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目次
書籍情報
マンガの原理
大場渉
KADOKAWAの編集者。
森薫・入江亜季の担当編集者。
森薫
『エマ』にてデビュー。2014年にマンガ大賞を受賞。
入江亜季
高校時代から同人活動を開始し、『アルベルティーナ』でデビュー。
ハルタにて『北北西に雲と往け』を連載。
KADOKAWA
- 序 章 漫画に技術が必要な理由
- 第1章 コマ割りと視線誘導の原理
- コマ割りの基本
- 漫画を漫画たらしめる、もっとも重要な要素。それがコマ割りだ
- コマ割りと時間
- コマ割りの決定は、時間の決定。紙上の「モンタージュ」を理解しよう
- コマ割りとフリウケ
- コマ割りが劇的に上手になる! 魔法の概念「フリウケ」を理解しよう
- 段の効果とタテ積み・ヨコ積み
- 段ごとのフリウケが理解できたら、次はコマのタテ・ヨコを意識しよう
- タテ積み・ヨコ積みと跳ね上げ
- タテ積み・ヨコ積みで時間を操り、跳ね上げで行間も操ろう!
- 「めくり」とは何か
- ページをめくる手が止まらない、という作品にするための技術とは?
- 見せ場のコマはどこに置く?
- 大ゴマをどこに置くべきなのかは、段とコマの役割で決まってくる
- アクションのコマ割り
- 漫画の華、 アクションシーンを面白く読みやすく描くには?
- コマの大きさより大小差
- 大ゴマのインフレを避けるために、コマの大小差を意識しよう
- 変形ゴマはどう使う?
- 使うとカッコいい気がする変形ゴマ。でも実際には、扱いが難しい
- 見せ場では絵とセリフを別に
- 見せ場のコマは絵だけで魅せて、セリフを読ませるのは別のコマに!
- 視線誘導と演出
- 優れた「視線誘導」は読みやすく、また効果的な演出となる
- ヨコ1コマは原則禁止
- ヨココマは情報量が薄くなる。そこに2~3コマ分の価値はあるか?
- 1ページ1コマは原則禁止
- 漫画は一枚絵で勝負するのもアリ。だったら効果が強い見開きにしよう
- 断ち切りは要注意
- 無自覚な断ち切りの多用は、絵のバランスを崩しやすい
- チャンチャン禁止
- 最後のコマを小さくする終わり方は、お約束に依存する形骸化の第一歩
- 暗い夜と薄まる記憶
- コマの外が黒いのは、過去か、夜か。回想シーンのお約束を再検討する
- 構想・コンテ・ネーム
- 何もないところから完成原稿まで。漫画が生まれる6工程を紹介する
- コマ割りの基本
- 第2章 絵の原理
- 文字が優先、効果が最後
- 読者はコマ内の何を最初に見る? 視線の優先順位を把握しよう
- 背景・効果線が大事な理由
- 背景と効果線は豪華な包装紙。読者に最高の読書体験を提供しよう
- 大ゴマは寄り、小ゴマは引き
- 中途半端な距離感は厳禁!大ゴマでは読者ギリギリに近寄ろう
- 顔を大きく描くために
- 手首の可動域だけで描かずに、肩まで使ってプロの線を引こう
- 小さな人間をちゃんと描く
- 引きのコマは「生活」を描くチャンス! 楽しさを詰め込もう
- キャラの立ち位置の原則
- 視点人物は常に右側にいて左向き。映像と漫画は正反対なので要注意
- 描き文字の原則
- 描き文字は左上から右下が基本!音の発生源から放射状に描こう
- 日の丸構図はなるべく避ける
- コマの中央配置を避けることが、魅力的な漫画表現の第一歩となる
- 構図はどこまで気にするべきか
- 構図の勉強はした方がいいが、構図に縛られすぎると逆効果
- 背景は1ページに1コマは必要
- まずは全てのコマに背景を入れて、不要なコマだけ消すのが王道
- 背景の一部にエアを入れる
- 背景をみっちり描かないことで生まれる、読者の視線の道しるべ
- 心情描写としての背景
- 背景で心の中を描くこともできる! 少女漫画の超絶技巧に学ぼう
- 人物と背景で線の質を変える
- 人物は柔らかに、背景は硬質に。複数の線を使い分けよう
- なぜ「線」が大切なのか
- 漫画家の技量は、線に表れる。線だけで魅せられる漫画家になろう
- 瞳をキラキラさせる
- 人間は本能として瞳に惹きつけられる。輝く瞳で読者を惹きつけよう
- 鼻の穴と爪を描く
- お人形さんと人間を分ける分水嶺が、鼻の穴と爪に凝縮されている
- 死体を描く・裸体を描く
- 禁じ手にするのは描けないのと同じ。記号ではない「本物」を描こう
- 汗と照れ線は原則NG
- その「汗」は本当に必要か? 作品から真剣さを喪失させる罠とは
- 集中線・スピード線の使い方
- 集中線はクローズアップ、スピード線は移動を表現する
- 点描・カケアミは殺した線で
- 手描き原稿の華、点描とカケアミ。殺した線が美しい原稿を形作る
- 【特別講座】トーンの考え方・削り方 〈講師 高橋弘那〉
- 文字が優先、効果が最後
- 第3章 フキダシとセリフの原理
- フキダシとセリフの基本
- 1フキダシに4~8文字×最大5行。文字数と行数に注意を払おう
- 級数と書体は原則変えない―
- 級数と書体は読みやすさ重視で選択。感情表現は絵で行うのが王道
- フキダシの線と位置
- テンプレートかフリーハンドか?安定して綺麗な線を引こう
- 爆発フキダシの考え方
- 登場人物の演技が大前提! 丸いフキダシが破裂したように描こう
- 説明セリフは原則NG
- 文字情報に絵をはめていないか? 情報ではなく実感を表現しよう
- モノローグイントロは原則NG
- それっぽいだけで使っていないか? 最良のイントロを追求しよう
- 原則NGなセリフあれこれ
- 読者に楽しんでもらうための、漫画のセリフの「べからず」集
- フキダシを使った視線誘導
- セリフの中身とフキダシ位置で、1コマ内の強度と時間を操ろう
- 【コラム】 編集者の役割とは 森薫×大場渉
- フキダシとセリフの基本
- 第4章 キャラ・ネタ・ストーリーの原理
- キャラとストーリーは一体
- 分析の時にあえて分けるだけ!一体でこそ魅力的な漫画になる
- キャラクターの立て方
- キャラが立たない理由は共通するが、立つ理由はそれぞれ異なる
- 目的・環境・性格≒外見
- キャラの内面を作る3要素を固めて、キャラの外見に反映させよう
- 即効性のあるキャラは嫌なヤツ
- すぐにキャラを立てたければ、主人公に対して「嫌なこと」をさせよう
- 毎話気にするべきは「視点」
- 1話の「視点」人物を決めたら、カメラはその周囲から離れない
- 視点変更で主人公を目立たせる
- 「視点」 人物は埋没する。視点を変えたり第三者評価を入れよう
- 得意・苦手・好き・嫌い
- 弱点や欠点は人間味のもと。4象限で考えて個性を生み出そう
- 持ち物・小道具で個性を出そう
- 個性を出すのは体型や髪型だけではない。持ち物・小道具を大切に
- キャラはフラットかラウンドか?
- そのキャラは不変なのか変わるのか、物語形式に対応させて考えよう
- 登場人物の手を入れよう
- 表現豊かな手の描写を入れて、キャラの魅力と情報量を増やそう
- 編集者から見たキャラ立ち
- 「キャラ立ち」の言葉に騙されるな! 編集者視点で大切な3つのこと
- ネタとは何か
- ネタとは、1話を支える材料のこと。品質と調理法が大事!
- 伝えたい感情・考えがあるか
- 「誰かに伝えたいもの」が、「ストーリー」作りの大前提となる
- 主人公の目的がストーリーになる
- 主人公が「目的」に向けて行動する、その軌跡が「ストーリー」だ
- タイトルの考え方
- 作品の顔になるタイトルは、7文字以内で唯一性があるものに
- 非現実世界の現実か、その逆か
- 売りたいなら非現実世界の現実か、現実世界の非現実にしよう
- 主題には4大要素と5軸を入れる
- 連載には「恋愛・謎解き・成長・復讐」の4大要素を含む5軸が必須!
- 知らないこととカンカラコモデケア
- ストーリーに知らないことを入れ、「カンカラコモデケア」でチェックしよう
- ストーリーのフリウケ
- 起承転結や序破急には要注意! ストーリーもフリウケで考えよう
- 扉絵は読者へのあいさつ
- おもてなしの心を大切に、自由自在に扉を使って最高のあいさつをしよう
- 1話の構成で大切なこと
- イントロやアウトロはなぜ大切なのか? 実際の作品を基に解析する
- ストーリーで大切なことあれこれ
- 開始地点のコツ、主人公の行動と結果、2段オチについて解説する
- 【証言構成】森薫・入江亜季・大場渉と 『Fellows!』『ハルタ』『青騎士』の歩み
- キャラとストーリーは一体
- 主要参考文献
- あとがき
書籍紹介
大場渉、森薫、入江亜季という3人の著者による、マンガ制作の奥深さを解き明かす一冊です。KADOKAWAから2025年2月4日に発売されたこの書籍は、マンガを描くための体系的な理論と技術を、初心者からプロまで幅広い読者に届けることを目的としています。著者の一人である大場渉は、『Fellows!』『ハルタ』『青騎士』の創刊編集長として知られ、長年マンガ業界で活躍してきた人物です。一方、森薫と入江亜季は、それぞれ『乙嫁語り』や『北北西に曇と往け』といった名作を生み出した漫画家で、その緻密な作風とストーリーテリングが高く評価されています。この3人が手を組んだことで、編集者と作家双方の視点からマンガの作り方が丁寧に解説されています。
本書の内容は非常に実践的で、コマ割りや視線誘導の原理から始まり、絵の描き方、フキダシとセリフの扱い方まで、マンガ制作のあらゆる要素が網羅されています。例えば、森薫はコマ割りを時間と空間の表現として捉える方法を説明し、入江亜季は視線の流れをコントロールする技術を実際の作例とともに紹介しています。大場渉もまた、編集者としての経験を活かし、読者が作品をより魅力的に感じるためのポイントを的確に指摘しています。これらの解説は、単なる理論にとどまらず、実践に即したアドバイスとして読者に響きます。
マンガを描く人だけでなく、読む側にとっても楽しめる点にあります。普段何気なく読んでいるマンガの裏側に、どれだけの工夫と技術が詰まっているのかを知ることで、作品への理解が深まります。例えば、背景の描き方一つを取っても、心情を表現するための手法や線の質の違いが丁寧に語られており、読者として新たな視点を得られるのです。また、トーンの使い方やセリフの配置といった細部に至るまで、プロのこだわりが感じられる内容となっています。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
モノローグイントロが原則NGの理由

モノローグイントロが合っている漫画作品も世の中にはありますが、現在の漫画業界において、あえてモノローグイントロを選択するメリットがありません。モノローグイントロの漫画多すぎるからです。
新人賞の審査員をした漫画家しか知らないことなのかもしれませんが、漫画家志望者が輪をかけてモノローグイントロばっかり書きます。それは読者にも伝わっているようで、「また、連載もののモノローグイントロだよ」となってしまっています。
モノローグイントロでないだけで、イントロをちゃんと考えてきていると加点してもらえて、読者を惹きつけるポイントとなります。最初のインパクトが他と違っているだけで好印象になるなら、イントロを深く考えるべきでしょう。