クリエイティブ・サイエンス/著者:松井正徳

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書籍情報

タイトル

クリエイティブ・サイエンス

ココロを動かす11の手法

発刊 2024年3月25日

ISBN 978-4-88335-574-7

総ページ数 205p

著者

松井正徳

大学卒業後、博報堂に入社。
コピーライターとしてプレイステーションの立ち上げなど多くの広告制作に従事。

出版

宣伝会議

もくじ

  • 目次
    • はじめに
    • 本書の前書き
  • 序章 「効果をつくる」それがクリエイティブ・サイエンス
    • 違う考え・やり方なのに、なぜみんな成功しているのか
  • 第1章 「ココロが動く」とは何か?
    • 第1節 コミュニケーションが失敗する4つの理由
      • 気づかれない
      • 受け入れられない
      • グッとこない
      • 人に言いにくい
    • 第2節 人のココロはどうやって動くのか
      • knock 大量出稿しても気づかれない理由
      • accept 納得・安心がないと「受け入れられない」
      • emission 「人がグッとくる」瞬間
      • diffusion 一気に拡散する瞬間
  • 第2章 人がグッとくる瞬間のつくり方
    • emissionの11の手法
      • 大量出稿、大物タレントなど、圧倒的物量で突破する POWER
      • 強行突破で壁を貫通する IMPACT
      • 正攻法、共感、感動など、壁をゆっくり下ろす RELATION
      • 意外性など変化球で横から入る CURVE
      • 長期ブランド構築など、ゆっくりと穴を掘る DRILL
      • 歴史の活用など、高いところから乗り越える POTENTIAL
      • 意外な展開で反射させて到達する REFLECTION
      • どんでん返しなど、燃料を流し込んで起爆する BOMB
      • 「一瞬の笑い」「可愛さ」など、壁を一瞬だけ低くする SKIP
      • 不思議系、煙に巻くなど、壁をぼんやりさせる SMOKE
      • 気になる質問や間違いでおびき寄せる ATTRACT
  • 第3章 11の手法で実際にクリエイティブをつくってみる
    • 「ど真ん中の圧倒的な力」でココロを動かす 「POEWER」
    • 「ギリギリの衝撃」でココロを動かす 「IMPACT」
    • 「共感や納得・絆」でココロを動かす 「RELATION」
    • 「目をひくものからの導入」でココロを動かす 「CURVE」
    • 「変わらない本質」でココロを動かす 「DRILL」
    • 「信じられる絶対的な権威」でココロを動かす 「REFLECTION」
    • 「あっ!と気づく仕掛け」でココロを動かす 「BOMB」
    • 「緊張の緩和」でココロを動かす 「SKIP」
    • 「わからないもの」で心を動かす 「SMOKE」
    • 「参加する楽しさ」でココロを動かす 「ATTRACT」

紹介

 マーケティングと心理学の交差点に焦点を当て、クリエイティブなコミュニケーションがいかに人の心を動かすかを科学的に探求しています。著者の松井正徳氏は、広告業界での豊富な経験と心理学の知識を融合させ、実用的かつ効果的なコミュニケーション手法を提案しています。

 具体的に11の異なる手法が紹介されており、それぞれが独自の心理学的根拠と実際の広告事例に基づいて解説されています。これらの手法は、感情の引き出し方、記憶に残るメッセージの作り方、説得力を高めるストーリーテリングの技術など、多岐にわたります。理論だけでなく、どのように実践するかも具体的に指導しています。

 マーケティングの専門家だけでなく、一般のビジネスパーソンにも役立つ一冊です。特に新しい視点からのアプローチが求められるクリエイティブな仕事に従事する人々にとって、この本は新たなインスピレーションの源となるでしょう。松井氏の提供する具体的な事例は、理論が現実の世界でどのように機能するかの理解を深めるのに非常に有効です。

 複雑な心理学的概念を平易な言葉で説明し、実践的なアプリケーションに結びつける方法を示しています。読者はこれらの手法を自身の仕事にどのように適用できるかを学び、クリエイティブなプロセスを科学的な観点から理解することができるでしょう。広告業界だけでなく、さまざまな分野でコミュニケーションスキルを向上させたいと考える人々にとって、非常に価値のある読み物です。

コミュニケーション失敗

 テレビCMなどをしても商品名を覚えてもらえなかった。このような失敗はどうして起こるのでしょうか。

気づかれない

 生活者の心にはまだ入り込んでいません。これは「短期記憶が消滅して長期記憶に移行しない」、または「日常の情報過多の中で、接触した瞬間に重要でないと脳が判断し即時削除している」のが実態です。実際、新しいCMに対して「好きでも嫌いでもなく、知らない」と答える人が3割以上います。

受け入れられない

 過激な表現や不快感を与える内容が混じると、視聴者には記憶されますが、伝えたいことが伝わらなくなります。

グッとこない

 感動的な広告が打てれば、好感度の向上、商品の売上げ増加、口コミの増加などが期待できます。しかし、これまで広告の魅力について理論的に議論することが少なかったため、明確なマーケティング指標の話題が主流になっていました。これが進展しても、「効果が出ない理由が分からない」という状況になっています。

人に言いにくい

 現代のターゲット理論が進化し、マーケティング手法が洗練されていますが、SNS時代にはその拡散力を活かさない手はありません。ターゲットに届けばいい、という考えだけでは、相乗効果は生まれません。感動が広がることで、効果は最大化されるのです。

情報が多すぎて絞れない

 「正しいこと」を伝えたいと思っても、あれもこれもと情報を詰め込んだ結果、結局「何が言いたいのかわからないもの」になってしまいます。様々な新情報を矢継ぎ早に話しても、ほとんどの人はそれを覚えていません。

 確実に視聴者に情報を伝えたい場合、例えば強制視聴が保証されている状況や、長期間にわたるコミュニケーションが可能な場合を除き、情報は一つに絞り込むべきです。伝統的にも「ワンビジュアル・ワンコピーが基本」とされています。

 コミュニケーション環境によっても違いがあります。例えば、電車内やタクシーの広告のように他に選択肢がない強制視聴の状況では、少し多くの情報を盛り込むことができます。しかし、情報が「受け入れられない」という状況を避ける注意が必要です。

共感や納得、絆で心を動かす

 ブランディング戦略において、最も中心的で王道とされるのは「共感」です。これは消費者の心の壁をゆっくりと解放し、自由にアプローチできるようにします。

 共感を引き出す戦略は通常、時間がかかります。そのため、「すぐに商品を売りたい」や「すぐに好かれたい」といった目標を持っている場合には向いていません。

 人と人との繋がりを築く基本的な方法の一つとして、「いい話」があります。この点で、家族や大切な人に関連するテーマは共感を得やすいです。一方で、「家族」に共感できない人には、「仕事」や「信念」、「道具」、「挑戦」といったテーマが心に響くことがあります。

 たとえば、納豆を売り出す際に共感を呼びたいなら、キャッチコピーに「納豆を混ぜるのだけは、父の役目だった」といったイメージを用いることで、定番商品としての共感を引き出せるかもしれません。

変わらない本質

 とにかく「続けること」が重要です。常に同じことを言い続けることで、気づけばそれが欠かせない大きな力となります。

 多くの場合、発信者が飽きたり焦ったりして、表現を頻繁に変えがちですが、これは非常にもったいなく、効率も悪いと思います。

 改めることにも大きな価値がありますが、「続けること」にも同様に大きな価値があるのです。

 例えば、CMのサウンドロゴや企業のキャラクターは「変わらない力」を持っています。佐藤製薬のサトちゃんや、お笑い芸人の持ちギャグもその良い例です。

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