イエローストーンのオオカミ/著者:リック・マッキンタイア

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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

書籍情報

タイトル

イエローストーンのオオカミ

放たれた14頭の奇跡の物語

発刊 2023年9月18日

ISBN 978-4-8269-0249-6

総ページ数 363p

著者

リック・マッキンタイア(Rick McIntyre)

40年以上にわたり国立公園局に勤務し、オオカミ行動観察研究を行う。
オオカミに関する講演会や、講演を訪れた観光客へ解説を行い、一般の人々を啓蒙してきました。

訳者

大沢章子

出版

白揚社

もくじ

  • イエローストーンのオオカミ
  • 本書に登場する主なオオカミ
  • イエローストーン国立公園 北東部地図
  • 序文 ロバート・レッドフォード
  • プロローグ
  • 第1章 オオカミ解説者になる
  • 第2章 オオカミがイエローストーンにやってきた
  • 第3章 はじめて見たオオカミ
  • 第4章 小さなオオカミと大きなハイイログマ
  • 第5章 二つの囲い地
  • 第6章 ローズ・クリーク・パックの新たなオスリーダー
  • 第7章 ドルイド・ピーク・パックがやってきた
  • 第8章 新たな群れの誕生
  • 第9章 8の新しい家族
  • 第10章 スルー・クリークの戦い
  • 第11章 子オオカミたちの遊び
  • 第12章 オオカミの共感力
  • 第13章 オオカミの子育て
  • 第14章 イエローストーンのロミオとジュリエット
  • 第15章 21と42の出会い
  • 第16章 イエローストーンの新たな時代
  • 第17章 オオカミの性格
  • 第18章 チーフ・ジョセフ・パック
  • 第19章 オオカミの家庭
  • 第20章 一九九九年の春
  • 第21章 オオカミの巣穴の日常
  • 第22章 オオカミとハイイログマ
  • 第23章 頑固な子オオカミ
  • 第24章 ドルイドの一歳児の旅立ち
  • 第25章 イエローストーンで過ごす初めての冬
  • 第26章 イエローストーンの一二月
  • 第27章 スペースメン・リッジの戦い
  • エピローグ
  • 謝辞
  • あとがき ダグラス・W・スミス
  • 訳者あとがき
  • 参考文献と読書案内

新たなオスリーダー

 ナンバー9が新たなオスリーダーとして8を群れに迎え入れたとき、8の責務は9の専属守護者になることで、9は自分を守ってほしいと期待するようなものです。

 新しくオスリーダーとなった8は、新たな家族の身に降りかかろうとするあらゆる脅威に立ちはだかり、それを打ち砕かなければなりません。

 ローズ・クリークのメスリーダーの選択に疑問の声を上げたことでしょう。8より体格のいい黒毛の兄弟のうちだれかのほうが、オスリーダー候補としてずっと適任だったのかもしれません。

 しかし、8はハイイログマに立ち向かう諦めない精神がありました。そして血縁のない子どもを引き受けて、養育する様子がうかがえます。普通であれば、前のオスの子ども皆殺しにして、メスと交尾し自分の子どもをもうけて、その子育てを手伝います。

 大型のオス犬が小さな子供に、耳やしっぽを引っ張られてもおとなしくしているのを見たことがある人は多いでしょう。犬にみられる、子どもを保護し、遊んでやりたいという欲求は、彼らの祖先であるオオカミから受け継がれたものなのです。

ロミオとジュリエット

 クリスタル・クリークの囲い地にマーキングの跡が残っていました。そこには数日前に8と21が付けていった臭いです。ギャングの一団が、敵対するギャングの縄張りのあちこちに、自分たちの名前をスプレーで吹きつけていくようなものです。

 ドルイドの若いオス31とそのペアの42は、幾度もローズ・クリークの縄張りに侵入したときもリトル・アメリカの巣穴付近を訪れて、大量のマーキングを残しました。オオカミは別のオオカミの臭跡を調べることによって、多くの情報を得ています。21は42が大人のメスであることに気づいたでしょう。

 21と42が、どちらも群れを離れて暮らしていたら、自分たちの縄張りで新しく群れをつくることができました。42にとっては、気難しいメスの姉妹から離れる機会にもなったのです。しかし、この2つの群れは敵対関係にあり、シェイクスピアのロミオとジュリエットによく似ていると思えます。もし恋に落ちた場合でも、結末は良くないものが約束されているようなものです。

一歳児の旅立ち

 163が群れを導くようになり、マーキングも頻繁に見られるようになりました。一歳児の163は成熟したいたので、よその群れのオオカミたちは、この土地の群れには2頭の大きなオスがいるという事実を察知して、縄張りから立ち去ろうとする効果があります。

 大人のオオカミの数が多いほど、撃退できる可能性が高くなるのです。群れのオオカミはリーダー格の方がストレスが多いことがわかっています。食べさせなくてはならないという責任を感じているようです。下位のオスはのんきに暮らしています。

 いつの間にか、163がドルイドの他のメンバーと一緒にいるのを見ることはなくなり、彼の信号も検知できなくなりました。おそらくパートナーを探しに出かけたのだと思われます。

あとがき

 わたしは、オオカミについての科学的研究をライフワークにしてきました。

 リック行ってきた観測結果や洞察を足し合わせることによって、イエローストーンのオオカミ研究は重要なものとなりました。オオカミを観察した9万9937回と、何千時間に及ぶ観察時間を付け加えることによって、その研究結果が何を意味するかがわかってきます。

 オオカミ・プロジェクトが行う科学的研究と協力し合うことで、リックはオオカミの思考を理解することに、だれよりも近づきました。

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