有名人の死に心がゆらいだら/著者:髙橋あすみ、大井瞳

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書籍情報

タイトル

有名人の死に心がゆらいだら 喪失と自殺予防の心理学

発刊 2025年3月20日

ISBN 978-4-469-28003-6

総ページ数 207p

書評サイト 読書メーター

出版社リンク 大修館書店

著者

髙橋あすみ

医学博士。
臨床心理士、公認心理士。
自殺予防についての著書多数。

著者

大井瞳

心理学博士。
臨床心理士。公認心理士。
人間環境大学総合心理学部講師。

出版

大修館書店

もくじ

  • はじめに
  • 第1章 有名人と私たち
    • 有名人とはどのような人たちか
    • 推し、オタク、ファン
    • ファン心理で考える
    • ファン行動をチェックしてみよう
    • 有名人と私たちの「パラソーシャル関係」
    • コラム 生死を題材にした楽曲
  • 第2章 有名人の「死」が起きたとき
    • 自殺報道がもたらすもの
    • 自殺報道から学習する人たち
    • 亡くなった人を真似する人たち
    • 報道で自殺が増えるのを防ぐには
    • 大切な存在を失ったときに起こること
    • 嘆きや深い悲しみ 「悲嘆」を理解する
    • 悲嘆は病気につながることもある
    • 有名人の死で起こる悲嘆
    • あいまいな喪失
    • 悲しむことを認めてもらえないとき、認められないとき
    • 子どもへの影響
    • 死因による悲嘆の違い
    • 病気で亡くなったとき
    • 不慮の事故で亡くなったとき
    • 自殺で亡くなったとき
    • ソーシャルメディアで起こること
    • コラム 二次元キャラクターの喪失
  • 第3章 喪失後をどう生きるか
    • 喪失を経験したときにできること
    • 自分の気持ちのまま過ごしてみる
    • 自分の状態をそのまま受け入れる・受け止める
    • インターネットと距離を取る
    • 「こうしたらいい」より「こうしてもいい」
    • 気持ちや思い出を誰かと共有し合う
    • 有名人への思いを言葉にしてみる
    • 写真を撮ったり絵を描いてみる
    • 公式のお別れ会に参列する
    • 聖地巡礼してみる
    • 有名人が好きだったものを食べたり観たりする
    • 作品やグッズを眺めてみる
    • 有名人が遺してくれたものに希望を持つ
    • 死にたくなったときの対処法
    • コラム 喪失に備える“予期”グリーフワーク
  • 第4章 喪失を体験した人へのケア
    • 悲しみにルールや基準はない
    • 体調を気にかける
    • 話を聴く
    • 安易に励まさない
    • 日常生活をサポートする
    • 喪失後の過ごし方を紹介する
    • 専門書を勧める
    • 専門機関を勧める
    • 自殺報道の影響を踏まえる
    • 「ゲートキーパー」になろう
    • 自殺の警告サインに気づくために
    • ゲートキーパーとしてのステップ1声をかける
    • ゲートキーパーとしてのステップ2話や気持ちを聴く
    • ゲートキーパーとしてのステップ3専門家につなぐ
    • ゲートキーパーとしてのステップ4見守る
  • 著者対談 ―「推し」と喪失と私―
    • ファンにも色々ある
    • 子どもにとっての有名人を好きであること
    • 有名人の喪失
    • 「○○ロス」とはちがう?
    • 人それぞれの推し方、悲しみ方
    • 喪失後のグリーフワーク
  • 第5章 有名人のメンタルヘルスと自殺 有名人のメンタルヘルス 6
    • 有名人特有の問題
    • 有名人の自殺はなぜ起きる
    • 自殺の理由は1つではない
    • 有名人の自死の理由は分からない
    • メンタルヘルス問題の公表
  • 第6章 有名人と私たちのこれから
    • メディアの発展と有名人とのかかわり
    • 距離感を考えてみる
    • 有名人の自殺予防を考える
    • オンライン上での誹謗中傷を防ぐために
    • メディアに出る人のメンタルヘルスを守るために
  • 付録 
    • 誹謗中傷を受けたときの対応
    • 学校の先生方や支援者に役立つツール
  • おわりに

書籍紹介

 この本は、大修館書店から出版されており、有名人の死が私たちの心に与える影響と、それに関連する喪失感や自殺予防について深く掘り下げた一冊です。

 現代社会では、メディアを通じて有名人の訃報に触れる機会が多く、彼らの死が多くの人々に感情的な波紋を広げることがあります。この本では、そうした出来事が個人の心理にどのような影響を及ぼすのかを、心理学の視点から丁寧に解説しています。特に、有名人の死によって引き起こされる悲しみや喪失感が、時に自殺リスクを高める可能性があるという点に注目し、そのメカニズムをわかりやすく紐解いています。

 豊富な研究データや事例をもとに、感情の動きを科学的に分析しながらも、読者に寄り添う温かみのある文体で書いています。たとえば、有名人の死をきっかけに自分の人生や価値観を見つめ直す人がいる一方で、その喪失感が深い孤独感や絶望感につながるケースもあると指摘しています。そして、そうした状況で心のバランスを保つための具体的な方法や、周囲が支える際のヒントも提案されています。

 自殺予防という重いテーマを扱いながらも、希望を感じさせるアプローチが随所に見られます。たとえば、身近な人とのつながりや専門機関への相談がどれほど大切かを強調し、誰もが抱えるかもしれない心の揺れに寄り添う姿勢が印象的です。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

亡くなった人を真似する人たち

 同一化は日常的に起きることです。有名人は憧れやモデルの役割を果たしています。有名人の使っている化粧品が売れたり、筋トレや生活習慣が話題になって流行したりするのも、有名人を参考にして真似しているからです。

 有名人の行動を真似することにより、健康につながるような望ましい行動が促されることもあります。有名人ががん検診をすることにより、その有名人の同年代のがん検診の受診数が増加することもあるでしょう。

 しかし、望ましい行動だけを真似するとは限りません。有名人の自殺報道を知った人の中には、自分と重ね合わせて行動に移したとみられる人が存在します。

 人気があり社会的に賞賛されている有名人には人々を惹きつける力があるため、その有名人のあらゆる行動を模倣する人がでてしまいます。

距離を保つ

 ファン行動そのものは悪いことではありません。有名人は私たちを支えてくれたり、楽しませてくれたりする存在です。有名人を好きになれば、人生が豊かになる場合もあるでしょう。

 大事なのは距離感を保つことです。ファン活動で疲れる場合や、費やす時間が長すぎる場合には、一度メディアやSNSの使い方を見直してみると良いでしょう。

 SNSで有名人に直接メッセージを送ることも可能な時代です。距離感を失ってしまいやすい環境といえます。有名人に関する誹謗中傷といったものから距離をとって身を守る必要もあるでしょう。

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