土を喰う日々

※読んだ本の一部を紹介します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

書籍情報

タイトル

土を喰う日々

わが精進十二カ月

発行者 佐藤隆信

発行 (株)新潮社

著者

水上勉

 北陸や京都などを舞台に、貧しい生活を題材とした作品は人気となり、量産四天王とも呼ばれていました。
 天安門事件を目の当たりにし、東京からの救援機第1号にて帰国した人物でもあります。集中治療の結果、心臓が3分の1になったものの退院したのです。退院後も、ワープロはマッキントッシュを使った執筆活動を続け、85歳で肺炎のため亡くなられました。

出版

新潮文庫

いまの料理番組

イラスト素材(くわい)作者: Kikainoko

 いまの料理番組を時折見かけては驚くことがあります。くわいなどの皮を包丁でむかれ、着物まるごとはぎとるようで、身がほんの小さなものになるのです。

 苦味があって甘味のある皮が捨てられるとあっては、もったいないと思います。

 小芋の皮むきなども同様です。独特のすがたをした小芋は、よくたわしで土を削ぎ落しただけで、茶褐色のたてジワのよった皮をもっています。ぼくらは、この皮が多少はのこるくらいでやめるのです。

 テレビの板前さんは、包丁を起用に使い、小梅ぐらいの大きさにまで小芋をむいてしまいます。

 つい先ほどまで、雪の下に埋めて、香りを育てていた土が泣くでしょう。香り、味といってもいいです。土に包まれていれば、ビニール包みに入れておくよりは、いい香りがのこるものなのです。

春さきは山菜の宝庫

cheolhan joによるPixabayからの画像

 春先は、軽井沢に住むことのありがたさを感じます。近くの別荘地には谷があり、底の浅い川が流れているのです。ナイフでえぐったような谷へ山の雨水があつまってきて、真夏でも水が切れたことがありません。そこへゴム長をはいて、水芹を取りに行く日のよろこびといったらないのです。

 嫁菜、水芹、たらの芽、アカシアの花、わらび、みょうがだけ、里芋のくき、山うど、あけびのつる、よもぎ、こごめなど、家の周りには春の山菜の祭典が開かれています。

 都会に住むものは、つまらぬよもぎ葉にと思うでしょうか。

 冬の厳しい冬を超えて、水草わきに芹の海が待ってくれているのです。これを見て、毎年感動しています。

 あけびのつるは、庭にあったのを千切ってきたものを、灰汁でよくゆがき、水につけてあくぬきしています。これをだし汁につけて、しょうがをそえればなかなかの風味です。

 たらの芽の天ぷら、こごめの胡麻あえ、よもぎの精進揚げ、水菜のみそ汁、人間の旬の食べ物にされるべく生息するのをみると、自然の不思議さも感じてしまいます。

夏野菜

Simone RによるPixabayからの画像

 7月は何を喰ったらいいのでしょう。これも畑と相談するしかないのです。

 夏の多さ間といえば茄子になります。秋までその日その日思いつく料理を楽しむのです。

 茶筅茄子。じくを半分切り残しておいて、一緒に煮ます。頭の方に包丁でスジを入れておくと煮汁でふくらんで茶筅状になるのです。

 ウチワ茄子。若いところをヘタつきのまま2つに割り、よくゆでて、2枚ずつ皿にのせ、ゴマ味噌をのせるか、わきにつけだします。

 むし茄子。蒸し器でよくむすのですが、小さいのはまるごとで、大きいのは2つに割ります。これも背中に筋を入れておきます。おろししょうがをひとつかみ盛り付け、醤油で喰う、ゴマ味噌でも美味しいです。

 焼き茄子。良く焼けた皮をむくのに、形をくずさないようにしなければなりません。小さいのを串にさして焼いて妙な感じのものができあがったこともありました。これもしょうが醬油、味噌があいます。

 みょうがの季節でもあります。庭のすみにつくって、群がるように生えてくるのです。これを摘んできて山椒味噌にあえてみます。三賞はよく擦り、赤みそを使ってみたら、なかなかによかったのです。

 みょうがを八百屋ではバカと呼ぶらしいのです。自己を頑固に守り通して滋味を一身にひきうけている野菜を他に知りません。

秋の恵み

クサボケの実(地梨子)作者: おくやまさき

 秋は山に果のなる季節です。地梨子は、よく探さないと見つかりません。やや湿った雑木林の影にあったりする。青く、葉の色とかわらないのでよくみないといけないのです。1本見つければ、数十個ぐらい収穫できるときもあります。数少ない木に巡り合うと、貴重な思いがするのです。王侯貴族の愛飲したものだという気もします。

 すぐりは、浅間ぶどうともいいます。山ぶどうより小ぶりで身が硬く、紫赤色に熟れて収穫するときに手が染まります。こちらも飽きの山歩きの時に根気よく探さなければなりません。

 どちらも果樹酒になります。すぐりの2年かけてドロドロになったものは、ジャム代わりに食べても良いでしょう。独特の苦みに甘み、少々歯に種の感触があるのが気になりますが、桑の実ジャムをまかす味です。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 ここまでアクティブに、自生している植物や果物を食べて楽しむことができるのは、少し羨ましくも思えてきます。

 真似はできないけれども、タンパクな外来種の魚などを組み合わせれてば、かなり健康的な食生活が送れるかもしれません。それ以前に体を壊しそうではあるので、体力と相談して、ほどほどに自然と向き合うのも悪くないと考えました。

 映画にもなった書籍、美味しそうで気になるという方にお勧めいたします。

購入リンク

※amazonの商品リンクです。画像をクリックしてください。

電子

※amazonの商品リンクです。画像をクリックしてください。

(Visited 13 times, 1 visits today)
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です