経済学者のすごい思考法/著者:エリック・アングナー

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書籍情報

タイトル

経済学者のすごい思考法

子育て、投資から臓器移植、紛争解決まで

発刊 2024年11月20日

ISBN 978-4-15-210380-2

総ページ数 318p

書評サイト 読書メーターBookBang

出版社リンク 早川書房

著者

エリック・アングナー

哲学・経済学の教鞭を振るっている。
ストックホルム大学の教授。

出版

早川書房

もくじ

  • まえがき
  • 序章 世界を救うには
    • 経済学とはなにか
    • 経済学の方法
    • 経済学の道具
    • どうして気にするべきなのか
    • 未来を見据える
  • 第1章 貧困をなくすには
    • 貧しい人にお金を与える
    • ランダム化する
    • 欠乏感
    • 陰鬱な科学
    • 分析的平等論
    • 現代の反平等主義
    • 道徳の科学
  • 第2章 心を整えながらしあわせな子どもを育てるには
    • 子育てする経済学者
    • 子どもの数を増やす利己的な理由
    • 子育ての経済学
    • ジェイル
    • 一流大学か刑務所か
    • 経済学と寛容の心
  • 第3章 気候変動を食い止めるには
    • 経済学者の提案
    • 外部性の経済学
    • しかし、うまくいくのか
    • なぜ経済学者を信頼するのか
    • 合理性と非合理性
  • 第4章 悪い行動を変えるには
    • 規範と行動
    • 規範は変わりうる
    • 規範を変えるには
    • 均衡を求める
    • 社会科学としての経済学
    • 希望と変化
  • 第5章 必要なものを必要な人に届けるには
    • 腎臓交換のメカニズム よい結果を生み出す
    • 機能する市場と機能しない市場
    • 経済学、市場価値観
  • 第6章 しあわせになるには
    • 幸福の経済学
    • 大方の人はしあわせである
    • お金でしあわせは買えるか
    • 適応、願望、社会的比較
    • 適応 慣れていないことにお金をかける
    • 願望と期待が上がりすぎないようにする
    • 願望 社会的比較自分を他人と比べないようにする
    • なにが決めるのか
  • 第7章 謙虚になるには
    • 自信過剰とはなにか
    • 自信過剰についてなにがわかっているのか
    • 自信過剰の原因
    • 自信過剰にならないようにする
    • 自信過剰に陥らないチームをつくる
    • 考察
  • 第8章 お金持ちになるには
    • できるときに貯金する
    • インデックスファンドに投資する
    • 借り入れは慎重にする
    • スキルを磨く
    • なぜお金持ちになっていないのか
    • 経済学者は両刀遣い
  • 第9章 コミュニティをつくるには
    • なにが問題なのか
    • オストロムの設計原理
      • 1明確な境界
      • 2ルールと地域の条件との調和
      • 3集合的選択の取り決め
      • 4監視
      • 5段階的な制裁
      • 6紛争解決のメカニズム
      • 7制度をつくる権利の最小限の承認
      • 8入れ子構造
    • オストロムの多中心的なビジョン
    • 経済学、専門知識、価値観
  • 第10章 終 章
    • 経済学はなぜ疑われるのか
    • 最後に

書籍紹介

 本書は、経済学が単なる「お金儲けの学問」ではなく、子育てや投資、臓器移植、さらには紛争解決といった実生活の課題にどう向き合うかを考えるための強力な道具であることを、わかりやすく伝えてくれます。

 経済学と哲学の両方に深い造詣を持ち、25年以上にわたって大学で教え続けてきた経験から、経済学を「哲学的経済学者」としてユニークな視点で解説しています。本書では、経済学が持つデータ分析の力、たとえば計量経済学やマーケットデザインといったツールを駆使して、複雑な社会問題を解決する方法が具体例とともに紹介されています。

 日常生活に関わる子育てにおける意思決定や投資の戦略、さらには臓器移植のような倫理的な問題まで、経済学の思考法がどのように役立つかを、わかりやすいエピソードを通じて説明しています。これらの例は、専門知識がなくても理解できるように丁寧に書かれており、経済学に馴染みのない読者でもその有用性を感じられるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

お金持ちでないのは、せっかちだから

 行動経済学者は、人はせっかちで衝動的であることを明らかにしています。

 将来の楽しみが減ることになっても、目先の楽しみに飛びつく人もいるでしょう。衝動とは、目先の欲求に負けてしまうことを意味します。

 お金を貯めようとするときには、せっかちさも衝動性もマイナスにはたらきます。貯蓄とは、将来のために今を犠牲にすることです。せっかちな人はそれがうまくできないのかもしれません。

 また、人は物語が好きです。物語のなかの人が成功したのは運が良かったからでしょう。コツコツと長年投資したという人生より、独自の投資戦略が成功したという物語のほうが目立ちやすいのです。自分に起こる可能性を高く見積もってしまうため、うまくいく可能性の低いことをやってみようとしてしまいます。金融紙で読む物語や、ビジネススクールで議論されるケースは有害無益なことがあり、これは完全に無視してもよさそうです。

 多くの人の認知機能は複雑な世の中に対処するようにつくられていません。わたしたちは今の金融環境に対応できているわけではないのです。しかし、人間の脳は適応力がとても高いので、考えて選択することはできます。自分の金融行動に責任をもち、適切な判断をするために必要な資源を身に付けなければなりません。

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