指導者の不条理

※読んだ本の一部を紹介します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 合理的成功と非合理的失敗といった二分法を越えて、「組織は合理的に失敗する」という第三の現象が存在することを発見しました。

 この合理的失敗のことを「不条理」と私は呼びます。およそ、20年以上も不条理について研究してきました。

書籍情報

タイトル

指導者の不条理

組織に潜む「黒い空気」の正体

第1刷 2022年12月28日

編者

発行者 永田貴之

発行 (株)PHP研究所

組版 朝日メディアインターナショナル(株)

装幀 芦澤泰偉、児崎雅淑

印刷・製本 図書印刷(株)

著者

菊澤研宗

慶應義塾大学商学部商学研究科教授。ニューヨーク大学スターン経営大学院、カルフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院で客員研究員。専門は新制度派経済学とダイナミック・ケイパビリティ論。

出版

PHP新書

「空気」を読んで、変化に苦しむ

UnsplashRoger Bradshawが撮影した写真

 いまでも「空気」という言葉は、しばしばいろんな場面で登場します。「KY」「忖度」という言葉も流行しました。

 今日、多くの日本企業で起きているのは、過度に空気を読んで、なかなか頭の切り替えができず、反応できずに苦しんでいることです。

マネジメントの限界

UnsplashLuis Villasmilが撮影した写真

 損得計算にもとづく経済合理的なマネジメントでは、変革をめぐる算出結果がマイナスであれば、現状維持をしようとするでしょう。この場合は、不条理な空気が漂い、合理的な失敗をすることになります。

 制度やシステム構築などによって節約し、経営論的にプラス側面を高めることで、損得計算の結果はプラスにできる可能性もあるのです。

 しかし、大規模な変革には心理的な壁が存在します。最近、注目されている行動経済学によると、人間は心理学的にベネフィットを過小評価し、コストを過大評価するといった心理的傾向があることが明らかにされているのです。

 ほとんどの人は、1万円を獲得する確率が50%で一万円を失う確率も50%であるくじを引くことを拒みます。失うデメリットを過大評価するためです。

福澤諭吉の教え

作者: 上田 ひろこ

 江戸時代と明治維新という全く異なる2つの時代を生きた福澤諭吉は、2つの人生を経験したといいます。

 我は、そのときどきの状況や立場にもとづいて良し悪しを判断すべきだとしているのです。福澤諭吉によれば、「条件付き善」でしかありません。

 世の中のほとんどのことが良し悪しの2面性をもっていて、ルーズな人はおっとりしている人であり、細かすぎる人は几帳面な人であり、優柔不断な人は思慮深い人でもあります。

 福澤諭吉は、唯一マイナスの側面しかない「嫉む」が存在するというのです。彼の言葉では「怨望」になります。

 嫉む人は、リーダーに向いておらず、他人の足を引っ張る汚い人で、品のない人だというのです。

日本のリーダーに必要なもの

Esteban Arboleda BermudezによるPixabayからの画像

 徹底的に理論性にもとづいて損得計算を行い、そのうえで、その計算結果に従って行動することが正しいかどうかを判断する必要があります。高次の立場から、重層的に価値判断をすべきでしょう。

 実践理性によって正しくないと判断されるのであれば、中止するべきです。

 いずれも価値判断にもとづく行動は主観的なので、リーダーとしては避けたいと思うところでしょう。しかし、リーダーはその責任をとれば良いのです。そこに、人間としての尊厳、気品、権威が生まれます。

 このようなリーダーであれば、目的を達成するための道具や手段として、人を野蛮に扱わないでしょう。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 価値判断をして、全体的な視点から計画し、実行することが大切だということでしょうか。実効値が芳しくないようであれば、中止するべきだとも書いてあります。

 デメリットが大きく見えるときは、誰しも足を踏み入れたくはないのもです。ですが、メリットにも目を向けて重層的に計画を立てた上で、実行していくことも大事だといいます。何もしなければ、淀んだ空気に支配されて徐々に沈んでいくとのことです。

 20年研究した見解が、こういうことなのだと思います。

 毎日、イノベーションが起きたら、私は壊れてしまいそうな気がします。ほどほどの変革が起きるのが企業にとっては健全な在り方なのかもしれません。それを考えるのがリーダーであり、責任があるとのことです。

 指導者がどうあるべきか、参考にされてみてはいかがでしょうか。

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