日本株はどこまで上がるか/著者:ポール・クルーグマン他

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書籍情報

タイトル

日本株はどこまで上がるか

発刊 2023年9月22日

ISBN 978-4-299-04657-4

総ページ数 238p

著者

ポール・クルーグマン

武者陵司

熊野英生

ハーディ智砂子

栫井駿介

出版

宝島社

もくじ

  • 第1章 中国の経済的封じ込めで見直される日本企業 ポール・クルーグマン(経済学者)
    • 日本の台頭
    • 日本経済は壊滅的な状態ではなかった
    • 日本はロールモデルになれる
    • 「中所得国の罠」に陥ったかもしれない中国
    • 中国は高所得国になれるか
    • 「人口減と出生率の低さ」をプラスに変えている
    • 高齢者とロボットの活用
    • G7で日本はリセッションが避けられる唯一の国
    • 賃金をもっと上げろ
    • デフレ終焉するにはまだ早すぎる
    • 岸田首相の「新しい資本主義」の評価
    • 米国の対中国半導体規制法
    • 中国はグローバリゼーションを悪用してきた
    • 日本は先端半導体製造の遅れを取り戻せるか
  • 第2章 空前の産業革命が到来!日本経済は歴史的な好循環に 武者陵司(ステラテジスト)
    • 2030年に日経平均株価は10万円に到達する!
    • 日本株の本格上昇は。その必要十分条件がそろった証左
    • いち早く気づいた投資の神様が「バフェットキャリー」を仕掛ける
    • 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と世界が注目する時代が再来
    • 円安から始まる好循環が日本企業の利益成長を牽引する
    • 日本は「観光開発力」においても世界の頂点に立っている
    • 足元でハイテク(半導体)生産拠点が日本に集結しつつある
    • かつて世界最強だった日本の半導体が弱体化した真相とは?
    • 日本経済を浮揚させなければ、米国は中国との対立で圧倒的不利に!
    • 日本が大きな飛躍を遂げ、血湧き肉躍る時代に突入している
    • ウクライナ戦争を機に、民主主義国家の価値観が根底から変わった
    • カーボンニュートラルよりも命のほうが大事!価値観が一変
    • ロシアを擁護し、国際的な立場を危うくしている中国
    • ChatGPTを筆頭とする生成AIがもたらす「空前の産業革命」
    • 「成長と分配の好循環」というアベノミクス路線に回帰した岸田政権
    • 「NISA」改革が呼び水となって、ようやく貯蓄から糖質が本格化
    • 日本企業が株主価値の最大化に軸足をシフトさせた!
    • 自社株買いが株価を上昇させ、個人消費を刺激する好循環が生まれる
  • 第3章 世界はまだカネあまり日本企業と株は跳躍する! 熊野英生(エコノミスト)
    • 変貌する企業収益_株価と景気判定
    • バブル期の3万円とは異なっている企業収益
    • 日本企業に働くインフレ効果
    • 進んでいく収益体質の改善
    • 日本企業のグローバル化
    • 金あまり体質_株価だけではない資産価値上昇
    • 海外マネーが「安い日本」を買ってくる
    • 「安い日本」は極まれり
    • 金価格1万円台接近の意味
    • 最も安全なものは何か
    • いつまで続くか金融緩和_縛られた日銀
    • 政策修正はゆっくりと
    • 出口戦略はどうなるか?
  • 第4章 「先高感」が出てきた日本経済 日経平均は3倍になるか ハーディ智砂子(英国在住日本株ファンドマネジャー)
    • ミクロ視点で日本株を見る「海外投資家」と特定する理由
    • オーバーウエイトするときの思考
    • ポートフォリオ・マネジャーはミクロの視点で動く
    • 英国の投資家は日本が視野に入っていない
    • ピカデリーサーカスの交差点から消えた看板
    • 日本人も日本企業がダメになったと思っている
    • 企業広告の重要性
    • 海外投資家にとって日経平均はマイナーな存在
    • 先高感が出てきた日本株は今から3倍になる?
    • 賃金上昇がない世界が問題だと思うワケ
    • 構造的な変化_日本企業は本当に変わり始めた
    • 競争はできるだけせず「差別化」へ
    • B-to-Bはメンタリティの変化ももたらす
    • 人事の変革
    • 人事は権力ではなく、価値を最大化するためのサイエンスになる
    • 潰されてきた「価値を生む能力」が眠っている日本
    • リモートワークで変わる状況
    • 割安に放置されているのはコミュニケーションが原因か
  • 第5章 日本人の資金が日本株に向かえば株は騰がる 栫井駿介(証券アナリスト)
    • 日経平均33年ぶり高値の背景_今、日本株が上昇しているのはなぜか?
    • 日本経済再生に向けた期待
    • 日経平均は「2028年に6万円」
    • バリュエーションと投資家の視点_指標面で見た日本株
    • 少子高齢化でも日本の株価は伸びる?
    • これから日本を牽引する産業・企業
    • 半導体産業と日本_IT業界に革命をもたらす生成AI
    • 半導体が足りない!
    • 日本の半導体産業の優位性
    • 地政学リスクにおける日本の優位性
    • 米国の「次善の策」としての日本
    • 世界に通用する日本の産業_円安と「親日世界」の相性は抜群
    • 株価にとって重要な「信頼」
    • 「アニメ世代の大人化」で収益化する日本のコンテンツ
    • 日本企業の強みである「時間」
    • 私的年金制度の影響_米国株長期上昇の秘密は「IRA」にあり
    • 「新NISA」で米国を再現できるか?
    • 日本人が日本株を買うこと
    • 日経平均6万円が実現する条件

賃金を上げろ

筆者:ポール・クルーグマン

 日本の賃金は米国に比べると話になりません。米国の平均時給は33.44ドル(約4700円)で、学生でも時給は15ドル(約2100円)とか23ドル(約3200円)です。もちろん物価が高いので、それでも苦しい生活を強いられています。

 日本の知人は日本でも物価が上昇していると言っていますが、最近日本に行った友人に聞くと、すべてが安かったと言っております。円安ですから、ドル換算すると安く感じるのは当然なのですが、それでも日本の賃金は安すぎると思うのです。

 賃金が年間3%上奏すれば、日銀はインフレ率を2%に抑えるために金利を上げることができます。そうすることで賃金上昇率を3%に維持できるのです。しかし、日本の企業は賃金を上げる余裕があるにもかかわらず、十分に揚げないということを何十年もやってきてしまいました。消費者の購買力を増やすには賃金を上げるしかないというのにです。

日本経済を浮上させなければ米国は不利

筆者:武者陵司

 地政学的な観点から日本にハイテク産業が集積する体制を構築すべきだと考えている模様です。日米両政府が半導体や先端・重要技術などの協力を巡る共同声明を発表し、蓄電池の製造に不可欠な重要鉱物のサプライチェーン強化に関する協定を締結しました。

 日本経済が強くなってくれなければ、米国は中国との対立で圧倒的に不利となってしまいます。米国が日本に肩入れするのも納得です。

 日本に集積していたハイテク産業を駆逐し、中国や韓国、台湾へ追い出したから、中国が急激に頭角を現した形となっています。

 世界における半導体需要の4割が中国に集中していることは、ハイテク製品の供給を同国が一手に担っている事実を物語っているのです。こうした状況で中国と戦争に至れば、直ちに米国はライフラインを奪われてしまいます。

 もともと集積していた日本にハイテク製品製造の基盤を戻すのが、最も手っ取り早い戦略なのです。

日本企業が変わり始めた

筆者:ハーディ智砂子

 足元の株価の急速な回復は、主に循環的なマクロ要素の好転による海外投資家の日本株への資金シフトだとみています。

 ポートフォリオ・マネジャーとして仕事の重要な部分は、起業の経営者あるいはIRマネジャーとの対話です。これを毎週数社と行っているので、対話した企業数は相当な数にのぼります。

 日本企業の対応は大きく変化しました。かつては電話会議などを申し入れても、断れることがほとんどでしたが、最近は企業IR部門が直接、投資家にコンタクトしてくることが増えています。メールも頻繁に届きます。

 ミーティング内容も以前なら型通りに用意したプレゼンテーション資料をなぞり、最後に「ご質問は?」というのが多かったです。今は、こちらが決算の数字などをあらかじめ見ていることを前提に、いきなりディスカッションに入ります。

日本企業の強みである「時間」

筆者:栫井駿介

 アニメが子供たちにみられてから大人になってお金に自由がきくようになるまで、日本旅行の良さが口コミで海外の人々に伝わるまで、長年お荷物だった技術がついに商品として花咲くまで、いずれもひと世代以上かかる話です。

 米国をみていると、得意なのは「スピード」です。シリコンバレーでは次々に新しい企業や技術が生まれています。すばらしいトップが登場して、瞬く間に企業を再生させるのです。その一方で、ダメなものはすぐに葬り去られてしまいます。お金にならないコンテンツや技術をじっくり育てている時間はないのです。

 日本は平成に入って起きたバブル崩壊から「失われた30年」と言われています。しかし、この30年をかけてじっくりと育んできた「価値」が花咲くときです。

 日本が米国と違えば違うほど、これから活躍できる可能性は十分にあると考えます。

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