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目次
書籍情報
GitLabに学ぶ
世界最先端のリモート組織のつくりかた
ドキュメントの活用でオフィスなしでも最大の成果を出すグローバル企業のしくみ
発刊 2023年9月11日
ISBN 978-4-7981-7942-1
総ページ数 311p
千田和央
LAPRAS株式会社の人事責任者。
株式会社リクルートキャリアや株式会社ドワンゴの採用責任者を経て、現職まで一貫してエンジニアの採用や組織づくりに約10年間従事。兼業でスタートアップ支援にも携わる。
伊藤俊廷
日本のSlerでソフトウェア開発、プロジェクト管理、技術調査、海外勤務などの業務に従事した後、アメリカのアプリケーションセキュリティベンダーにて、戦略顧客にソリューションを導入する任務を担う。
佐々木直晴
2010年野村総合研究所に入社。Web開発メンバーとして活躍、2021年7月よりGitLabに入社し、シニアソリューションアーキテクトとして、導入に際する技術検証や顧客社内の開発プロセスの可視化・刷新などに従事。
翔泳社
- 本書内容に関するお問い合わせについて
- はじめに 最先端の組織作りに再現性を持たせる
- 監修の言葉
- 会員特典データのご案内
- 第1部 リモート組織のメリットを読み解く
- 第1章 世界最先端のリモート組織「GitLab」
- 偉大なリモート組織はウクライナの水道のない家から生まれた
- コラボレーションのためのリモートワークという発想の転換
- リモート組織を支えるオープンソース・ソフトウェアの概念
- 第2章 リモート組織によって得られるメリット
- 94%が「誇りに感じる」驚異のエンゲージメント
- 最も優秀な人材を早く採用できる
- 多様なメンバーのパフォーマンスを最大化できる
- 成果にこだわる風土が醸成される
- コストが効率化され、本質的な業務に集中できるようになる
- 効率的な非動機業務は、オフィス中心の組織も改善する
- 第1章 世界最先端のリモート組織「GitLab」
- 第2部 世界最先端のリモート組織へ移行するためのプロセス
- 第3章 リモート組織を構築するためのプロセス
- リモート組織に関する認識を改め明示する
- リモート責任者を任命する
- ハンドブックを制定する
- コミュニケーションガイドラインを明示する
- ツールの種類を最低限に抑える
- 経営陣のデフォルトをリモートにする
- リモート作業環境を整備する
- インフォーマルコミュニケーションを設計する
- より良いリモートへの12ステップ
- 第4章 リモートワークで発生する問題と対応
- リモートワークに共通して発生する問題
- リモートワークに共通する問題への対策
- ハイブリッドリモートワークで発生する問題
- ハイブリッドリモートワークの問題への対策
- オフィス回帰への欲求に対処する
- 第3章 リモート組織を構築するためのプロセス
- 第3部 GitLabが実践するリモート組織を活性化させるカルチャー醸成法
- 第5章 カルチャーはバリューによって醸成される
- カルチャーマッチではなくバリューマッチが重要
- バリューの全体像と優先順位
- コラボレーション
- 成果
- 効率性
- ダイバーシティ&インクルージョン、ビロンギング
- イテレーション
- 透明性
- GitLabではどうやってValueを強化しているのか?
- Valueが守られていない場合の対処法
- 第6章 コミュニケーションのルール
- アンコンシャス・バイアスを制御する
- コミュニケーションガイドラインを設定し、遵守する
- 非公開情報の取り扱い方
- ローコンテクストコミュニケーションを極める
- 非同期コミュニケーションに関するGitLabのやり方
- オンラインミーティングのガイドライン
- 同期ミーティングで非同期コミュニケーションを加速させる
- ドキュメンテーションの力を発揮させる
- 第7章 リモート組織における温ボーディングの重要性
- Ta-New-Kiウェルカムコール
- オンボーディングバディの重要性
- オンボーディング期間の目安とフィードバック
- GitLabが実施している入社後のオンボーディングの流れ
- 第8章 心理的安全性の醸成
- 心理的安全性を生み出す7つの方法
- 同意しない、コミットする、同意しない
- 前向きな意図を想定する
- 心理的安全性を維持しながらフィードバックする方法
- 心理的安全性を根付かせれるために、ルールを厳しく遵守する
- 第5章 カルチャーはバリューによって醸成される
- 第4部 GitLabが成果を出すために実践している人事制度や業務ルール
- 第9章 個人のパフォーマンスを引き出す
- GitLabが考える個人のパフォーマンス
- OKRとノーススターKPIを設定する
- マネージャーとパフォーマンス基準を合意する
- 意思決定に関する考え方
- スキルと意志のパフォーマンスを見極める
- チームメンバー・リレーションズ・スペシャリストという役割
- 不健全な制約に抵抗する
- Key Talentを認定する
- 第10章 GitLab Valueに基づいた人事制度
- 等級はJob Gradeを基準として決定する
- タレント評価はマネージャーの最優先事項
- 報酬に関するGitLabのスタンス
- 経営課題としてサクセッションプラン(後継者計画)を用意する
- すべての人が昇格を目指す必要はない
- 第11章 マネージャーの役割とマネジメントを支援するためのしくみ
- 親愛さはパフォーマンスを向上させる
- マネージャーにはメンバーをつなぎ留める責任がある
- SMARTな目標を設定する
- リアルタイムフィードバックを提供し、パフォーマンスを向上させる
- パフォーマンスの不足に対処する
- 5つのマネジメントコンピテンシー
- 第12章 コンディショニングを実現する
- 環境感受性の違いを理解する
- 休暇を取らないことは組織の弱点
- 完全な休暇を過ごす
- 運動によって脳を整える
- 第13章 L&Dを活用してパフォーマンスとエンゲージメントを向上させる
- 効果的な能力開発のプロセスを理解する
- 個人開発計画(IGP)を作成してキャリア開発ディスカッションを続ける
- 360度フィードバックで能力開発を促進させる
- 暫定および臨時の役割について
- GitLabが提供している能力開発に対する各種サポート
- 第9章 個人のパフォーマンスを引き出す
- おわりに GitLabの考え方を自社に取り入れる
- 注
はじめに
その内容はリモート組織にとどまるものではなく、あらゆる企業にとって効果があり再現性のある形で論じるように心がけました。
GitLabは最先端のリモート組織を運営するノウハウを「GitLab Handbook」という名称でWebサイト上に詳細に公開していました。
施策や計画を組織やチームの状況に合わせて最適な形へと修正したり、すぐに効果が出なくても悲観したりせずに続けていけるようになるはずです。
根拠の積み重ねによって組織を構築しているため、GitLabの手法を学ぶことで、特別な才能に頼らず、誰であっても最先端のリモート組織を構築できる再現性があります。
リモート作業環境を整備する
GitLabが説明しているマイクロホンの一例を挙げると、「温室品質が高い場合(低い場合と比較して)、人々はコンテンツをより良く、より重要であると判断します。また、話者をより知的で、有能で、好感が持てると判断します。処理が難しいメッセージは説得力が低くなります」という研究結果を引用して説明しています。
パフォーマンス低下を排除できるのであれば、オフィス機材への投資は検討する価値があるテーマなのです。
具体的には、パソコン、ネットワーク、カメラ、マイクロホン、イヤホン、モニターなど、必要な備品をオンライン会議中に違和感を抱かない標準的な水準に用意します。
リモートワークは邪魔が入らないスペースで業務に集中できることが重要です。近所のコワーキングスペースを会社の経費で利用できるようにします。ワーケーションなどに補助を行うことも有効でしょう。
GitLabではオンライン通話中に家族が映り込むことを歓迎している一面があります。親密さや自己開示につながるでしょう。赤ちゃんが泣き出した場合でも、寛容な気持ちを抱けるような雰囲気が作られます。家族に説明するのが難しい場合が多いので、家族に会社のコミュニケーションを見てもらったり、会社が家族環境を許容する環境を整えることが必要です。リモートワークを効率的に機能する形に整備していきましょう。
非公開情報の取り扱い方
コミュニケーションにおいて透明性を保つためには、逆説的に何を公開してはいけないのか定義することが重要です。
GitLabでは非公開情報を簡単に判断するために「SAFEフレームワーク」というガイドを作成しています。センシティブ、性格、財務、影響の頭文字をとったものです。
具体的には、フローチャートなどで「この資料には、機密情報または重要な非公開情報が含まれますか?」YES or NOで答えるといったマニュアルが作成されています。セキュリティーが大丈夫か、正確な情報か、業績の見通しなどの財務情報がないか、会社やチームに悪影響を及ぼすことはないかを確認してから、公開・共有しても大丈夫かどうかの判断です。
あらかじめ判断できる基準を定めていることで、所属するメンバーが迷うことなく情報発信を行うことができて、透明性を保つことができます。
個人のパフォーマンス
個人のパフォーマンスは、「成果」と「行動」の2つの軸で考えられています。
成果では、過程の部分に注目はせず、時差氏にチームや顧客に対してどのような影響を与えたのかという部分を重視します。売上、開発、チームへの貢献といったものを計測するためには何が明確でなくてはならないかが大切です。目標設定を設ける必要があります。
行動に関しては、現在のグレードに応じた行動の特性を基準としています。特性をどれだけ発揮できているかという視点でパフォーマンスを計測しています。
成果を出せていても望ましい特性を遵守していなかった場合には、パフォーマンスが低いとみなされてしまいます。
完全な休暇を過ごす
休暇の間に仕事をしたり、連絡で気が散ってしまっては十分に休めません。オフの際には、デバイスやプロジェクトから完全に自分自身を切り離すことにコミットします。
しっかりとした休暇をとるために、どのようにチームメンバーに通達するかといった工夫も必要です。休暇を取る前には休暇取得する予定の日取りから数えて、休暇日数の2倍以上前にチームに通達をしなくてはなりません。
10日の休暇を取るのであれば、遅くとも20日前にチームメンバーに知らせます。参加しない会議を決めたり、プロジェクトの引継ぎや説明を残しておく必要があります。
また、長期の休暇から戻って際に、すぐにパフォーマンスを発揮することは現実的ではありません。変化した状況のキャッチアップをするためにはある程度の時間がかかるでしょう。
けれど、休暇によって効率的な仕事の進め方や活力のある状態で優先度を組み直したりするとこは、新しい視点に気付くきっかけを与えてくれるかもしれません。
おわりに
効率的なリモート組織のつくり方がわかったとしても、所属している組織が取り入れるかどうかは、組織の状況にも左右されます。
ですが、これからはリモートワークでパフォーマンスを出せる優秀な人材が、リモートワークを断固禁止している会社を就職先として選ぶ理由はなくなります。
「GitLab Handbook」にはリモート組織をどうやったら実現できるかという手法が書かれていました。奇抜な取り組みは書いておりません。再現性が高く、継続的な実現が可能です。組織をより良くするためにご活用ください。
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