルファンタジー16 FFらしからぬFF
    • 『国産RPGクロニクル』以降のFF
    • RPGにおける「戦闘」の意味
    • FF 16 あらすじ
    • 吉田直樹プロデューサー
    • スクウェア・エニックスの開発体制
    • かつてないダークファンタジー路線のFF
    • かつてなく親切丁寧に作られたFF
    • アクションに振り切ったバトルシステム
    • あなたはアクションしてもいいし、しなくてもいい
    • FF1は何を目指し、何を達成したのか
    • FF16における没入阻害要因① インタラクションの弱さ
    • FF16における没入阻害要因② バトルの特殊ルール
    • ゲーム的な盛り上がりと、ストーリー的な盛り上がり
    • FF16における没入阻害要因③ ストーリーの問題
    • 誰も脱落させないファイナルファンタジー
  • インタビュー 押井守 「新たな欲望を作り出す」って、これ以上に楽しいことあるのかな?
    • 「国産RPGクロニクル」の原点
    • 押井流ドラクエの本質
    • 魔王の不在がもたらすもの
    • 勝利条件は自分が決める
    • 押井守のゲームアイディア
    • 世界観の器としてのゲーム
  • おわりに J-RPGの現在地
  • あとがき

書籍紹介

 本書は「国産RPGクロニクル」第2弾として、RPGというジャンルがどのように「物語ること」の可能性を広げてきたのかに焦点を当てています。メインストリームに迎合せず、独自の道を歩んだ革命的な作品たちを丁寧に読み解いていく内容です。特に取り上げられているのは、『ポケットモンスター 赤・緑』『ロマンシング サ・ガ』『真・女神転生』『moon』といった名作群です。これらのゲームシステムや世界観、制作体制の観点から、なぜそれらが革新的だったのかをわかりやすく解説されています。

 また、『ソードアート・オンライン』や『ダンジョン飯』といった小説や漫画も題材に取り上げ、国産RPGがゲームの枠を超えて豊かな物語体験を生み出してきた流れをたどっています。そして、映画監督の押井守さんへのロングインタビューが収録されているのも大きな魅力の一つです。RPGにおける創造性の本質について、深みのある対話が楽しめます。

 渡辺さんはゲームのファンとしてもクリエイターとしても豊富な知見をお持ちです。そのため、解説は単なる作品紹介にとどまらず、開発の裏側や時代背景も織り交ぜながら読み応えがあります。ゲームを長年遊んできた方にとっては懐かしい思い出がよみがえり、ビギナーの方にとってはJ-RPGの奥深い世界への入り口になるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

初代『ポケモン』は期待値が低かった

 『ポケモン』発売当初は、ゲーム専門誌での特集記事はほとんどありませんでした。編集コラムのようなコーナーで紹介される程度のゲームの印象です。

 2000年代に新入社員としてエニックスに入社したとき、先輩プロデューサーが「昔、開発途中のポケモンを田尻さんにみせてもらったことがある」と話したことがあります。「あのとき、アプローチしておけばエニックスからポケモンが発売できたかもしれない」との後悔です。もしエニックスから発売していたら、ポケモンはこんなにメガヒットしてないかもしれないと、自虐ネタで落ち着きました。

 ゲームは作品としてのゲームの出来不出来だけでヒットするものではありません。ゲームをいかに世の中に紹介していくかという、プロデュース次第で10倍100倍にも化けます。任天堂はコロコロコミック(小学館)などでポケモンの漫画を打ち出し、ゲームのアンケートや幻のポケモン「ミュウ」のプレゼント企画、ポケットモンスター青の雑誌限定販売などをキャンペーンしました。話題が沸騰したところでアニメ化と、とんとん拍子に幅を広げていきます。その知名度はポケモンを遊んだことのない人でも、登場するキャラクターを当たり前のように知っているまでになりました。本当にキャラクターIPビジネスの理想形、最高のプロデュース事例と言えるでしょう。

女神転生のルーツ

 もともと「女神転生」シリーズは、ゲームから始まったオリジナルではなく、小説が原作のメディアミックス作品です。小説原作のゲームがシリーズ化するのは、かなり珍しいでしょう。

 主人公は天才高校生、中島朱実です。コンピュータープログラムで悪魔召喚儀式を再現したことで、本当に魔界から悪魔を呼び出すメソッドを開発してしまいます。自ら召喚した悪魔と戦かわなければならなくなるというストーリーです。

 シリーズを通して、東京を舞台として悪魔が生活に入り込む混沌をゲームを通じて体験できます。ホラー作品には、見慣れた日常の風景が一変する感覚を味わうことで、恐怖体験を得られます。現実と地続きに思える感覚こそ、国産RPG最大のカルトシリーズになった原動力ではないでしょうか。

RPGモチーフ・ラノベ作品「ソードアート・オンライン」

 「ソードアート・オンライン」は、RPGをモチーフとした物語小説です。2009年に出版されて以来、TVアニメ、劇場版アニメ、コミック化、ゲーム化などで展開されて、メガヒット作となっています。

 私はずっとこの作品を悔しい気持ちで読んでいました。自分がやりたいことを先にやられたと、嫉妬しています。

 MMORPGの世界をフィクションの小説にする場合に、「ゲーム」という娯楽にすぎない出来事を、いかに読者にとって「重要なこと」として表現できるかという課題があります。ソードアート・オンラインの場合は、ゲームオーバーが死に繋がる設定です。「その設定は必要だな」「いちいち良くできている」などの感想を思わずにはいられません。

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