※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
書籍情報
かかりつけ薬剤師と進める
50歳からの上手な薬の終い方
発刊 2024年1月2日
ISBN 978-4-05-802181-1
総ページ数 175p
中原保裕
薬学博士・臨床薬理学者
ロングビーチメモリアル病院、ハンティングトンメモリアル病院などで病棟活動に従事。ファーマシューティカルケア研究所設立。
Gakken
- はじめに
- 薬の専門家が今、話したいこと
- 第1章 まずは上手に薬とつき合うための2大原則を理解しよう
- 薬の量が多ければ多いほど病気が早く治るワケではない!
- 薬には病気そのものを直接治す力はない
- 薬は安全だからつかうのではなく、必要だから使う
- Column かかりつけ薬剤師の見つけ方
- 第2章 薬は体の中に入ってなにをしているか理解しよう
- 使い続ける必要がない薬を洗い出してみよう
- 第3章 歳をとることで薬との関係は変化していく
- 歳をとったのに若い時と同じように薬を使うのは危険
- 第4章 薬の見直しを上手に行うために守るべき10カ条
- 薬の見直しはかかりつけ医師、かかりつけ薬剤師といっしょに
- Column かかりつけ薬剤師がいるメリット
- 第5章 もし薬を見直したいという気持ちになったらまずやること
- どの薬を見直しの候補にしたいのかを考える
- かかりつけ薬剤師をもって、彼らに相談してみることから始めよう
- 薬剤師と相談するときはなぜ見直しをしたいのかをしっかりと伝える
- リフィル処方せんになると薬の見直しはやりやすくなる
- 第6章 どんな薬が見直しの候補になるのかみてみよう
- 薬の見直しができるかもしれない候補5種類
- 第7章 健康寿命を延ばして介護の必要な期間を短くすることが日本の課題
- 健康寿命という言葉に関心をもつことが大事
- 薬物療法に依存することは健康寿命を延ばすという点ではどうなのか?
はじめに
一般向けに人生の広範を迎えた人向けの薬の本の執筆依頼を受け、私の臨床薬理学者としての40年間に得た知識をもとに、「読んでよかった」と思っていただけるような本の執筆に取り組みました。
必要のない薬を洗い出す
単純に薬が多いことがいけないことだという考え方はしていません。しかし、あまり意味がない薬を使い続けることには大いに疑問を感じています。
その薬を投与した効果があらわれているという確証がないなら、なんとなく続けているなら、見直すべきなのではないでしょうか。
解熱鎮痛剤という薬では発痛物質プロスタグランジンに作用して、痛みが緩和します。痛みの部分を治しているわけではありません。薬を飲んでいるうちに自分の持っている治す力を発揮しましょうというものです。つらさを軽くしてくれるだけの薬となっています。
薬の服用中に気になることがあったら
体の中になんらかの異物(薬)を入れるわけですから、体がそれに対してなんらかの反応をします。何らかの変化があることは普通です。
起きてほしくなかった反応といっても、どうにか対処しながら薬の効果を持続させるケースと、ただちに投与を中止したほうがよいケースとがあります。
大事なのは、患者が得ることのできる利益と不利益のバランスを、客観的に判断したうえでどうするかです。
かかりつけ薬剤師を見つけて、かかりつけ薬剤師に相談してみるというのがベストな対応でしょう。客観的な視点で、薬の副作用と効果の部分を天秤にかけて判断してくれるはずです。
薬剤師と相談するとき
なぜ薬を見直したいのか、その理由によってどのようなやり方がいいのか違ってきます。できるだけ早いうちにと考えているのか、今すぐにやらなければならないと考えているのかで、やり方が違ってくるのです。
薬を見直したいとおもっているなら、薬を見直したい理由を明確にすることから始まります。
知り合いやマスコミなどで、薬の不安材料などを聞くと心配になるかもしれません。しかし、ケースバイケースです。
薬剤師に相談すれば、
「お友達とは症状も薬も違うので、同じような副作用を心配する必要はあまりありません。様子をみてはいかがでしょう?」
などの安心できる回答が得られる場合があります。
また違った例です。まぶたのむくみが気になり始めたので、糖尿病の薬が影響しているのではないかと気になっているとします。そこで、薬剤師に相談すると、直ちに医師に連絡して薬を止めるという手はずになりました。そんなこともあるのです。
まずは、かかりつけの薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。
健康寿命に関心を持つ
日本は平均寿命が長いです。とくに女性が長生きしています。
しかし、介護期間を男女で比べると、男性が9年間未満で、女性が12年間以上となっています。
平均寿命が長ければ良いとは言えないことがわかります。
健康寿命に薬は「よき友」という存在であってほしいと考えます。アスピリンは発熱症状を速やかに改善してくれる薬として登場し、シメチジンは胃液の分泌を強力に抑えることができる薬として登場しました。この薬が身の周りから消えたらと思うとゾッとします。
薬は危険だと煽るつもりはありません。しかし、頼りにしすぎて自らの力を発揮していない状況をつくるのが「よき友」としての存在ではないと考えています。