弱くても、勝てました。/著者:鈴木博毅

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書籍情報

タイトル

人生とビジネスに役立つ逆転の戦略 55

弱くても、勝てました。

発刊 2023年9月

ISBN 978-4-05-406922-0

総ページ数 160p

著者

鈴木博毅

ビジネス戦略コンサルタント。
戦略論や企業史を分析し、負ける組織と勝てる組織の違いを追求しながら、失敗の構造から新たなイノベーションへのヒントを探ることをライフワークとしている。

出版

Gakken

もくじ

  • 三つのポイントを押さえて、逆転勝利せよ!!!
  • chapter1 相手を【パニック】にして 大勝利‼
    • 敵に長距離マラソンをさせて 大勝利!(柏拳の戦い)
    • 敵の食糧を焼き尽くして 大勝利!(官渡の戦い)
    • 船に火をつけて 大勝利!(赤壁の戦い)
    • 牛牛大作戦で 大勝利!(倶利伽羅峠の戦い)
    • イキる敵を背後からアタックして 大勝利!(厳島の戦い)
    • 矢の雨を降らせて 大勝利!(ワールシュタットの戦い)
    • 兵士3倍偽装作戦で 大勝利!(ゴータの戦い)
    • ウソの弱点で誘い、包囲して 大勝利!(アウステルリッツの戦い)
    • ニセの情報を流して 大勝利!(ノルマンディー上陸作戦)
    • ビジネスde大逆転 「24時間営業」の事務で同業他社の度肝を抜いて勝利!
  • chapter2 【場所】を利用して 大勝利‼
    • 包囲して、空腹で弱らせて 大勝利!(アレシアの戦い)
    • わら人形作戦で 大勝利!(千早城の戦い)
    • 〝馬と鹿ってほぼ同じ〟理論で 大勝利!(一ノ谷の戦い)
    • ツルツルすべる石垣の城で 大勝利!(砥石崩れの戦い)
    • 「雨の中からこんにちは❤」作戦で 大勝利!(桶狭間の戦い)
    • 「目には目を、水には水を!」作戦で 大勝利!(忍城の戦い)
    • 丘を利用して 大勝利!(トゥール・ポワティエ間の戦い)
    • 猛吹雪の中からのアタックで 大勝利!(ナルヴァの戦い)
    • 雪のこわさを思い知らせて 大勝利!(冬戦争)
    • ビジネスde大逆転 「北海道を武器に」地域性を売りにして勝ったセイコーマート
  • chapter3 【タイミング】をつかんで 大勝利‼
    • 超でっかい馬に夜まで隠れて 大勝利!(トロイア戦争)
    • 怒りのパワーで大勝利!(彭城の戦い)
    • エライ人が死ぬのを待って 大勝利!(呂氏の反乱鎮圧)
    • 驚異のスピードと身軽さで 大勝利!(イサンドルワナの戦い)
    • 時間を稼いで 大勝利!(ロルクズ・ドリフトの戦い)
    • 昔の成功例を真似して 大勝利!(アンティオキアの功囲戦)
    • 推し並みに研究し尽くして 大勝利!(第6次対仏大同盟)
    • ダダ漏れの情報をキャッチして 大勝利!(ミッドウェー海戦)
    • 調子に乗った敵を一網打尽にして 大勝利!(上田原の戦い)
    • ビジネスde大逆転 マスクの天才的なジャッジで世界一のメーカーに成長したテスラ
  • chapter4 【相手の力】を分断して 大勝利‼
    • 絶世の美女を贈って 大勝利!(呉越戦争)
    • 相手の対象のワガママで 大勝利!(湊川の戦い)
    • 大軍をたくさんの小軍にして 大勝利!(サルフの戦い)
    • 裏切りの約束をさせて 大勝利!(関ヶ原の戦い)
    • デキる艦長を多数そろえて 大勝利!(トラファルガーの海戦)
    • 敵の反対勢力を裏切らせて 大勝利!(グアダレーテ河畔の戦い)
    • 〝デンマークぼっち作戦〟で 大勝利!(第2次デンマーク戦争)
    • ビジネスde大逆転 10億ユーザーの心を一気につかんだショート動画TikTok
  • chapter5 【正義の旗】を掲げて 大勝利‼
    • ウチのチームが超有利とウワサを流して 大勝利!(多々良浜の戦い)
    • ジャングルからラジオを放送して 大勝利!(キューバ革命)
    • 原典の教えに立ち返って 大勝利!(ルターの宗教改革)
    • とにかく実用性を押して 大勝利!(ケプラーの地動説)
    • とにかく逃げまくって 大勝利!(アメリカ独立戦争)
    • ビジネスde大逆転 SDGs時代の価値を提供し、あっという間に台頭したメルカリ
  • chapter6 【チームの力】で 大勝利‼
    • 敵の得意な集団戦法を封じて 大勝利!(元冠の戦い)
    • 海賊までの仲間にして 大勝利!(アルマダの海戦)
    • 実力ある人を採用できて 大勝利!(第1次対仏大同盟)
    • お友達大作戦で 大勝利!(第1次デンマーク戦争)
    • 敵の十八番を研究し尽くして 大勝利!(ゼロ戦と太平洋戦争)
    • 農民や労働者の心をつかみ 大勝利!(淮海戦役)
    • 1600万人を仲間にして 大勝利!(アメリカの欧州参戦)
    • 国際社会を味方につけて 大勝利!(ベトナム戦争)
    • 味方をビビらせて 大勝利!(井陘の戦い)
    • ビジネスde大逆転 「強い意志」があれば、どんなに悲惨な状態からも大逆転できる!
  • chapter7 【あの手この手】で 大勝利‼
    • 砂漠におびき寄せて 大勝利!(ヒッティーンの戦い)
    • 自分の街に火をつけて 大勝利!(ナポレオンのロシア遠征)
    • 最新の戦術&武器を活用して 大勝利!(セラヤの戦い)
    • 包囲されてもへっちゃらな補給路で 大勝利!(インパール作戦)
    • チートすぎる武器を使って 大勝利!(ガザラの戦い)
    • 自転車で爆走して 大勝利!(ナレー作戦)
    • 高性能レーダーで丸見えにして 大勝利!(Uボート撃滅作戦)

はじめに

 一般的に「兵士の数」と「強さ」は比例します。劣勢な側が勝利する「大逆転」はめったに起きません。だからこそその知恵を取り上げる価値があり、研究して学ぶ価値があるとも言えるのです。

 数が少なくても勝利する戦いには、共通点が3つあります。

  1. 自軍の損害が最小
    • 「こちらの損害が相手より少ない」なら、逆転勝利につながる
  2. 機会を最大化できる‼!
    • チャンスが高まったときに、チャンスを逃さない人が逆転する
  3. 圧倒的なリーダーの存在!!!
    • 突出してすぐれたリーダーがいるチームは逆転勝利する

 多くの驚くべき逆転勝利を生み出し、人類の歴史を彩ってきました。逆境に立たされていたとしても、過去の偉人たちのように、きっと逆転勝利できるはずです。

時間を稼いで大勝利

ロルクズ・ドリフトの戦い
槍と盾で戦うズールー軍4000人 vs ライフル銃を使う英軍150人
 南アフリカで1879年の1月に始まった「イサンドルワナの戦い」では、ズールー軍が勝利し、英軍が敗れました。ズールー軍は翌日に、ロルクズ・ドリフト砦の英軍の壊滅を狙います。英軍は極めて少数のため、砦を守りながら援軍が到着するまでの時間を稼ぐことを狙いました。英軍の守備隊にイサンドルワナの状況が伝わっており、事前に銃眼などを用意した砦を準備することができたので、援軍がくるまでの時間を稼ぐことに成功したのです。

 今は世界的に有名な自動車メーカーとなったステラ社です。2003年に創業した同社は、当時不可能とまでいわれていた電気自動車の商業生産に挑み、大成功を収めました。

 バッテリーの持続時間の短さと、価格の高さのために、商業販売は難しいと思われていたのです。イーロン・マスクは、リチウムイオンバッテリーの性能向上と制御技術の発展を予期していました。

 テスラは最適なタイミングを見極め、先駆者としてブランド化と商業化の2つに成功して、2023年には時価総額世界一の自動車メーカーになりました。

裏切りを約束させて大勝利

関ヶ原の戦い
豊臣恩顧の西軍8.2万人 vs 徳川家康の東軍7.4万人
 豊臣秀吉や前田利家が無くなったことで、家康は勢力を伸ばしました。そして、豊臣側の反家康陣営(石田三成や毛利輝元)の排除の計画を進めたのです。
 事前に西軍の吉川広家や小早川秀秋などに高い報酬や約束を取り付けて、裏切予定者を作り出しました。戦いに勝ったが、戦後の報酬は一部守られておらず、毛利家は大きく領地を削られています。

 分断とは相手に狙いを絞らせないことであり、相手の意思決定を難しくされることができます。ビジネスではTikTokがYouTubeを翻弄した例があげられます。

 日本では2017年に上陸したショート動画のTikTokです。このアプリは中国企業のByteD-anceが展開しいて、2022年には全世界で月間利用者数が10億人を超えました。

 YouTube側も対抗策としてショート動画サービスを開始し、収益化もできるようになって注目を集めていますが、TikTokのスマホに特化した拡散性の高い仕様がうけて、一部の海外ではYouTubeの利用時間よりTikTokの利用時間が長いようです。

1600万人を仲間にして大勝利

アメリカ欧州参戦
ドイツ軍900万人 vs 英軍400万人
 欧州の戦争に巻き込まれるのを、米国はさけていましたが、日本軍による真珠湾攻撃で、米国は第2次世界大戦への参戦を決意しました。世界最大の軍事力を味方に引き入れたことで、形勢が逆転して勝利しました。

 成功者たちは、人生の最初からすべて順風満帆だったわけではありません。不幸を嘆くのではなく「ここから全部学んでやる!」という闘争心があったのです。

 クロネコヤマトの小荷物運送に切り替えた初日の荷物は11個です。しかし、あきらめず続けて、今や売上1兆7000億円を超える成長企業となりました。

 コスパ最高の人生とは、一本の直線ではなく、先が見えないほどの曲がりくねっているものです。苦労や悲惨が多いほど、学びはより深くなります。

最新の戦術&技術を活用して大勝利

セラヤの戦い
パンチョ・ビリヤ軍3万人 vs オブレゴン軍1万人
 ディアス政権の打倒から始まったメキシコ革命は、何度も勢力図が変わる混乱です。
 革命軍の中でも庶民に人気があったビリャ軍団がドイツから取り入れた戦略と機関銃で殲滅し、庶民派による政権の奪取は夢と消えました。オブレゴン将軍は大統領になり、各派と和平を結んで、ビリャを暗殺することで落ち着きました。

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