書籍『トヨタ「家元組織」革命』

※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 トヨタのグローバル企業としての財務面の実績は2021年2年連続で「ヤリス」が国内販売台数のナンバーワンとなり、4~12月期としては過去最高の営業利益を出しました。

 世界の自動車会社の中で他を圧倒し、その結果、競合比較対象企業がGAFAの巨大デジタル企業に移りつつあります。

書籍情報

タイトル

トヨタ「家元組織」革命

世界が学ぶ永続企業の「思想・技・所作」

著者

阿部修平

スパークス・グループ株式会社 代表取締役、グループCEO。スパークス・アセット・マネジメント株式会社 代表取締役社長、CEO。

 1982年4月にノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル(ニューヨーク)に出向し、米国機関投資家向けの日本株のセールス業務に従事しています。欧米資金による日本株の投資運用や個人資産家の資産運用を行ってきたのです。

出版

リンクタイズ/プレジデント社

トヨタEV戦略への誤解

 トヨタのEVに関する戦略について一般的な評価不十分です。誤解されています。

 EVで後れをとっている日本勢のように書かれるケースが多いが、ハイブリッドを含めた電動車でみると国内シェアは主要国でトップレベルであり、圧倒的な技術力を有するリーディングカンパニーです。

 エネルギーは「つくる、運ぶ、使う」の3段階によって成り立ちます。EVだけを生産したところで「使えない」のです。

 また、役550万人もいる自動車産業のインフラの設備と人材の配置を考えると、しっかりとステップは踏む必要があります。

 トヨタはこれまでに電池の開発に1兆円近い投資をして、累計2,000万台以上を生産しています。

 EVに後ろ向きという評価は誤解なのです。

報徳仕法にルーツがある

 トヨタの思想は、「豊田綱領」で明文化されています。その「豊田綱領」のもととなったのが、二宮尊徳の報徳仕法です。

 報徳仕法は、明治初期に大ブームになった「経済活動」の核心であり、影響を受けた経済人は多くいます。渋沢栄一、安田善次郎、御木本幸吉、ほか多数です。

 薪を山から運びながら勉強をするなか、沼地化して捨てられた土地を見つけました。尊徳はそこを開墾してコメをつくるようになり、生活の糧を得たのです。そうして独立した彼は以下のような断りを自身のものとしていきます。

自然はその方に従う者には豊かに報いる

 荒地の力をうまく活用して再建し、繁栄をもたらす経済計画を立てました。

 明治期に報徳仕法が伝播されるようになると、事業家を目指す若者に影響を与えました。社会のために創意工夫をし、生産性向上と価値創造を目指すという考えが生まれたのです。

 豊田佐吉の思想の原点としても結実しています。手先が器用だった佐吉が自動織機という発明できた原点がここにあるのです。

現場の「当たり前」は、世間の非常識

技術屋には技術屋のプライドがあるので、それ以前は経営の観点だけ決められるのがみんな不満でした。しかし、LFA(3000万円のスーパーカー)レベルの開発を指揮されていたこと、ニュルブルクリンクを走るなど社長が携わっていたことを知り、リスペクトするようになったのです。当時、多くの日が働けるようになりました。

 章男社長自ら陣頭指揮をとっていたのです。2005年から関与し、2010にLFAが生産を始めました。

企業を永続させる「ための経営」

 武道では相手が動くまで我慢して動かないことを「ため」といいます。

 トヨタにおける「タメ」は、原価低減を徹底し、利益を生み出す泉をいくつも持つことで実現しています。

 短期的にはムダに見えても「やり続けること」で将来の利益の泉をつくっていく経営です。種を植えて研究開発に投資を続けていくことで、次世代の市場の創造につながることになります。それが「永続性」です。

 トヨタは2010年3月期を8,500億円の赤字計上と予想していました。ところが、トヨタは人員削減をすることなく1兆円以上の原価低減を実現し、実際の決算では黒字に転換したのです。「ため」の経営の結果であると考えられます。

BEVという未来への宣戦布告

 電力発電インフラが脆弱で、電気を自動車に蓄える設備が整備されていません。

 菅元総理のカーボンニュートラル宣言の際に、EV化は全力で取り組みが、実現のためには政治的な支援を中国や米国のように要請したいと述べています。

 オーストラリアに二酸化炭素を運び、クリーンエネルギーで水素を作って、それを車のエネルギーに使うようおとして輸入するという実験も行われています。1社だけでなく政府や他の企業の協力体制を必要としているのです。

 日本は技術で劣っている訳ではないけれど、水平分業社会に体系化できなかったため、産業政策の弱体化や投資の縮小が原因となって、つくっても儲からなくなりました。つまり、政治と経営の問題なのです。

 また、コモディティ化して他国に真似されるのを防止するため、レクサスEVで高付加価値のBEVをつくるという決意なのではないかと感じます。

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