まだ間に合う 元駐米大使の置き土産

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 外交官のあと、第二の人生で教育や研究にたずさわってきました。

 私の半世紀の経験、先人の回顧録などから学んだことをいささかでも、次世代の若い日本人に伝えておきたいと思うようになりました。

 外交官生活を楽々とこなしたわけではありません。どうして失敗したのか、失敗から何を学んだかも本気で記述しました。

 わたしのやったとおりがいいですと言うつもりはありません。むしろ回り道はしないほうがいいと伝えるために書いています。

 どうやってこれから勉強や仕事のことを考えていけばいいのかなと思っている方々の一助にしていただければうれしいです。

書籍情報

タイトル

まだ間に合う

元駐米大使の置き土産

第1刷 2022年3月1日

発行者 鈴木章一

発行 (株)講談社

ISBN 978-4-06-527293-0

総ページ数 272p

著者

藤崎一郎

出版

講談社現代新書

自由時間

UnsplashEric Rothermelが撮影した写真

 わたしが理事長をしている中学校では部活は原則週3回にし、授業は土曜日をやめて週5日にしています。

 4人のネイティブスピーカーの教員が毎日構内で開いている無料英会話教室参加や、飲み物を飲んだりおしゃべりしていい新設の自習室を利用したり、読書などをのびのびするためです。

 生徒には、「時間の管理を自分ですることを覚えてほしい」と言っています。

 校風を自由でのびやかに変えるべく、厳しかった校則をあたらめました。校舎は白を基調にリフォームし、制服もコシノジュンコさんが明るいグレーにデザインしてくれたのです。

 ずっとがんじがらめにして、社会に出て急に自立しろと言っても無理です。生徒が自分で時間を管理し自主性を持って過ごすようになってはじめて可能となります。

アイデアと努力

Image by fancycrave1 from Pixabay

 若い人にとっては多くの場合発言していいのか、自分の考えを述べていいのか迷うと思います。

 とにかくなにか言わななければと思う必要はありません。ここぞというときは自分の意見をきちんと述べるべきです。少しでも独自の視点を繰り出せれば、それが評価となります。

 いっさい発言をせず、提言メモも書かず、仲間内だけでボソボソ意見を言っているのでは意味がありません。安全プレーではありますが、何の貢献ともみなされないでしょう。

 渋沢栄一は「ここはちょっとおかしいじゃないか」とそれをすぐ書いた提案書を直属の上司に何度でも提出したそうです。

 変わり者扱いされるおそれはありますが、まったく何もしないで自分の存在に気がついてくれというのは無理な話です。

組織への忠誠心はほどほどに

Image by Gaby Stein from Pixabay

 三菱東京UFJ銀行の頭取、会長、全国銀行協会会長までつとめ2021年に亡くなった永易克典が言った言葉です。

 じつはわたしも取締役時代、数年間出向させられたんですが、コイツはここで終わりだと思われたんでしょう。急に態度を変えた後輩たちがいたんですよ。わたしはわすれませんでしたよ

 エリート中のエリートでもそんなことがあったのです。

 新しい部署や任務に就くと、「おかしいな」「こうしたらどうだろう」とか思ったりするものです。そのまま1年経つと、その習慣にそまってしまいます。しかし、当初感じたことが妥当な場合も多いと思います。なので、着任したフレッシュなうちにすぐに改革は着手したほうがいいと思うのです。

 ジュネーブ代表部大使のときも駐米大使のときも、わたしは着任と同時に前任者のやり方を大きく変えました。変化を歓迎しない人もいました。直言されたことも何度かあります。しかし、意見には耳を傾けたうえで、最終的には自分の正しいと思うことを通してきました。それがリーダーの責任です。安易に妥協しては自分がなんのためにそこにいるのかわからなくなってしまいます。

外国人との付き合いかた

Image by Paweł from Pixabay

 欧米人が空港に迎えに来た家族に抱き着くという形でもあらわれます。大げさだなと思っていましたが、何年かぶりに合ってもそっけなく「飛行機揺れた?」とかどうでもいいことを聞いたりする日本流よりいいのではないかとも思うようになりました。

 風習やしきたりというベールの下は「個人」です。日本人がみなまじめで礼儀正しく慎重なわけではないでしょう。アメリカ人がみな明るく開放的なわけではありません。

 しきたりは一種の決まり文句のようなもので、「何国人はどうだ」とか知ったかぶってステレオタイプで決めるけるのはばかげています。

おわりに

 訴えたいことは、昭和前半生まれのジジイが自分の孫に言いそうなこと、日本の自らを持たない他力依存の傾向についての警鐘です。

 2つのメッセージを籠めて次世代への置き土産とさせていただきます。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 確かに夢なんてなくたって全く困りませんが、計画性に乏しいのは人生を狂わしてしまうかもしれません。自分の時間を大切していただいて、国内外問わず色々な人と関わって自分の存在価値を高めていってくれれば良いのではないでしょうか。

 元駐米大使の自己啓発本です。だいぶ苦労を重ねた先輩のアドバイスを読んでみてはいかがでしょうか。

 下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。

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