そばを打つそばを語る/著者:鵜飼良平、松田伸一

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

書籍情報

タイトル

そばを打つ そばを語る

発刊 2023年11月10日

ISBN 978-4-380-23005-9

総ページ数 235p

著者

鵜飼良平

江戸そばの伝統を継承する「上野藪そば」の三代目主人。

著者

松田伸一

松田綿店を引き継ぐ。1982年中学生キャンプ野営長。

出版

三一書房

もくじ

  • まえがき
  • 上野育ちの私の話
    • 祖父と藪安と私
    • 少年時代
    • 七尾での疎開生活
  • 山形の田舎町での生い立ち
    • 地域活動への参加
    • そばとの出会い
    • そば打ちを習う
  • 藪安から上野藪そばへ
    • 焼け野原からの再興
    • 店の手伝いは中学時代から
    • 世相の流れと藪安の変遷
  • 集団疎開児童の話 戦中戦後の寒河江での体験
    • 七十余年をふりかえる
  • 藪安から上野藪そばへ
    • 弟子入り
    • 江戸流の名称
    • そば屋の徒弟制度と四つ出しの始まり
    • 「切り三日」とは
    • そば屋を継ぐ若い世代の育成
  • ふるさと寒河江そば工房の発足
    • 組織作り
    • そば打ちを練習
    • 客を迎える準備
    • 模擬体験
  • やまがた素人そば打ち名人大会の開催
    • そば打ちにめりこむ
  • そば打ち教室「鵜の会」のはじまり
    • そば打ちを<教える>
  • やまがた素人そば打ち名人大会
    • 審査員を務める
  • そば打ち遍歴で東奔西走
    • 初代に合格するまで
  • 旧全麺協『そば打ち教本』とふるさと寒河江そば工房
  • 日本そば博覧会in幌加内に参加
    • 北海道へ
    • 出店は実験である
  • 日本そば博覧会in松本
    • 第一回信州・松本そば祭り
    • やまがた素人そば打ち名人大会の効果
    • 松本市長 歓迎の挨拶
  • 信州・松本そば祭り 二回目の出店
  • 信州・松本そば祭り 四回目の出店
  • 日本そば博覧会 いわき市へ 震災復興支援
  • そば博覧会in新発田そば祭り
    • 堀部安兵衛も苦笑する?
  • 恒例となった「あのよ」の語り
    • 「あのよ」の説明
    • にわか「飛騨大工」の気分で語る
  • 五段位への挑戦の顛末
    • 挑戦こそ我が人生!
    • しぶとく再び挑戦
    • またまた挑戦
    • 技能審査と意見発表
  • 松田さんの審査を担当して
  • 日本食世界遺産への道
    • そばからSOBAへ
  • 鵜飼良平のそば打ち秘伝帳
    • 伝える前に
    • 初級者へ_そば打ちを志すなら
    • ソバ粉
    • 小麦粉
    • 水と手水
    • 道具について
    • そばを打つ心構え
    • 衛星と服装
    • 材料
    • そば打ち全般
    • そばの三立て
  • そば打ち段位審査あれこれ
    • 発端
  • 寒河江の審査を省みて
  • これからの江戸のそば
  • あとがき
  • 参考資料

まえがき

 敗戦を迎えてから一家は東京に戻り、父は空襲で焼け野原になった上野で、掘っ立て小屋を建ててそばの店を再開しました。

 わたしもお店の手伝いから徐々に、そばの作り方を身近に見るようになり、家族や同業者から技術を自然に学んでいったのです。

 80を軽く超えた人の話であり、記憶が前後する場合がありますが、その点はご容赦ください。

焼け野原からの復興

 親戚の協力で店が完成したのが、都市が開けて間もなく、昭和21年正月のことです。店の名前をそば處とし、伝統を残そうと必死な思いが伝わっていました。

 食糧難でそば粉など簡単に手に入るものではありません。糸こんにゃくを「そば」といってお客様に提供しても、よろこんで食べてくれた時代です。

 行政でも戦後の復興という名目で新たな区画整理が行われ、そのたびに厨房や打ち場の改修があり、店の雰囲気が次第に良くなりました。

 アメ横は闇市ど同居しており、担ぎ屋と呼ばれる「おばちゃん集団」に支えられていたのです。大切なそば粉はその人たちとの信頼関係で恵まれました。集まる数量もバラバラだったため、その日の材料がなくなると店じまいしてしまうことも多かったようです。

若い世代の育成

 庶民の生活にも少しの余裕が見られる中で、そば屋も江戸時代から伝わる伝統の「手打ちそば」を復活させようと、東京都麺類協同組合が提唱して、蓮玉庵の店主を行使に迎えて手打ちそばの勉強会が開かれました。

 伝統を守りたいという願いからの勉強会開催です。

 そば打ちに接する機会を失っていたそば屋の跡取りや、集団就職で出てきた人たちが教わりました。

 この時に教えた経験、教わった経験が、カルチャースクールやそば打ち教室で活かされています。小学時代は創業期、中学高校は手伝い期、大学青年期は見習い期、壮年期は社会活動期、老年期は「そばへの恩返し」の時期と言えるようになりたいのです。

審査員を務める

 やまがた素人そば打ち名人大会の審査を勤めました。

 道具で持ち込みを制限しているのは延ばし台と篩のみです。キバチなどは、そばののど越しや歯ごたえの間食の良し悪しが決定付けられる道具です。技だけでなく、あらゆるこだわりも、そば愛も感じられます。

 挑戦する人にとって優しい大会であり、行政と関わりのない団体もバックアップすることでユニークさも溢れる大会になりました。

 コロナで3年間は休止したけれど、24回目は行われていて面白い企画となっています。

そばからSOBAへ

 和食がユネスコにお無形文化遺産に登録されたのが平成25年(2013年)12月のことです。

 日本食としてそばが昇華したのは、明治時代の初期のころからであり、和食としては新参者の1つだろうと思います。

 全国にそばが広がったのは、全麺協が開催した「日本そば博覧会とそば祭り」の影響です。最初は平成4年(1992年)に富山県利賀村で開催された「世界そば博覧会」が成功し、そのお祭りが翌年から世界に展開しました。

 テレビでも放送されるようになり、90分の講義依頼がさまざまなところからくるようになったのです。

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