生活者の平成30年史

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 博報堂生活総合研究所は、その人間研究に特化したシンクタンクとして1981年に設立されて以来、様々な角度から研究を続けてきました。

 平成という時代を人間の意思や行動、価値観の側から振り返ってみようというのが本書の狙いです。

 多様性へ理解がますます重要になる時代に問われるのは、自分の異なる価値観を持つ人に想像力を働かせることだと思います。

書籍情報

タイトル

生活者の平成30年史

データでよむ価値観の変化

第1刷 2019年2月20日

発行者 金子豊

発行 日本経済新聞出版社

DTP マーリンクレイン

印刷・製本 シナノ印刷

アートディレクション 鎌田淳

カバーデザイン セサミ

本文デザイン 野田明果

ISBN 978-4-532-17654-9

総ページ数 261p

著者

博報堂生活総合研究所

出版

日本経済新聞出版社

ひとり暮らしが最多に

UnsplashPatrick Perkinsが撮影した写真

 夫婦と子どもからなる家族を「標準世帯」といい、政府の制度設計の基準となっている場合があります。

 標準世帯は1985年には全世帯の40%を占めていましたが、2015年には26.9%となり、もはやマジョリティではありません。

 その一方「単独世帯」が急速に増加し、直近では最も多い類型になりました。単独世帯で急速に増えているのは、65歳以上の高齢者です。

 世帯構造の変化は、平成の生活者が家族形成や老後といったライフコースの考え方を変えていく、ひとつの要因となっています。

節約から獲得へ

Unsplashfreestocksが撮影した写真

 生活者のお金に対する考え方の変化です。将来に備える意識は少しずつ薄れており、「毎月、決まった額の貯金をしている」生活者は平成初期に比べ、かなり減っています。

 日常的に電子マネーやポイントサービス、クレジットカードを使用する人が急増し、お金の形が大きく様変わりしているようです。

 現金以外の決済サービスが身近になっていき、生活者はお金に向き合うモードを、「節約」から「獲得」へとシフトしています。ポイントの貯まりやすい決済法を活用し、ささやかな楽しさを日常に加えたいという消費者の姿勢が表れているのではないでしょうか。

情報の変化

UnsplashFlorian Schmetzが撮影した写真

 流行に関心がある、流行っているものを人より早く知りたい、興味のあるものを詳しく知りたい、そのような欲求を持っている子どもは減少傾向にあります。スマートフォンなどで手軽に情報を引き出せるようになったからです。

 子供たちがモノを欲しがらず、情報すらも欲しがらなくなってきたのは、自分で調べられるインフラが整ってきた背景があります。しかし、すべて満たされているわけではありません。

 子ども向けにコンテンツが制御されていたり、母親がスマートフォンで毎日どのアプリを何時間使っているかをチェックしています。結構強い監視下にあると言えるのです。

 親よりもITリテラシーが高く、デバイスを使いこなせる子どももいます。そんな子どもたちにとって、SNS・オークション・通販・ゲーム・配信・ブログ・プログラミング・アート・音楽・AI・有料ソフト等を、思う存分使わせてもらえない現状は「自由がない」環境に感じてしまうようです。

高齢者「始の発想」

作者: スクラッチングマシ

 第2世代が半数を占めるようになった「高齢者」との向き合い方です。これからは2つの発想転換が必要になります。

 老後は昔から「第2の人生」といわれてきたものの、実際の位置づけは本人も社会も人生を「どう畳むか」という「終の発想」による「余生」です。

 けれど、男女ともに平均寿命が延びた今、余生と呼ぶにはあまりに長い人生となりました。新規開拓する「高齢者デビュー市場」を考えてみる余地が大いにあります。

 高齢者との向き合い方も発想転換をしなければなりません。高齢者が日常生活で抱える不便を解決する考え方が主流です。しかし、なにかの役割やミッションを提供して達成してもらうマイレージ発想に変えていく必要があります。

 高齢者にやりがいを感じてもらい、健康寿命を延ばしてもらうことで社会とwin-winな関係を生みだしたいところです。

おわりに

 経済戦略の講義には、社会と経済を動かす主体である生活者側の変化があまり織り込まれていないように思います。

 経済という入口ではなく、生活者の変化といった切口で発想を変えてみるべきではないでしょうか。

 ご紹介した生活者の変化が、そのヒントになればと思います。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 現金を使わなくなったからといって消費に走っているわけではないし、ITリテラシーが高い子どもは結構少ないと思います。結構、思わせぶりな書き方をするのは日経の書物あるあるです。日経は嘘をついても、HPの隅っこに1文書いて終わりにして、問題となった記事を削除するだけです。訂正とお詫びについて記事を公表することはありません。アイコスなどの欠陥品を後押しするためのVAPE批判記事などは、かなり酷いものでした。グリセリンを気化したものが、そんなに健康被害をもたらす訳ありません。データの湾曲もたいがいにしてください。というより、完全に嘘はダメです。湾曲は仕方ないことはあるとしても、改ざんはアウトだと思います。

 この書籍のデータも、もっと広い範囲でデータで見ると、今と昔で大差が全くないものばかりでした。気をつけましょう。

 子どもが自分で稼いだお金で、アプリやサブスクなどの月額使用料を払うわけではありません。これらは必ず必要なモノではなく、しかも高額です。親の経済圏が子どもの携帯使用料に影響するのは当然でしょう。それに、監視しておく必要もあります。まだ自我の発達をしている最中に、自分よがりな正義感を気軽に発信できるSNSを頻繁に目にすることは良くありません。子ども視点でみたネットの自由の怖さは、子どもが加害者になってしまうという事実もあるのです。それを踏まえた上で、子どもの不安に思っていることがあるということを学んでください。

 この本は、お年寄りに個人の生活変容に、本当に向き合っていますでしょうか。介護士の経験と照らし合わせても、高齢者のネガティブマインドを明るい方向に向かせることは難しいと思います。なぜなら、脳が老衰して批判的なことを思いやすいからです。一時のレクリエーション後に明るくふるまっていた人でも、1時間後には「帰りたい」「死にたい」と言うのです。社会参加はかなり限られたおじいちゃんおばあちゃんにしかできないと思いますが、何か前向きになれることを見つけて近しい人のために健康寿命を延ばしていただきたいと思います。

 博報堂生活総合研究所で集めたデータから、こういう課題があるのではと提示しているのですが、どうして問題なのかの部分が私は理解できていなのです。現状でできる形に納まっているように思えてなりません。無理に意識を変えて取り組まなくても良いなと、考えさせられました。

 下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。

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