働く世界のしくみとルール/著者:小西康之

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

書籍情報

タイトル

働く世界のしくみとルール

労働法入門

発刊 2024年4月5日

ISBN 978-4-641-24379-8

総ページ数 308p

著者

小西康之

明治大学法学部教授

出版

有斐閣

もくじ

  • プロローグ
  • Ⅰ 働くことと法制度
    • 1 働くことと法のネットワーク
    • 2 働く世界のしくみとルールの成り立ち
  • Ⅱ 働く人のプロフィール──あなたは?
    • 1 正社員で働く
    • 2 アルバイト・パートで働く
    • 3 派遣で働く
    • 4 雇われずに働く──保護されるのはどんなひと?
    • 5 働いてもらう
    • 6 国際的に働く
    • 7 仕事をかけもちする 
    • 8 公務員として働く
  • Ⅲ 会社で働く
    • 1 さまざまなルール──労働条件の決まり方  
    • 2 就活する/入社する
    • 3 みんなそれぞれ尊重される
    • 4 賃金をもらう
    • 5 仕事の時間
    • 6 仕事をしない時間
    • 7 安全に健康に働く 
    • 8 変更される/処分を受ける
    • 9 会社をやめる
    • 10 再び仕事につく
  • Ⅳ ひとりで悩まない
    • 1 労働組合に入る
    • 2 団体で交渉する
    • 3 団体で行動する
    • 4 公的機関を利用する
  • エピローグ

書籍紹介

 本書は、働く人々が知っておくべき基本的な法律やルール、職場での権利や義務について、平易な言葉で解説しています。

主な内容

 この本は、労働者と雇用者の関係性や労働契約の基本、職場でのトラブルとその解決方法、さらには労働市場の変遷や現在のトレンドなど、多岐にわたるトピックをカバーしています。各章は実際の事例を交えて説明されており、具体的なシチュエーションに対する対処法も学べます。

魅力的なポイント

  1. 実用性: 本書は、働く人々にとって非常に実用的な内容が詰まっています。例えば、労働契約の基本的な理解から始まり、解雇やハラスメントの問題に至るまで、具体的な対処法が詳細に説明されています。
  2. 分かりやすさ: 専門的な法律用語が多用されがちな労働法の解説書の中でも、本書は平易な言葉で書かれており、法律の知識がない読者でも理解しやすい構成となっています。
  3. 最新情報: 労働市場や労働法の最新のトレンドや動向についても触れられており、現代の労働環境に関する知識をアップデートするのに役立ちます。

おすすめポイント

 本書は、新入社員や転職を考えている人、さらには職場でのトラブルに直面している人にとって有益な一冊です。特に、自分の権利を守るための知識を身につけたいと考えている人に強くおすすめします。また、労働法を専門的に学んでいる学生や研究者にとっても、実務的な視点を提供する良書と言えるでしょう。

結論

 『働く世界のしくみとルール』は、働く上で必要な基本的な法律知識を分かりやすく解説している一冊です。実際の事例を交えた具体的な解説が魅力であり、読者が直面する可能性のある多くのシチュエーションに対応できる知識を提供します。労働法や労働市場についての理解を深めたい方にとって、手元に置いておきたい一冊です。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

働く仕組みとルール

 働く世界の仕組みとルールは、困難な状況で働き、苦しんできた人々の歩みによって生まれ、発展してきたことを忘れてはなりません。

 個別的労働関係法は、劣悪な環境で働く年少者や女性を保護するために制定されました。現在では、特定の人々を保護するだけでなく、幅広い多様な人々が働くためのルールが重要な位置を占めています。日本で制定された法律には、1911年の工場法、1947年の労働基準法および労災保険法、1972年の労働安全衛生法、1985年の男女雇用機会均等法、2007年の労働契約法があります。

 集団的労使関係法は、労働組合が弾圧された歴史から始まります。国によって異なりますが、労働組合が禁止対象から外れ、承認や助成の対象とされるようになりました。日本で制定された法律には、1945年の労働組合法があります。

 労働市場法は、労働力の取引における不正行為や労働者の拘束といった問題に対処するために成立しました。再就職支援や職業能力開発などをカバーしています。日本で制定された法律には、1947年の職業安定法、1969年の職業能力開発促進法、1974年の雇用保険法、1985年の労働者派遣法があります。

アルバイト・パートで働く

 2022年現在、アルバイトやパートなどの非正規労働者は、全労働者の36.8%を占めています。その内訳は、パートが48.6%、アルバイトが21.6%、契約社員が13.5%、嘱託が5.3%です。

 労働者が長期間にわたり同じ労働契約に縛られることは、労働者保護の観点から問題視されています。そのため、労働契約の期間には3年という上限が設けられています。

 雇用期間の途中でも、やむを得ない事情がある場合には、労働契約を解除することが可能です。有期労働者の場合、解雇権の乱用に対する規制は無期労働契約よりも厳格です。有期労働者は契約期間中に簡単に解雇されることはなく、解雇には正当な理由が必要です。

 また、有期労働契約の不安定さに対応するため、雇い止め規制が設けられています。その一環として、労働契約法には無期転換制度が定められています。これは、同じ労働条件で引き続き働ける制度であり、「正社員」としての雇用を保証するものではありません。

最低賃金

 賃金額は基本的に労使の合意によって決定されますが、最低限の賃金を保障するために最低賃金法が制定されています。

 使用者は、労働者に対して最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。最低賃金額に達しない賃金を定める労働契約は、その部分について無効となります。

 労働基準法では、賃金の全額払いの原則を定め、労働者の権利を保護しようとしています。しかし、使用者が賃金を支払う能力がない場合も考えられます。民法や倒産法では賃金債権に特別な位置づけを与える規定が設けられていますが、それでも十分ではありません。こうしたリスクに対処するため、賃金支払確保法により未払い賃金を立替える仕組みが存在します。

 この立替えは、労災保険の適用事業主が1年以上事業を行っており、破産手続開始の決定を受けた場合などに行われます。この財源は労災保険の保険料です。

団体で行動する

 2023年の夏、ある百貨店で大規模なストライキが行われ、話題となりました。ストライキなどの団体行動権は憲法で保障されている非常に重要な権利です。

 団体行動が保護されるためには、争議行為や組合活動が正当であることが必要です。反対に、正当性が認められない場合、使用者による損害賠償請求の対象となったり、不当労働行為制度の救済対象とならなかったりします。

 ストライキの正当性は、政治目的のために行われたり、暴力的行為が含まれたり、財産に対する支配を抑止するような行為があったりすると認められません。

 また、争議行動に参加して就労しなかった労働者については、ノーワーク・ノーペイの原則により、その間の賃金請求権は認められません。

 一方、休業手当請求権については、「労働者の生活保障のために使用者に負担を要求するのが社会的に妥当とされる場合」が考慮されます。つまり、休業手当請求権は認められる可能性があると言えます。

購入リンク

amazon

(Visited 11 times, 1 visits today)
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です