ダンゴムシに心はあるのか/著者:森山徹

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

書籍情報

タイトル

ダンゴムシに心はあるのか 新しい心の科学

発刊 2023年10月5日

ISBN 978-4-635-04970-2

総ページ数 239p

著者

森山徹

信州大学繊維学部准教授。損門は比較心理学。ダンゴムシ、オオグソクムシ、ミナミコメツキガニ、モノゴトの心を探求中。

出版

山と溪谷社

もくじ

  • はじめに
  • 第一章 心とは何か_「心の定義」を提案する
    • 心とは言葉である
    • 日常的な心の概念
    • 内なるわたくし
    • 心の気配
    • 隠れた活動部位
    • 心の実態とその遍在性
    • 心と納
    • 感情としての心
    • 器官としての心
    • 「裏」としての心
    • 魔の二歳児
    • 心の成長
    • 魔の出来事
    • 心は現前するか
    • 思いもかけない大泣き
    • 未知の状況
    • 心の現前
    • 空は緑色
    • オレンジの絵を見ながらメロンジュースを飲む実験
    • 甘いみそ汁の味がする水
    • 抑制と洗剤
    • 石の心
    • 心を見いだす流儀
    • ジュラルミン板の心と職人の流儀
  • 第二章 ダンゴムシの実験
    • 会社で学んだこと
    • ダンゴムシとの出会い
    • ダンゴムシの生態と分類
    • ダンゴムシの体と生活
    • あなどれない飼育
    • 交替性転向
    • 交替性転向の意味と仕組み
    • 特定行動としての交替性転向
    • 未知の状況としての多重T字迷路実験
    • 変則転向の発言
    • 行き止まり実験
    • 壁登り行動の発現
    • 水包囲実験
    • 泳ぐダンゴムシ
    • 壁登り行動、再び
    • 意味深長なパターンを見つける
    • 「ジプの法則」と予想外の行動
    • アリも泳ぐ
    • ダンゴムシで世界へ
    • 勇気と確信
    • 何とかなるさ
    • 北の大地でダンゴムシ
    • 環状道路実験
    • 障害物へ乗り上がる
    • 壁境界群の行動
    • 水境界群の行動
    • ダンゴムシの自律性
    • 障害物を伝う行動
    • 道具使用の萌芽_ダンゴムシの知能
    • ダンゴムシの綱引き
    • アンテナにチューブ
    • 弓なりのアンテナ
    • チューブの杖で、距離を探る
    • 丸くなるのは反射的、もとに戻るのは自律的
    • ダンゴムシの心、再考
  • 第三章 ダンゴムシ実験の動物行動学的意味
    • 心の研究と動物行動学
    • 動物行動学における四つの「なぜ」
    • 擬人化
    • 動機づけ
    • 定型的活動パターンと動物の心
    • 研究者と動物の心
    • 葛藤行動と動物の心
    • 「心の科学」という遺産
  • 第四章 「心の科学」の新展開
    • 心とは何であったか
    • 知能の遍在性
    • タコとの出会い
    • タコの分類と生態
    • エサをせがむタコ
    • 迷路でのタコの行動
    • 予想外の「歩き」の発言
    • タコの問題解決
    • ミナミコメツキガニと出会い
    • ミナミコメツキガニの分類と生態
    • 予想外の迷走者と小集団
    • ミナミコメツキガニは社会を作るか
    • 待つ科学
    • 結び_心の科学と社会
  • あとがき
  • 参考文献

はじめに

 ダンゴムシ、節足動物に属するオカダンゴムシ科の甲殻類です。

 本書では、さまざまな観察対象の心の存在をダンゴムシを用いた実験によって検証します。読み終えるころにはダンゴムシには心があると口に出せるようになるでしょう。

心の成長

 成長するにつれ、特定の行動を維持できるようになります。集中力がつくということです。余計な行動の発現をしっかり抑制できるようになります。

 特定行動以外の行動を誘発するような刺激が周りに散在しており、刺激に対する活動部位が不可避的に発生します。

 ですから、何かを連続して行うときには、他の行動の発現を抑制する必要があるのです。明示的に教えられるわけではなく、自然に獲得され、身についていきます。

ダンゴムシの生活

 ダンゴムシには明暗を感じる程度の複眼とアンテナが2つついています。このアンテナで餌の匂いを敏感に感じ取ります。

 雑食で、落ち葉や虫の死体を食べる分解者ですが、ニンジンや白菜などの野菜もよく食べるので、農学的には外注です。フンはサラサラしていて清潔な感じで、保湿性がありません。

 乾燥に弱いため湿ったところを好みますが、水たまりに積極的に入っていくことはありません。彼らのおなかには白い擬気管があり、長時間水へ浸ったままになると窒息します。

 脱皮は全体の古い皮膚が白く浮き、後ろから硬い皮膚が出来上がって、後ろ半分脱いだあと、前半分が脱げます。脱皮中は天敵に狙われると致命的なのです。後ろ半分がまず完成して逃げ切れるダンゴムシが生き残って子孫を残してきました。

 交尾の時期は、春と秋の2回です。卵はメスのお腹にできる覆卵葉という袋状の育房の中に生み出され、子どもはそこで孵り、袋を破ってでてきます。痛そうですが、メスは死んでしまうわけではありません。

研究者と動物の心

 実験者の仕事とは、実験室の気温や湿度、提示刺激の均一化などの、実験環境の厳密な設定と計測機器による行動などの正確な記録のようにみえます。

 このような機械的な動きは、動物の余計な欲求を自律的に抑制するということによって、始めて実現するのです。

 心の動きは、定型的活動パターンに対する予想外の行動の発現として確認されます。あるとき特定の欲求が生じ、完了するまで他の欲求が発現しないようそれらを自律的に抑制する「何ものか」です。

 予想外の行動が自律的に発現されるような事件を設定します。ダンゴムシの実験で行われる「未知の状況」をい与える実験です。ダンゴムシでは、交換性転向という、変則転向、壁登り、泳ぎ、障害物へ乗り上がりといった予想外の行動が確かに発現しました。

購入リンク

amazon

電子

amazon

(Visited 8 times, 1 visits today)
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です