「価値」こそがすべて

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 優れた戦略はシンプルです。

 戦略のなかにシンプルさを発見できると、ある種の自由が得られます。

書籍情報

タイトル

「価値」こそがすべて!

ハーバード・ビジネス・スクール教授の戦略講義

第1刷 2023年4月20日

訳者 原田勉

発行者 田北浩章

発行 東洋経済新報社

装丁 竹内雄二

DTP キャップス

印刷 港北メディアサービス

製本 積信堂

編集担当 水野一誠

ISBN978-4-492-53463-2

総ページ数 361p

著者

フェリックス・オーバーフォルツァー・ジー

ハーバード・ビジネス・スクール教授。チューリッヒ大学博士(経済学)。
競争戦略を教えている、学生に人気の先生です。デジタル技術や企業業績の影響に焦点を当てた学術研究は世界中で紹介されています。

出版

東洋経済新報社

少数の顧客に奉仕する

Image by Gerd Altmann from Pixabay

 ネットワーク効果は、大企業とその顧客に利益をもたらします。取り残された中小企業にとっても有効な戦略はあるでしょうか。

 恋愛・結婚マッチングサイトを例にとって考えてみましょう。

 マッチドットコムは、毎月3500万人の訪問者を持つ米国を代表するマッチングサイトです。他の競合他社もいるなかで圧倒しています。けれども、マッチドットコムがずば抜けて圧倒していようと、イーハーモニクスなどの競合他社は繁栄しているのです。

 イーハーモニクスの小規模サイトでは、恋愛相手を見つける競争が穏やかです。献身的な関係を築きたい、振られてしまうのが苦痛と感じる人にとって、大手サイトよりもイーハーモニクスがより良い選択となります。

 イーハーモニクスには、検索機能がなく、毎日限られた相手としかマッチングしません。そして価格も少し高めに設定して、登録する人をふるいにかけています。サイトで成功した人は、体験価値がさらに向上して「他のサイトでは成功しなかったのに、イーハーモニクスでは結果がでました」などのサービスへの評価をしてくれるのです。

参入障壁としての規模

UnsplashChristian Wiedigerが撮影した写真

 最も強力な規模の経済は、完全に競争のない市場を生み出すことができます。ウォルマートは長年にわたり、この優位性を享受してきました。

 ウォルマートの店舗は郊外の人口密度の低い場所にあります。大規模な物流センターのハブ&スポークシステムを構築し、各センターは半径150マイル以内にある約100のサテライト店舗に商品を提供しているのです。店舗と配送センターの距離が近いと、それだけ特殊な“密度の経済”が生まれます。配送センターと店舗が1マイル近づくと年間3500ドル増加する計算です。米国内だけで5000以上の店舗があり、密度が最終利益に大きく貢献しています。

 ウォルマートのグローバルな展開は、海外の大手小売業者を買収して規模の経済を再現することです。アマゾンなどのeコマースで、ウォルマートの利用率の高い日用品・生活雑貨セグメントにターゲットを絞りました。これにより利益率の低い食料品事業は、適切に防御されているようです。独自の店舗網を築こうとする試みは、海外では失敗しています。

どこに投資しないか?

UnsplashChristine Royが撮影した写真

 より少ない投資ですませる機会を見出すことも重要です。

 お客様にとってあまり重要でないオプションを削除することで、単価が抑えられて商品の魅力が上がります。

 定期的にミーティングをして、年に1回バリューマップを作り、どこに価値があるのかを精査するのが効果的です。このプロセスを続けていけば、習慣になり優先順位を下げる決断もしやすくなるでしょう。

 料金に見合ったサービス、一流の技術、便利なアプリ展開、多様な商品、快適さ、迅速な対応、精密さなど、お客の求めるものをバリューマップに反映します。このときに競争を考慮する必要があるのです。ライバルと長所が酷似していれば、競争優位はほとんど得られません。

投資と活動の調整

Image by Mona Tootoonchinia from Pixabay

 価値を創造する方法を持たない企業は、多岐にわたる領域や活動に投資して分散することを余儀なくされます。その企業の将来の成功が台無しになるのかどうかは、誰も知りません。投資を誘導し、活動を調整することが課題となるでしょう。

 品質を上げるために投資を行い、コストを上乗せする企業もあります。コスト競争力を高めて、製品の品質を落とす企業もあるのです。

 明確な競争優位を持たないままだと、価値を高めることが難しくなります。会得している価値を認識し、投資を正しい方向に導いて活動を調整することで、現在の優位性を強化することができるのです。

訳者あとがき

 コンサルティングによって、分厚い書類となって中期計画の戦略が練られるかもしれません。それらは現場レベルで理解可能なものになっているでしょうか。

 作戦は複雑だったり、量が多かったりすれば、正確に伝わることはありません。

 つまり、戦略的にシンプルなものでなければならないのです。

 戦略が伝わり、最終的には顧客に納品されなければなりません。納品レベルの戦略に落とし込めるかどうかが戦略の有効性を決定することになるでしょう。

 本書が主張する「バリューベース戦略」は、シンプルでわかりやすく、行動の俊敏さと一貫性を生み出すことにつながります。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 ビルのテナント料を取るビジネスも規模の話です。現場が扱えるような概念でないと、改善に向かう足並みが重く、納品に至るまでの工程で価値を高めることはできないでしょう。

 どのニーズを取って、作業をシンプルにできるかが問われそうです。ブルーオーシャンでかつ需要があるところを狙うのが、中小企業や個人に求められるとも言っています。

 なかなか、探して実践して、ハズレばかり引いているのが実状です。ちゃんと価値を測って行動しろという、なかなか意識の高い話でした。

 社員が実行可能なレベルにまで計画を落とし込んで、お客様の満足度を踏まえた付加価値をつけるというのは、もっともな話だとは思います。

 一度決められたものに対して変更をかけても、なかなか人は行動できません。他社と違ったアプローチで商品の価値を変えるのは、簡単なことではないでしょう。

 本書は、シンプルな価値観マップの概念を実例とともに教えてくれるものです。

 下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。

購入リンク

※amazonの商品リンクです。画像をクリックしてください。

電子

※amazonの商品リンクです。画像をクリックしてください。

(Visited 14 times, 1 visits today)
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です