※読んだ本の一部を紹介します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
はじめに
トランスジェンダーの人に対して抑圧的に振る舞っているわけではないけれど、ジェンダーの人が完璧に居心地のよい経験をしているわけではありません。
トランスの生の現実を考えることを希望と託すのは、しばしば不公正な権威が覆されることです。
目次
書籍情報
タイトル
トランスジェンダー問題
議論は正義のために
著者
ショーン・フェイ
慈善団体で働く、執筆家。
弁護士や記者の訓練を人です。ロンドンに拠点を置き、LGBTQの先駆者たちにインタビューするポットキャストシリーズを手掛けています。
出版
明石書店
トランスの生
ケイトとジョー夫婦は、私の調査に協力して話をしてくれることになりました。招き入れてくれた食卓にはアレックスがいて、彼女の服装のセンスにはこれと言って女性らしいものはありません。女の子らしい女の子というわけでもなかったのです。
自分を男の子として呼びかける母親に対して、アレックスが間違いを指摘し始めたのは3歳くらいこと頃でした。
「good boy」に対して「No. good girl」と返ってくるようになったのです。最初、ケイトとジョーはどうしらいいかわからずに不安を覚えたと言います。
「私を女の子って呼んじゃいけない理由があるの?」「私は女の子なのに」「どうして女の子として扱ってくれないの?」周囲に対して強いこだわりを示すようになったようです。それがどれほど強いものであったか、ジョーは丁寧に教えてくれました。
インターネットに助けられる
インターネットを開くと、たくさんの情報がそこにありました。5年前なら、私たちと同じような状況の保護者たちが調べものをしてもおそらくまったく何も見つからなかったでしょう。
多くの情報を手にすることができ、特にアメリカの保護者たちが書いたブログや記事には助けられました。
戸惑いながら歩みを進めるにつれ、ケイトとジョーは自分たちがもっと知る必要があることに気づいたのです。
アレックスに対し男性代名詞を使うことをやめました。それでも、アレックスの日常的な抑うつはほとんど緩和されることはなかったのです。彼女を取り巻く世界が、依然として彼女を少年として扱っていました。
保護者が受け入れること
多くの保護者が本当の意味で受け入れているとは思えません。そのことが心配です。「子どもたちは元気いっぱいです」と書かれるくらいには、理解しても考えてもいないのですから。
子どもたちが大きくなるにつれて何が起きるかわかりません。これからの問題についてきちんとした教育を受けられるとは、思わないからです。
トランスの児童生徒のうち64%が、LGBTQであるという理由でいじめられているが、いじめられたトランスたちのほぼ半数が誰にも相談していません。そして、ほとんどのトランス児童たちがトランスフォビックな発言を学校で耳にしています。
トランスワーカー
「セックス・アンド・ザ・シティ」第3シーズンの最終話で、主人公であるサマンサ・ジョーンズは黒人とラティーナのトランスのセックスワーカーたちのせいで睡眠を妨げられています。ニューヨークのミーとパッキング・ディストリクト地区にあるアパートの窓から身を乗り出して客引きをしている様子です。このトランス女性たちは「上にはおっぱい、下にはタマタマが」ついていて、縁石めぐりをしている顧客をそれで誘惑します。
男性にサービスを売るトランスのセックスワーカーの存在は、長い間広く知られています。これらのジョークは、こうした仕事をしているのが有色のトランス女性であることが多いという事実に気づいているようです。
トランスのセックスワーカー
トランスの人口は1%に満たないけれど、セックスワーカーの4%をトランスが占めています。
オンライン配信やポルノグラフィなどのトランス専門の分野では、目下成長中のマーケットがあるのです。
トランスジェンダーポルノは、ほとんどの国でトップ10の人気カテゴリーに入っています。
世界的にみて、トランスが殺される殺人事件で、被害者の職業が明らかになるのはセックスワーカーです。
ヨーロッパにおいて、トランスの殺人事件被害者は移民が7割程度となっています。そして、殺害された移民のほとんどは性を売っていました。
生活に余裕があるような人々ではありません。そのような生き方をせざるを得えず、命を脅かされるような暴力を受けるのは、違和感を覚えます。
トランスたちは、家族からの拒絶やホームレス状態を経験したすく、そこにさらにヘルスケアのまとまったコストがかかります。セックスワーク以外の労働を確保することに苦労しているのです。
変容された未来
資本主義の下では、トランスの解放はあり得ません。これは事実です。
未だに世界中の資本主義が、男性と女性の労働を別々に考えていることや、男女で役職などの身分と賃金に差があります。また、資本を成り立たせるために、一定の失業を必要とします。
また、コロナウイルスのパンデミックによる不況など、生活の変化が起きています。気候変動などの環境要因も影響するでしょう。
トランス女性へのプレッシャーが大きくなると、それだけ反発も生まれます。監視や軍事化、反移民レイシズムを増大させるかもしれません。
トランスたちの希望は、論争されたりバカにされたりする問題ではないのです。トランスではない人たちの平穏を保つ希望になります。自由に生きる可能性も見いだすことでしょう。
感想
サイト管理人
ガチのトランスジェンダー解放への想いが詰まった本です。
物凄い文字数で、インタビューの内容と考察がぎっしり書留られているように感じました。
生の生活の様子が窺える内容になっていて、上辺だけを語るようなものではありません。お金儲けのためにトランスジェンダーの情報を扱っているわけではないことがわかります。
少し高くて、文字量が多くて、とっかかり難いけれど、情熱を感じる書籍です。トランスジェンダーの今に焦点をあてた問題を、理解しようとしてみても良いのではないでしょうか。
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