書籍「イノベーションの不確定性原理」

※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 イノベーションこそ不確定な世界を生き抜く処方箋であり、これからもそれは変わらないでしょう。

 とはいえ、イノベーションをはっきりと説明することは困難です。

 イノベーションの発生の仕組みを理解し、次にどんなイノベーションが登場するのかを想像することができれば、イノベーションを創る近道なります。

 本書はそうしたイノベーションの考察の議論をまとめたものです。

書籍情報

タイトル

イノベーションの不確定性原理
Uncertainty Principle of Innovation

不確定な世界を生き延びるための進化論

著者

太田裕朗

早稲田大学ベンチャーズ(WUV)共同代表。京都大学博士。

 カリフォルニア大学サンタバーバラ校にて研究に従事し、2010年より、マッキンゼー・アンド・カンパニーに参画しました。
 2016年からは、株式会社のドローン関連のシステム研究所に参画し、代表取締役社長として2018年東証マザーズ上場しました。(2022年3月退任)

山本哲也

早稲田大学ベンチャーズ(WUV)共同代表。

 日米でベンチャーキャピタル事業に従事しました。産業用ドローンや知能化産業用ロボットの開発する会社に投資し、社外取締役を歴任しています。
 また、「日本版MIDAS LIST」日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング2019年度1位になりました。

出版

幻冬舎

イノベーションとは何か

多くの参加者と参加できる環境が必要

 人間は、次の社会を先読みして真価を計画し実行することなど決してできません。

 生き延びるための試行錯誤が結晶となり、それが社会的に定着して受け継がれていく過程がイノベーションの姿なのです。

 誰もが自由にトライアンドエラーをする環境があることで、変化が生まれます。

 生まれた変化はイノベーションではありません。社会の生活様式に組み込まれて、やっとイノベーションといえるのです。

 多くの参加者とそのトライアンドエラーを保証し、成果を受けいる社会環境が必要なのです。イノベーションの成否は、それが起こる環境があるかどうかにかかっています。

まとめ
試行錯誤が社会的に定着して、はじめてイノベーションになる
誰もが自由にトライアンドエラーを実行できる環境が必要となる
トライアンドエラーを保証し、成果を受け入れる体制が鍵となる

イノベーションを事業化させるには

 経営者や官僚などの組織の旗振り役は、トライアンドエラーがうまくいく仕掛けを考えることです。

 脇役になって下さい。具体的なうんちくを語る必要はないのです。

 環境整備に力を尽くすこと、阻害要因を取り除くことこそイノベーションに繋がります。それがスタート地点なのです。

 特にベンチャーの経営において重要なのは、損失のリスクをできだけ避けるとこです。その上で、大きな利益を逃さないようにバランスを考えなければなりません。不確定性のなかであるからこそ、リスクばかり考えていてもいけないのです。

まとめ
経営者や官僚は、トライアンドエラーができる仕掛けを考えなければならない
運営する側は、具体的なアドバイスをする必要がない
経営において重要なのは損失を出さないこと、その上で大きな利益を逃さない

次世代のイノベーションを探る

クリスパー・キャス9

 2020年のノーベル化学賞を受賞した、遺伝子組み換え技術です。

 エマニュエル・シャルパンティエ博士とジェニファー・ダウドナ博士が2012年に発表されたものです。ゲノム編集が部分的にかつ簡単に行えるものとなっています。

 作物の品種改良や新しい治療法の開発、がんや新型コロナウイルスの研究などに用いられているのです。

量子コンピューター

 2011年に突如としてカナダの企業が量子コンピュータの制作に成功したと発表し、2022年になって日本も導入を加速することを表明しました。

 多くの人が知らないところで、社会実装される段階にきているのです。もう人類は量子コンピューターを手に入れたといっていいかもしれません。

 グーグルは既に、量子コンピューターを利用できるサービスを展開しています。

iPS細胞

 さまざまな細胞に変化できる能力をもつiPS細胞で、人工的に神経細胞をつくり脳の機能を取り戻す研究も進んでいます。

 iPS細胞と光遺伝学の技術開発が進めば、有望な治療が開発されるでしょう。

水素

 二酸化炭素、原油随伴ガス、未使用エネルギーから再生可能エネルギーを用いて製造できる可能性があります。

 地政学的なリスクを受けにくい地域から安価で調達することができるのです。

 エネルギー調達先の拡大につながることが期待されており、長いこと技術が進展してきました。

イノベーションを続けるための道徳や倫理

徳を積むことが求められる

 「人に迷惑をかけない」という単純な道徳基準でよいのでしょうか?

 世界には異なる宗教、信念をもつ多様な人が住んでいます。単に良い悪いの判断だけでは、充分ではありません。

 道徳や善悪の基準を含めそれらを体系的に論じようとする哲学としての倫理学を1度学んでみてはいかがでしょうか。

 道徳や倫理を超え最後に現れるのは、哲学者や宗教家が定義しようとしてきた「徳」ではないかと思うのです。

 イノベーションにせよテクノロジーにせよ、最後にそれを受け入れるかどうかは人類自身であり、それが文明になります。

 これから先、人類が繁栄していけるかどうかは、「徳」を積むことにかかっているではないでしょうか。

まとめ
●宗教をはじめ、いろいろな価値観があるなかで、単純な道徳基準だけでよいのか?
●道徳や倫理を学んだ先に、「徳」がみえるものではないのか?
●人が文明を拓いていくには、「徳」を積むことにかかっているのではないか?

感想

サイト管理人

サイト管理人

「イノベーションを起こせ」と言われれば、カタカナがあってなんだか迫力があります。

そして漠然としているのです。

何の上にイノベーションが起こされてきたのか、どんな革新が起こされていきそうなのか、知りたい方にお勧めの書籍です。

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