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目次
書籍情報
コンテナ海運が世界を動かす

松田琢磨
神奈川大学経済学部教授。
専門分野は海運経済学、物流。
KADOKAWA
- はじめに「経済の血液」としてのコンテナ
- 序章 身近なものの動きから眺めるコンテナ輸送
- 大豆がコンテナで輸入される理由
- 北米西岸から日本まで約2週間
- 運賃、輸送日数以外に考慮すべきこと
- 第1章 「コンテナの動き」で、なぜ世界経済が読めるのか
- コンテナ輸送ネットワークが広げる世界経済
- 生産拠点の分散とグローバルサプライチェーン
- ウォルマートのコンテナ輸入からわかること
- 「先行指標」としてのコンテナ輸送量
- コンテナ輸送量とGDP、マクロ経済指標
- コンテナ輸送量と景気
- コンテナ輸送量と為替レート、消費動向
- [コラム1] ドル建て払いと為替レートの影響
- コンテナ輸送ネットワークが広げる世界経済
- 第2章 経済の血液としての「箱」を理解しよう
- そもそも「コンテナ」とは何なのか
- コンテナはどこで造られ、誰が保有しているのか
- コンテナは誰のもの?
- コンテナはどこで造られている?
- コンテナ輸送の「二大基幹航路」の動向
- 基幹航路での海運会社 (船腹量)のシェアは?
- アジア域内、南米・・・・・・基幹航路以外のコンテナ航路
- ここが 「世界のコンテナ」トップ30
- 日本の港湾の存在感が小さくなっている!?
- マラッカ海峡各港のトランシップ貨物獲得競争
- [コラム2] 近接港と河川港
- コンテナ船が年々大型化している理由
- コンテナ輸送の「単位」と「重量満船」の話
- [コラム3] コンテナ輸送の統計
- [コラム4] コンテナ運賃の統計
- [コラム5] マイナス運賃
- 一体何が、どれくらい、運ばれているのかよ
- アジアから米国へのコンテナ貨物
- 米国からアジアへのコンテナ貨物
- アジア域内航路のコンテナ貨物
- 牧草が米国からコンテナで運ばれる理由 インバランス
- “空コンテナを回送しないといけない問題”どう解消する?
- 海運企業にはどんなところがある?
- ONE(シンガポール/プレミアアライアンス)
- MSC (スイス/単独運 航)
- マースク(デンマーク/ジェミニコーポレーション)
- CMA-CGM(フランス/オーシャンアライアンス)
- コスコ (中国/オーシャンアラ イアンス)
- ハパックロイド(ドイツ/ジェミニコーポレーション)
- エバーグリーン (台湾/オーシャンアライアンス)
- HMM(韓国/プレミアア ライアンス)
- 陽明海運(台湾/プレミアアライアンス)
- 神原汽船(広 島県福山市)
- 琉球海運(沖縄県那覇市)
- [コラム6] 日韓航路
- [コラム7] 内航コンテナ会社
- 第3章 海運物流・コンテナ輸送はどう発展していったのか
- 初期におけるコンテナ輸送の拡大
- 1990年代以降、コンテナが〝世界標準〟に
- ハブ・アンド・スポーク型ネットワークとトランシップ
- グローバルアライアンスの展開
- [コラム8]海運同盟
- [コラム9]1984年米国海運法と自由化
- 金融危機後のコンテナ船社の集約
- [コラム10] 韓進海運の倒産
- [コラム11] パナマ運河とスエズ運河の通航料
- 「港湾労働の効率化」が与えた影響
- 初期におけるコンテナ輸送の拡大
- 第4章 いま世界で起きている海運問題と、経済活動への影響
- コンテナを通して読む 「コロナ禍以降のサプライチェーン」
- コロナ禍でのサプライチェーンの混乱と回復
- 中東情勢とサプライチェ ーンの混乱
- 2025年のコンテナ市場
- [コラム12] マスク輸送の問題と輸送手段の選択
- [コラム13] コンテナ船の「リスク」と「コ スト」―スエズ運河座礁事故
- 世界経済に影響を与える「北米港湾の労使交渉」
- 労使交渉とコンテナ輸送量
- 労使交渉と港湾の自動化
- 世界的に見られる港湾労使交渉
- [コラム14] ロシアのウクライナ侵攻とコンテナ 輸送
- 米中貿易摩擦、関税、国際関係とコンテナ輸送
- 米中貿易摩擦とコンテナ輸送
- 国際関係とコンテナ輸送
- 関税率の低下とコンテナ輸送
- 「環境規制」と「廃棄物のコンテナ輸送」
- 各国の「財政政策」「金融政策」がなぜコンテナ輸送に影響する?
- [コラム15] コンテナと密輸難民輸送
- コンテナを通して読む 「コロナ禍以降のサプライチェーン」
- 第5章 「海運の動向」から読み解くこれからのビジネス・経営
- コロナ禍とサプライチェーンの変化―複線化、冗長化短縮化
- 地政学的な変化と「チャイナプラスワン」の本格化
- 生産拠点の移動による日本への影響は?
- 環境対応とサプライチェーン
- 第6章 今後、「コンテナ船」はどこに向かうのか
- コンテナ海運業界が抱える課題
- 輸出貨物の重要性
- 新技術の活用
- [コラム16] ハード面での新技術
- 選ぶ立場から選ばれる立場へ
- おわりに 水、空気、コンテナ輸送
書籍紹介
コンテナの誕生からその規格、主要な航路、業界の構造、そして運賃の仕組みまでを丁寧に説明しながら、コロナ禍での物流の乱れや、地政学的な要衝であるスエズ運河やパナマ運河の影響について触れています。これらの運河が封鎖された場合、輸送物資の価格や物流運賃にどのような打撃が生じるのかを、具体的にイメージできるでしょう。
また、コンテナの製造が日本から韓国、そして中国へと移っていった歴史や、アジアから北米への輸送で家具類が特に多いといった意外な事実、さらにはネタバレアライアンスの再編やメガコンテナ船の経済性など、業界の最新動向も盛り込まれています。冷凍食品や家電、ゲーム機、牧草といった身近な商品が、どのように海を越えて私たちの手に届くのかを追いかけると、世界経済の流れが自然と見えてくる点が魅力です。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
コンテナ輸送の2大基幹航路

主な航路は、アジア・北米間を往復する北米航路、アジア・欧州間を往復する欧州航路があります。この2航路だけで世界全体の3分の1の輸送量を占めます。
欧州行き、米国行きの貨物量が多いため、運賃もアジア行きの倍以上の値段です。大手海運企業はこれらの海路を収入の柱として運用しています。
アジア側の輸出国で圧倒的な存在は中国です。北米でも欧州でも輸出量で半分を超えるシェアを占めています。次いで貨物が多い国は韓国やベトナムです。タイやインドがその後を追い、その次くらいに日本が位置しています。1980年代の日本は圧倒的な輸送量を占めていましたが、NIES諸国や中国、南投アジアの経済成長という段階を経て現在の状態です。
また、北米航路と欧州航路では行きの航路(メインホール)と帰りの航路(バックホール)の間で貨物輸送量の差があります。その差を埋めるために空のコンテナの回送が必要です。ほとんどのアジア諸国では輸出の方が大きく、空のコンテナが輸送されます。日本はアジア唯一、輸入の方が多い国です。
船舶の大型化は基幹航路から導入され、北米西岸航路、大西洋航路で転用され、アジア地域内航路、南米航路と続きます。船舶の大型化も、世界全体の航路に影響を与える要素です。
生産拠点移動による日本への影響

2010年代から労働集約性の高い軽工業品を中心に、中国から東南アジアや南アジアに生産拠点の移行が行われてきました。2018年における中国積みの荷物は65.3%でしたが、翌年には59.8%に急減しています。とはいえ、中国は沿岸部を中心にインフラが整っており、製造・輸送に関しては有利です。
東南アジアや南アジアから人口の多い米国東岸に輸出する場合に、西岸港を通らずに紅海からスエズ運河を経由して大西洋を渡る海路のが望ましいことがあります。となると、北米や欧米に向かう基幹航路が日本を経由しません。日本に与える影響は、アジアのハブ港で米国行きの荷物を積み替えるなど、直接寄港ケースとの貿易が考えられるでしょう。輸送の複雑化に伴いコンテナスペースの偏りが出ることも懸念されます。