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目次
書籍情報
週休3日の経済学
人生を変えるイノベーション

ジュリエット・B・ショア
経済学博士。ボストン・カレッジ社会学教授。
社会学の知見を一般社会に広めた功績から「Public Understanding of Sociology Award」を受賞。
東洋経済新報社
- 序章 週4日勤務が重要な理由
- 「働きすぎ」がもたらす危機
- 週4日勤務の実験
- ホワイトカラーだけではない
- でもちょっと待って⁉
- 週4日勤務の時代は近づいている
- 本書の構成
- 第1章 週2日の休みでは足りない
- 週4日勤務は雇用主にも恩恵をもたらす
- 長時間労働を前提とする経済のあり方
- 家庭における無償の生産活動
- コロナ禍でのストレスと燃え尽き
- 歴史的な実験の始まり
- 私たちの研究の設計
- 参加企業の顔ぶれ
- 選択バイアスの問題
- 第2章 人生を変えるイノベーション
- ウェルビーイングの上場
- 健康の改善
- 参加者はどのような人たちか
- 家庭と日常生活
- 自分のための時間
- 職場での生産性が向上する
- 人々がいだく満足感も上昇
- 恩恵はあらゆるタイプの人に及ぶのか
- 効果は長続きするのか
- 対照群を用いた調査
- なぜウェルビーイングが改善するのか
- しかし、万人向けとは言えない
- 第3章 4日間で5日分の成果を上げる
- 「パーキンソンの法則」を打ち破る
- 会議を減らす
- 「ディープワーク」の魅力
- 創造性を向上させる
- 顧客のニーズにどう応えるか
- 製造業における工程の改善
- 仕事のペースを速める vs 効率性を高める
- 変化を突き動かす「強制機構」
- 地面に20ドル紙幣が落ちている?
- 第4章 「少ないこと」は「多いこと」
- サービス産業での燃え尽きを減らす
- 仕事の強度に関するパラドックス
- 働き手の健康のために
- 看護師たちの離脱を防げ
- チームを安定させることのビジネス上の効果
- ある地方自治体の成功例
- さまざまな方法論をあわせて実践する
- ほぼすべてが退職率で決まる
- 20ドル紙幣の問題を再考する
- 働き手への「贈り物」
- 週4日勤務の経済的価値
- 第5章 週4日勤務がうまくいかないとき
- 休みの日に少しだけ待機する
- そのほかの修正点
- 正式導入の前に立ち止まる
- シニアマネジャーに週4日勤務は可能か
- 強い拒絶
- 失敗を生む要因とは?
- 週4日勤務で給料が減る?
- 第6章 AIは週4日勤務を可能にするか
- 産業革命と労働時間
- 経済学者はAIについてどのように考えてきたのか
- なぜアメリカ人はこれほど長時間働くのか
- 時間に関する新しい文化
- 第7章 人間と地球のためにパワーダウンする
- 気候に関する課題
- 脱炭素化への道
- 労働時間と気候の関係
- 週4日勤務は温室効果ガス排出量を減らしてきたのか
- 所得と時間を交換する
- 第8章 週4日勤務をすべての人に
- 週5日勤務へ移行した100年前の経験
- 人手不足が後押しに
- 1日10時間の4日勤務ではうまくいかない理由
- 週4日勤務への進化
- 法制化の動き
- 実践できる企業ばかりではない?
- 週4日勤務の実現にむけて
- おわりに
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
ウェルビーイングの向上

週4日勤務を開始すると、1年後には健康や時間の使い方などが向上し、生活が良くなったと実感する人が多いようです。
理由としては、睡眠が改善したり、運動する時間が増えたりするからでしょう。しかも、この効果は継続性があり、習慣化もしやすいようです。仕事後の燃え尽き感も感じなくなり、精神面の好影響もあったと結果がでています。
生活の時間が増えたことで、疲労感と不安感が緩和されたようです。時間単価でみたときの仕事の生産性も増えたと感じる人もいました。私個人としては、データを解析するうちに、睡眠の改善が最大の経路ではないかと推測します。
地方自治体の成功例

週4日勤務を採用して、コスト削減に成功したイギリスの地方自治体が存在します。イングランド東部のサウスケンブリッジシャー行政自治区は2023年1月に実験を開始し、1年ほど継続しました。1年間に37万1500ポンドの節約が実現しています。
週4日を採用した職員の退職率は39%低下し、求職者も約1.5倍増加しました。採用に苦労した職種でも求職者が増えて、人材派遣会社に依頼するケースも少なくなったようです。
民間と公共の両方で、週4日勤務は効果的だと結果がでました。会議を減らしたり、仕事に集中する時間を確保できたり、業務改善につながったことも副次効果として現れたようです。退職者を減らす目的で始めた実験は、かなりの予想以上の成功例となりました。
アメリカ人の長時間労働

アメリカ人は他の豊かな国と比較しても、労働時間が長くなっています。アメリカ人の返金労働時間はヨーロッパ人よりも、日本人よりも数百時間多いのです。アメリカ人はこれほどまでに仕事中毒の傾向があります。
経済学の視点でみると、働き手が好きな労働時間を選び、雇用主が受け入れるという「労働時間の市場」が存在するとみなしています。実際は、特定の勤務スケジュールで働かせたいというのが、雇用する側の本音です。この条件で働き続けなければ、福利厚生と出世が得られません。
また、時間給ではなく固定給にすると100時間以上労働時間が増えるという実験結果が多く存在します。アメリカは44%が固定給です。給料の金額が高くなれば、同じ場所で働くコストが大きくなる心理が働きます。時代が進むにつれて固定給が増加してきました。さらに、所得格差も長時間労働に相関関係があるようです。AIが労働を肩代わりしても、歴史を振り返る限り労働時間の削減が進まないと思われます。
1日10時間の週4日勤務ではうまくいかない

週5勤務を持続するか、週4日勤務の10時間労働に切り替えるか、週4日勤務にして給料の減額を受け入れるか3択の場合、人は週4日勤務を選びません。所得減を嫌う傾向が強いようです。
上記の3択の場合、4人に3人は週4日勤務の10時間労働を選択します。しかし、著者は週4日勤務の10時間労働を好ましく思えません。1日に10時間もの立ち仕事をしたり、デスクワークしたり、自動車を運転することは健全ではないのです。
興奮する時間が増えれば睡眠に影響が及びます。睡眠は寝だめできず、睡眠不足は健康リスクに負債という形でのこります。返済にはかなりの時間が必要です。週4日勤務の10時間労働は、ウェルビーイングの向上にはならないでしょう。睡眠の質を上げるには疲労レベルを低下させることが、最大の改善に繋がります。労働時間を減らすことの価値を知っておく必要があります。