まじめに動物の言語を考えてみた/著者:アリク・カーシェンバウム

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書籍情報

タイトル

まじめに動物の言語を考えてみた

発刊 2025年5月25日

ISBN 978-4-7601-5605-1

総ページ数 326p

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出版社リンク 柏書房(note)柏書房

著者

アリク・カーシェンバウム

気鋭の動物学者、動物の音声コミュニケーションの分野における世界的な第一人者であり、10年以上にわたり世界の荒野を歩き回り、その分析に取り込んできた。

出版

柏書房

もくじ

  • 序章 みんなが話してる…誰も言葉を発していないけど
  • 第1章 オオカミ
  • 第2章 イルカ
  • 第3章 インコ
  • 第4章 ハイラックス
  • 第5章 テナガザル
  • 第6章 チンパンジー
  • 第7章 ヒト
  • 終章 もしも動物と話せたら…

書籍紹介

 この本は、科学的な視点から動物の「言語」を探求しつつ、ユーモアと好奇心にあふれた語り口で読者を引き込みます。著者のアリク・カーシェンバウムは進化生物学者として、動物の音や仕草、匂いといった多様なコミュニケーション手段を丁寧に分析し、私たちが普段気づかない動物たちの豊かな世界を教えてくれます。

 本書では、クジラの歌やミツバチのダンス、鳥のさえずりなど、さまざまな動物のコミュニケーションが紹介されます。特に印象的なのは、動物たちが単なる本能でなく、状況に応じて柔軟に「会話」をしているという視点です。例えば、オオカミの遠吠えは仲間との連携を深めるだけでなく、感情や意図を伝える手段としても機能していると説明されています。また、著者は人間の言語と動物のコミュニケーションの違いや共通点を掘り下げ、言語の進化について考えさせられる議論を展開します。科学的なデータや実験結果を基にしているため、専門的な内容も多いのですが、著者の軽妙な筆致のおかげで、難しい話も楽しく読み進められます。

 動物たちがどのように「話す」のかを知ることは、まるで異文化の友人と対話するような新鮮な驚きに満ちています。自然や生き物に興味がある方はもちろん、言語やコミュニケーションの起源について知りたい方にもおすすめです。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

ミツオシエ

 ヒトと動物のコミュニケーションにおける例外中の例外が、ノドグロミツオシエとのやりとりです。

 ノドグロミツオシエはサハラ以南アフリカに広く分布する小さな鳥で、訓練されたわけでもないのに蜂蜜のありかをヒトに教えて食事にありつくことを学習しています。

 ヒトはハチの巣を見つけるのがあまり得意ではありません。一方でミツオシエは、木々を毎日飛び回っているので、ハチの巣と出くわすこと多々あります。そんなわけで、まるでヒトに協力するようにハチの巣のありかを教えてきます。

 東アフリカの多くの部族は、ミツオシエとの間で協力関係を築き、双方が理解できる語彙を形成しました。ミツオシエには「ついてこい! ハチの巣を見つけたぞ!」という音声があり、現地の部族にも蜂蜜採集にミツオシエを呼ぶ特別な音声があります。

 ミツオシエの小さな脳では、どのように情報処理されているのでしょうか。相手がヒトなら「いま何を考えているの?」と聞けば済みます。人間のコミュニケーションに比べてしまうと、動物の脳は永遠の謎です。

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