エッセイ本「無恥の恥」

※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。

はじめに

みんなが見てるから、やめなさい

恥の感覚を刺激されつつ諭されたものです。

 我々にとって行動規範は、法律でもなければ神様でもなく「世間様の視線」ですから、世間様にみられて恥ずかしいようなことをしてはいけませんでした。

 人によって育った環境が違うので、どの程度恥ずかしいと思うかは異なります。

 そんな恥の感覚を共感できると、人の関係性を深めるときに大きくかかわってくるのではないかと、考えたのです。恥の感覚が合うほど一緒にいて心地よい、ということになるのではないでしょうか。

書籍情報

タイトル

無知の恥

著者

酒井順子

エッセイ作家。

 広告会社に勤務後エッセイ執筆に専念しました。講談社エッセイ書、婦人公論文芸賞を『負け犬の遠吠え』で受賞しています。

出版

文春文庫

恥の歴史

 『中年とSNS』が文春オンライン上にアップされて、「SNSにおける自慢投稿が恥ずかしい」という内容に対して、賛意と反感がありました。

 SNSにアップされることを「自慢」と捉え、それ対して恥ずかしさを覚える私は古風な感覚を持つ、恥ずかしがり屋なのです。

 一方、堂々とSNSにアップすることができる人は、今風の新しい感覚の持ち主なのではないでしょうか。

 私は不特定多数の相手に対してであれば、何を書いても恥ずかしくない性分なのであって、現在の仕事のベースにあるのは、まさに恥の感覚でした。そのシャイな性格にも経年変化が訪れるもので、年をとることでしだいに平気になっていったのです。

 SNSの時代がきて、私は久しぶりに自分のシャイさを思い出すことになりました。

感謝にテレない世代

 先日、学生の部活の集いに参加したところ、私を悶絶させるシーンに出会ったのです。

 卒業する男子がスピーチを終えたあと、感謝したいのはお母さんだと言い、壇上に母親を呼び寄せハグをしました。

 友人にその事を語ったところ、彼女は動じないどころか、息子が所属するラグビー部では卒業するときにお母さんをお姫様抱っこして撮影をするらしいのです。

 母と子のスキンシップは、今はそんな段階まで進んでいるのかと思いました。チューもしくは祖霊所の行為に進んでしまうのではないかと、要らぬ心配が募ってくるではありませんか。

性の意識

 今は、結婚歴の長い中年夫婦が3日あけずにSEXしていたら「お盛んですね」と驚かれることになります。1っカ月に一度であれ、夫婦がSEXをしているというだけで、偉人もしくは変人扱いされてしまうのです。

 1990年代にセックスレスという言葉が注目を集めるようになりました。それが、セックスレスであることは当たり前になったのです。セックスレスであることで主婦同士で仲間意識を深め、セックスレスが恥ずかしいことではなくなりました。

 今の若者たちは、男女でとても仲が良いのです。しかし、2人で同じ部屋にいても、何も起こらなかったりします。2人で旅行にいっても清い関係のままというのも「普通にあります」とのことです。何もせずに女の子の部屋から帰ることを恥ずかしく思わないことも、「やらはた」20歳で童貞・処女を恥ずかしく思わないことも、我々のころにはありませんでした。

 日本人の処女、童貞率は上昇しています。バーチャルの性環境も発達しているので、1人で性欲を処理することにも困らないのです。

感想

サイト管理人

サイト管理人

現代に渡って変化してきた恥の意識、世間体が各章のエッセイで執筆されています。

あまり深く考えてこなかった事を、恥というベクトルで文章化されると、なんだか可笑しくて面白かったです。

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