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目次
書籍情報
詩を書くということ
谷川俊太郎
詩人。
1950年、「文学界」に詩を発表。1952年、詩集『二十億光年の孤独』を刊行し高い評価を得た。
絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を披露し、数々の賞を獲得する。
PHP文庫
- プロローグ
- 第1章 詩との出会い
- 詩を書き始めた頃
- 詩を書くということ
- 読者を意識した詩
- 詩が生まれる瞬間
- 意識下にある言葉
- 第2章 詩と日常生活と
- ラジオに魅せられて
- 詩と日常生活
- 詩人であることを問い直した時期
- 第3章 意味と無意味
- 詩は音楽に恋している
- 声に出すこと
- 意味以前の世界
- 言葉は不自由
- 「わかる」ということ
- 78歳の境地
- 厳しい現実を前に詩は
- 人は誌情を求める
- 100年後へのメッセージ
書籍紹介
詩とその創作について深く考えさせられる一冊です。この本は、詩人として長年活躍してきた谷川さんが、詩とは何か、なぜ人は詩を書き、読むのかを、自身の経験や思索を通じて綴ったエッセイ集です。詩を愛する人だけでなく、言葉や表現に興味を持つすべての人にとって、響き合うものがある内容になっています。
この本では、詩が生まれる瞬間の神秘や、言葉が持つ力について、飾らない言葉で語られています。詩を書くことは、単に言葉を並べることではなく、心の奥深くにある思いや感覚を形にする行為だと谷川さんは説きます。その過程で、失敗や葛藤も含めて、詩作の喜びと苦しみが率直に描かれているのが印象的です。特に、日常のささやかな出来事や感情が、どのようにして詩へと昇華していくのか、その繊細なプロセスに心を奪われます。
この本は詩を書く人への指南書というよりも、詩を通じて自分自身と向き合うためのヒントを与えてくれるような存在です。谷川さんは、詩には正解も不正解もないと繰り返し述べ、読者に自由な発想と感受性を大切にするよう促します。詩を「特別なもの」ではなく、誰もが日常の中で触れられる身近なものとして提示している点が、非常に親しみやすく、励みになります。たとえば、朝の光や風の音、ふとした瞬間の感情を詩にしてみることで、世界の見え方が変わるかもしれない。そんな気づきを与えてくれるのです。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
言葉は不自由

言葉というものは、本当に不自由です。
言葉は矛盾を嫌いますが、矛盾していなければ現実ではありません。言葉に頼るのは、現実を見失わせる可能性があると思って、気を付けなければならないと心がけています。
言葉には実体といういものがあるということを意識しないと、言葉が空回りしてしまいます。言葉が多いと、無駄にウンザリしちゃうこともあると思います。
意味の世界と無意味の世界があって、それが補完し合っていると言っていいかもしれません。