やさぐれトラックドライバーの一本道迷路

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 私は偉そうに物流や運送を語れるような「専門家」でも「有識者」でもありません。しがない「貧乏暇なしライター」です。トラックに限らず人権に関わる様々な時事問題や社会課題を中心に記事を書いてきました。

 ここ数年、トラックドライバーの労働問題を書き続けているのは、彼らの労働環境があまりに理不尽だとしっているからです。

 「運び手には『人権』がない」

 私の勤めていた工場の近くには毎度平気で4時間待たせる得意先がありました。アイドリングストップで、炎天下のなか無駄に待たされることになるのです。

 荷主には服従しているかのような反応をするトラックドライバーも多いようです。言われたことをやらなければ、「他を探す」と脅されてしまいます。

 自分が経験したり目の当たりにしてきた仕事が知らない人たちから見下されたり、誤解されたり、評価されなかったりするのが許せないというエゴを執筆動機としています。砕けた文体で書いている本書を読んで、トラックドライバーがどんな人たちなのか知ってもらいたいのです。

書籍情報

タイトル

やさぐれトラックドライバーの一本道迷路

現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます

第1刷 2023年6月29日

発行者 山下直久

発行 (株)KADOKAWA

イラスト 田澤ウー

ブックデザイン 鈴木成一デザイン室

コラム漫画 焦げ猫&Nodoka

DTP ユニオンワークス

校閲 麦秋アートセンター

編集 佐々木健太郎[KADOKAWA]

印刷・製本 大日本印刷(株)

ISBN 978-4-04-606257-4

総ページ数 207p

著者

橋本愛喜

ライター。
父親が経営する工場でトラックドライバーとして日本各地を走る。日本語教師などを経て渡米。
現在は日本の社会問題、ブルーカラーの労働問題を主軸として幅広いメディアで取材・執筆を行う。

X(Titter)

出版

KADOKAWA

もくじ

  • 第1章 トラックドライバーの仕事と日常
    • 宅配は1割以下
    • 緑ナンバーと白ナンバー
    • カーネルおじさん30体
    • トラックがノロノロ走る理由
    • 24時間道路上生活
    • 歯がない理由
    • あるある漫画「お腹が空いたら」
  • 第2章 根付く”理不尽”
    • 送料無料って言うな
    • トラックドライバーの実名報道
    • 止まっても違反、止まらんでも違反
    • 段ボールは梱包材か商品か
    • 荷主に罰則がない怪
    • 深夜割引
    • あるある漫画「よっぽどエコじゃない」
  • 第3章 ドライバーの社会的地位
    • 正義のために違反するドライバーたち
    • 黄金のペットボトル
    • 高齢ドライバー問題
    • トラックドライバーと酒
    • なーにがトラガールじゃ
    • 「ブルーカラー」を差別用語だという人へ
    • あるある漫画「トラガールでいいんかい⁉」
  • 第4章 コロナ禍のドライバー
    • ”ひっ迫”していなかったトラックドライバー
    • 旦那がドライバーだから出勤するな
    • シャワールームの閉鎖
    • 20時までの飲食店時短
    • コロナ禍の苦労
    • コロナ禍のごみ収集員
    • あるある漫画「やっぱり大変だったけどさ」
  • 第5章 2024年問題
    • これがホントの「2024年問題」
    • トラックドライバー不足
    • 有識者ってなんや
    • 再配達を有料にできない3つの理由
    • 公私混同しないとやっていけない
    • あるある漫画「有識者ってなんや」
  • 第6章 それでもドライバーを辞めない理由
    • トラックドライバーたちの特徴Ⅰ
    • トラックドライバーとちの特徴Ⅱ
    • ドライバー同士の見えない絆
    • トラックドライバーの恋愛・家庭事情
    • トラックドライバーあるある
    • どれでもトラックを降りない理由
    • あるある漫画「ウイング車あるある」
  • あとがき

トラックがノロノロ走る理由

 トラックは、これだけ身近に走っているにもかかわらず、世間でその存在が意識されていません。彼らがあれだけ社会を下支えしている事実はほとんど報道されないのに、トラックが関係する事故が起きた時は、時に菓子割合が低くてもすぐに現行犯逮捕・実名報道されます。

 「黄金のペットボトル」「路上駐車」「ノロノロ運転」これらは、迷惑行為として多々報道されるのです。世間に迷惑をかけることは完全悪で、擁護も正当化するつもりもありません。しかし、迷惑行為が起きてしまう社会構造を知ってもらう必要があります。

 交通量の多い一般道路でよく見かけるのが、前の車との車間をめいっぱい空けて走るトラックです。一般ドライバーが怒っているのをよく見かけます。SNSで投稿すらされるほどです。

 しかし、考えてみてほしい。混雑している道路で、いくら車間を詰めても到着する時間が早まることは絶対にないのです。労力をつかう意味が全くありません。

 何より、ゆっくり走るのは、車体の大きさゆえに事故を起こすと大事故につながります。スピードを出したり、不測の事態で急ブレーキを踏むと、荷物が二台で荷崩れを起こすこともあるのです。

 荷崩れで済めばまだいいですが、積み方によっては、慣性の法則で荷物が運転席になだれ込み、最悪の場合、ドライバーが押しつぶされることもあります。

ドラックドライバーは、前方に不測の事態が起きた時、「前への衝突」と「後ろからの荷崩れ」のどちらかを天秤にかけることを余儀なくされるのです。

高齢ドライバー問題

 高齢ドライバーの高齢化といわれる場合は、緑ナンバーではなく白ナンバーのトラックです。製造業、建設業、林業、漁業、農業などの現場で活躍するトラックドライバーが代表格となっています。

 少人数で細々と経営している会社が非常に多いため、体調管理が十分でない高齢ドライバーが走ることもザラです。

 トラックドライバーを再雇用しようとする動きも出てきましたが、正直、これまで配送経験のない60代を再雇用してトラックを運行させようとする発想は、元トラックドライバーとしては「定年後の再雇用先程度の仕事」と示されているようで、気持ちのいいものでもありません。

 再雇用後の給料もかなり安いのも、悶々とします。

 再雇用の制度を決定する前に、現場を見て人手不足の現状を見て欲しいのです。

20時までの飲食店時短

 コロナ禍のトラックドライバーは不便を強いられてきたわけです。最も憤っていたのが、トラックドライバーの「食堂難民問題」でしょう。

 スーパーやコンビニ、ECサイトなどは休むことなく稼働し、トラックドライバーたちは走り続けていたのです。そんななかSAPAにある食堂まで20時で閉まっていました。時短営業です。

 当時の国交省の赤羽大臣に時短営業での問題点を質問したときに「トラックドライバーにはコンビニの場所をご案内する」と答えました。

 何を言っているのだろう。官僚の誰よりも、コンビニの場所はトラックドライバーのが詳しいはずです。食べるところを封鎖しているコンビニを使えというのは、酷い扱いではないだろうか。

 また、コロナ禍ではコロナを運ぶとして邪険にされるドライバーもいました。トラックはひとりで運行しているため、電車に揺られるサラリーマンの人より感染リスクはうんと低い環境です。

 エッセンシャルワーカーという聞こえのいい名前をつけただけで、国交省は誰の味方をしていたのでしょうか。

トラックドライバーの特徴

 トラックドライバーから長時間労働に対してあまり文句が出ないのには「トラックがすきだから」です。

 各地の絶景や事故現場をガラス越しに見ながらハンドルを持つのが好きなロマンチストも多くいます。SNSで良く風景などを投稿する人もいるほどです。

 眠気対策にラジオを聞きまくるので、結構情報通の運転手も多いようです。

 なぜがステッカー好きが多いのもトラックドライバーの特徴です。「手済みだョ!全員集合」「アイドル・ストリップ宣言」「それいけ!あんぽんたん 愛車と孤独だけが友達さ」「早くお家に帰り隊」そんなおもしろステッカーに目がありません。

 時間通りに起きられるという特殊能力も目立ちます。到着時間の感覚も優れているし、仮眠の時間も正確です。

 空間把握能力は研ぎ澄まされるようで、スーパーの袋詰めなど誰よりも上手にギチギチに詰められる人がいます。荷造りに関してはすき間なく詰め込まなければならないので、かなりテトリス感覚が鍛えられるようです。

 長距離トラックドライバーに関しては300~400kmの移動くらいだと、割と近いような感覚があります。東京ー大阪間くらいならドライブに行くくらいの感覚でできてしまいます。

 全国の孤独のグルメに詳しく、写真を撮るのがやたら上手い、楽しみながらでないとやってられないのです。

あとがき

 ニューヨークでライター活動していた私は、ある日「ネタの宝庫」であるはずの街でネタ切れを起こします。

 迫りくる締切に「身売りするしかない」と慌てて書いたのが、自分の経験を元にした「トラックドライバーたちの現場」の記事でした。

 現役のときも運送業のトラックドライバーたちにいつも助けてもらっていましたが、今もこうして書籍や記事を執筆するにあたり、助けてもらっています。

 またこの書籍を各地各家庭に届けてくださったドライバー各位に最大にありがとう。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 ワクチンの遅れに関しては、本書で指摘されるほど対応していなかったわけではありませんが、困っている人への対策が足りなかったと現場の声があります。個々で食べられる個別のカウンターなどがあれば、ドライバーの助けになったでしょう。今後には、活かしていただきたいと思います。

 ペットボトルで用を足さなければならない状況をつくっているのは、ECサイトで買い物をしている私たちと、物流に頼っている企業です。高架下に弁当の食べかすと一緒に捨ててしまうのはどうかと思いますが、便利な世の中を支える業務のしわ寄せが、迷惑行為につながってしまっている事実も受け止めました。

 コロナ禍で業務過多になった事業は他にもありましたが、飲食店の時短やシャワーが浴びれないのは少し辛いかもしれません。車の中では、なるべきなら食べたくはないでしょう。

 あまり、稼げないとあれば、ウーバーやり始めたきっかけに辞めたり、オーストラリアに出稼ぎに行って国際免許をとり、月150万円くらいトラックの運搬で稼ぐといった人が出てきて、どんどん人材が流出するのもうなずけます。

 65歳以上の交通事故は減っていないのに、再雇用先にトラックドライバーというのは謎です。トラックドライバーは本当に運転の上手い人達ばかりで、そのドライバー技術が65歳以上で身につくか保てるかといえば、極々少人数の人だけでしょう。

 AIが活用されて、どんどんインターネットでの物販が増えて行くと予想できるなか、トラック運搬の社会課題はけっこう重要なことだと感じます。

 どこに問題があるか、この問題を追い続けてきた人の書籍を読んで確かめてみてはいかがでしょうか。

 下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。

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