きみのお金は誰のため/著者:田内学

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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

書籍情報

タイトル

きみのお金は誰のため

ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」

発刊 2023年10月31日

ISBN 978-4-492-04735-4

総ページ数 247p

著者

田内学

2003年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。以後16年間、日本国債、円金利デリバティブ、長期為替などのトレーディングに従事。日本銀行による金利指標改革にも携わる。

出版

東洋経済新報社

もくじ

  • プロローグ 社会も愛も知らない子どもたち
  • 第1章 お金の謎1 「お金自体には価値がない」
    • 燃やされるお金
    • 捨てることのできるチケット
    • 金と欲望の歴史
    • 難しい単語に満足する人たち
    • 水を一万円で売る方法
    • 税金に隠された秘密
    • 即席でできる家庭用紙幣
    • トランプと札束が同じに見える瞬間
    • お金が広げる社会
    • ボスの正体
  • 第2章 お金の謎2 「お金で解決できる問題はない」
    • お金はえらくない
    • 百万円とドーナツの問題解決力
    • お金のむこうに人がいる
    • パスされた解けない問題
    • お金の力は選ぶだけの力
    • 七海の事情
    • お金を過信する国の末路
    • 紙幣で穴埋めできない生産力
    • 経世済民という優しい経済
    • 点数に憑りつかれた現代社会
    • ムダな仕事をなくすための条件
  • 第3章 お金の謎3 「みんなでお金を貯めても意味がない」
    • お金の地動説
    • 休日にお金を使えない街
    • 1億2000万人のイス取りゲーム
    • 増やせないお金
    • お金が隠す人々のつながり
    • 未来に蓄えるもの
    • 値段で価値は測れない
    • 内側と外側の価値の違い
    • 奪い合うお金と共有する未来
  • 第4章 格差の謎 「退治する悪党は存在しない」
    • ボスとエンジェル投資
    • 投資と世界の格差
    • お金の格差と暮らしの格差
    • 格差を減らす大富豪
    • 若い時間が未来を創る
    • お金の向こう研究所
    • 投資と消費のお金が選ぶ未来
    • 格差を作る犯人
    • 再配分の雨
    • 過去の重荷と未来への期待
  • 第5章 社会の謎 「未来には贈与しかできない」
    • 将来のツケにならない借金
    • 内側と外側で働く人々
    • 欲しがる預金と拒む借金
    • 同じ世代の中の格差
    • 時間は戻らない
    • 働けなくなった国の行く末
    • 将来のツケになる本当の赤字
    • 世界は贈与でできている
  • 最終章 最後の謎 「ぼくたちはひとりじゃない」
  • エピローグ 6年後に届いた愛
  • 最高文献

本書のコンセプト

 この物語の主人公のように、本来は道具であるはずのお金に縛られ、人生の選択がお金中心になってしまうことがあります。

  • お金自体には価値がない。
  • お金で解決できる問題はない。
  • みんなでお金を貯めても意味がない。

 これらの謎を解き明かすと、お金という鎖から解放され、お金を自分の遺志に従って道具として使えるようになるでしょう。

 物語を通じて、社会のしくみに隠された真実が明らかになっていきます。

 日々の生活で、お金に振り回されないためにも、まずはお金の謎を解き明かしましょう。

お金の力は選ぶだけの力

 七海はふたたび検察官のような鋭い目をボスに向けた。

 「やはり、お金こそが力だと思うんです」

 ボスは七海に優しい目を向けていう。

 僕もその話をしたい。お金の力とは何か。
 僕を助けてくれる人はたくさんいます。他の小麦粉工場に頼んでもいいし、米粉を買ってもいい。お金に力があることは間違いない。しかし、それはただ選ぶ力でしかない。
 選べることは、大事なことだ。20年前だったら、お金をいくら出してもスマートフォンを買うことができない。それを作れる人がいないから、選べなかったんだ。選べないとお金は力を失う。

増やせないお金

 七海が質問する。

 「お金を増やすことができないとおっしゃっていたのは、どういう意味なんでしょうか?」

 ボスは口を斜めにして笑いかける。

 「お金を増やせるのは、個人の視点や。せやけど、全体を見るとお金を増えへん」

 利息もお金の移動だ。銀行がもうけたお金を、預金者に払っているだけで、空中からパッと出てくるわけじゃない。金利の分だけお金が増えると思うのは、よくある誤解だ。

格差を減らす大富豪

 ボスは言う。

 みんなを等しく便利にした会社の創業者が、結果的に大金持ちになっている。

 七海がため息をついた。

 「格差を縮めるサービスを提供しているのに、お金持ちだという事実だけが抜き取られているのですね」

 「そうだ、中身もみないで、みんなの抱える問題を解決してくれるお金持ちを批判するのはちがう。暮らしを良くする会社が増えないといけない。だからこそ、もうからない投資は、社会への罪となる」

将来のツケになる本当の赤字

 「貿易赤字って、外国にお金が流れるのが悪いんでしょ。だったら、お金を印刷しちゃえばいいんじゃないですか?」

 おもしろいアイディアだけど、問題は日本円が国内で足りなくなることじゃなく、外国が大量の日本円をもつことだ。
 日本円が使い物にならなくなると、外国の人は日本円をほしがらなくなり、日本円の価値が下がって、誰も食料や石油をうってくれない。そのためにも、貿易赤字は無視できない。
 いまのところ、借金と同じだけ預金が存在しているし、外貨をたくさん貯めているので、ふんばりどきといえるだろう

 「私たちの生活は、過去の蓄積の上に成り立っていて、将来のためにも何ができるかを考える必要がありますね。」

 「何をするのが、正解なのだろうか。僕らは、良くも悪くもお金に惑わされている。このお金という存在を取り払うと、経済の風景もまったく別物に見えてくる。今ある環境が、贈与だとかプレゼントに思えるときもあるくらいだ」

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