世界のリアルは「数字」でつかめ!/著者:バーツラフ・シュミル

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書籍情報

タイトル

Numbers Don’t Lie

世界のリアルは「数字」でつかめ!

発刊 2021年3月25日

ISBN 978-4-14-081853-4

総ページ数 356p

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出版社リンク NHK

著者

バーツラフ・シュミル

カナダのマニトバ大学特別名誉教授。
エネルギー、環境変化、人口変動、食料生産、栄養、技術革新、リスクアセスメント、公共政策の分野で学際的研究に従事。

出版

NHK出版

もくじ

  • はじめに
  • 第1章 世界の人々 暮らしはどう変化して、どこに向かうのか?
    • 子どもの数が少なくなったら、どうなるのか?
    • 生活の質をもっともよくあらわす指標 乳児死亡率
    • 投資に対する最高の利益 ワクチン接種
    • 感染症流行の規模を予測するのがむずかしい理由
    • どんどん高くなる身長
    • 寿命はどこまで延びるのか?
    • わたしたちの進化の秘密 長く走れるのは、なぜか?
    • 失業率と幸福の関係
    • なにが人を幸せにするのか?
    • 増え続けるメガシティ
    • ギザの大ピラミッドは何人でつくったのか
  • 第2章 世界の国々 グローバル時代における力関係を読み解く
    • アメリカは本当に特別な国なのか
    • EUのめざましい成果
    • ブレグジット イギリスが直面している現実は変わらない
    • 日本の将来への懸念
    • 中国はどこまで成長するのか?
    • インド vs. 中国
    • 人口大国の共通点と相違点
    • なぜ製造業はいまでも重要なのか?
    • ロシア vs. アメリカー 帝国の宿命
    • 宇宙開発をめぐる競争 栄枯盛衰は世の習い
    • 第一次世界大戦の負の遺産
  • 第3章 食身体にも地球にもやさしい「食べ方」とは
    • 世界の食料供給を支える窒素肥料
    • 小麦の生産量を数倍に増やすには
    • 食品ロスはグローバルな大問 いますぐ行動を!
    • 地中海式食事法の衰退
    • 絶滅危惧種、クロマグロ
    • 鶏肉は世界を制するか?
    • フランス人とワインの微妙な関係
    • 理性的に肉を食べよう
    • 長寿国日本の食生活の秘訣
    • 乳製品を消費する国の劇的な変化
  • 第4章 環境賢い選択をするために、知っておくべきこと
    • 牛の惑星
    • アフリカゾウの死
    • 人新世と呼ぶのは時期尚早
    • コンクリートの具体的な事実
    • 携帯電話と車、環境に悪いのはどちらか?
    • 最高の断熱材とは
    • 三層ガラス窓 確実な省エネ策
    • 住居の暖房効率を上げるには
    • 脱炭素社会への道のり
    • 動物 vs. 人工物 どちらが多様?
  • 第5章 エネルギー 燃料と電気をめぐる不都合な真実
    • ガスタービンの威力 果たされない約束
    • 風力発電には化石燃料が必要
    • 風力タービンはどこまで大きくなるのか?
    • 太陽光発電が急速に普及しないわけ
    • いまでも日光がいちばん
    • もっと大きな蓄電池が必要
    • 世界初の電気コンテナ船が抱える課題
    • 電力の本当のコスト
    • エネルギー移行がゆっくり進むのは仕方がない
  • 第6章 移動 この200年での驚異の進化とこれからの課題
    • どんどん短くなる大西洋横断時間
    • 自転車は蒸気機関より新しい!
    • 世紀の大発明、空気入りタイヤ
    • 自動車時代の幕開け
    • 現代の車 ショベルカーでハエを追うようなもの
    • 電気自動車は本当にクリーンか?
    • ジェット時代の幕開け
    • ジェット燃料の王者、ケロシン
    • 航空機は車より安全なのか?
    • エネルギー効率がもっともよい乗り物 航空機か、電車か、自動車か?
  • 第7章 機械 現代世界の基礎をつくった発明品とは
    • 奇跡の1880年代 ボールペンから内燃機関まで
    • 電気モーターは現代文明の原動力
    • 変圧器 控えめでよく働く縁の下の力持ち
    • ディーゼルエンジン グローバル世界で果たす役割
    • 一瞬をとらえる 馬から電子の動きまで
    • 蓄音機からストリーミングへ エジソンの偉大な発明:
    • 集積回路(IC)の発明
    • ムーアの呪縛
    • 膨れあがるデータ量 あまりに多く、あまりに速い
    • 真のイノベーションとは
  • おわりに

書籍紹介

 この本は、複雑な世界を理解するために、データや統計が持つ力を強調し、私たちが日々直面する問題を客観的に捉える手助けをしてくれます。著者のシュミルは、エネルギーや環境、経済といった分野の専門家として知られ、膨大なデータを基に、わかりやすく、かつ鋭い視点で世界の「リアル」を提示します。

 単にデータを羅列するのではなく、それらが私たちの生活や未来にどう影響するかを考えさせる点にあります。シュミルは、数字を読み解くことで、偏った情報や感情的な議論に流されず、事実に基づいた判断ができると説きます。たとえば、気候変動や技術の進歩について語る際、具体的な数値を用いることで、問題の規模や解決の可能性を明確に示しています。これにより、読者は自分自身で世界の課題について考えるきっかけを得られるのです。

 ニュースやSNSで飛び交う情報に振り回されがちな今だからこそ、データに基づいた冷静な視点を提供してくれるこの本は、思考の羅針盤となるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

電力の本当のコスト

 わたしたちが電力を買うのは、光エネルギー、運動エネルギー、熱エネルギーへと電気を変換するためです。エネルギー変換効率が改善されてきてはいますが、変換したあとのエネルギーの方が少なくなります。

 アメリカの一般家庭向けの電気料金は、どの先進国よりも安いです。例外は、カナダとノルウェーは水力発電で電力を生み出せる立地があり、高所得国です。EU平均の55%、日本の平均の約半分、ドイツの40%未満の料金となっています。

 太陽光パネルのコストが急激に安くなっているとか、風力タービンの価格競争が厳しいとかいう記事や報道をそのまま鵜呑みにする人たちがいます。このままいけば再生エネルギーの技術が発達し、電気料金が安くなる時代がくると夢をみているでしょう。

 再エネルギーに力をいれたドイツを見てみましょう。2000年に原子力や化石燃料から脱却して再生可能エネルギーに移行する目標を掲げました。2019年にはすべての発電出力の20%以上が再生可能エネルギー設備による発電となっています。しかし、この20年間でドイツの電気料金は2倍以上になりました。風力発電に依存しているデンマークでも、カリフォルニア州でも、再生可能エネルギーの比率が高くなるにつれて、電気料金が高くなっている現実があります。

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