ビジネス書「サイコロジー・オブ・マネー」

※読書推薦人が興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 IT系業界で成功を収めている高給取りは、とにかくお金を浪費して遊びました。
 勤勉な百貨店の清掃員は、低賃金だったけれどもコツコツと優良株に投資していました。
 高給取りは数年後に破産し、清掃員は遺産に800万ドルもの資産を残したのです。

 なぜ、お金があると浪費してしまうのでしょう。そんな、お金にまつわる人間心理についてまとめた「ザ・サイコロジー・オブ・マネー」というレポートを書きました。

目次

書籍情報

タイトル

サイコロジー・オブ・マネー
The Psychology of Money
一生お金に困らない「富」のマインドセット

著者

モーガン・ハウセル
訳:小島修

出版

ダイヤモンド社

おかしな人は誰もいない

 他人のお金の使い方に対して「おかしなことをする」と思ったことがありませんか?ですが、人それぞれ価値観や収入が違います。おかしな人は誰もいないのです。

 お金に関する個人的な経験は、世界で起こった出来事の0.00000001%程度にしか過ぎません。ですがそれは、あなたの考えの8割を構成しています。異なるレンズを通して世界を見て、仕組みを理解した気になっているのです。
 だから、同じような知的レベルの人でも、投資方法、お金に関する優先事項、リスクへの許容度が分かれるのです。

 「人々は、それぞれの経済的な目標や投資対象の特徴を加味して投資判断を行っている」と考えられていたが、そうではありませんでした。
 インフレ率が高い時代に育った人は債券に投資する額が少なく、株式市場が好調な時代に生まれた人は株式に投資する額が多いのです。例えば、1970年代の人は、S&P500銘柄の価値が何倍にも増える体験をしています。この年代の方は、株式市場に対して好意的でしょう。

 宝くじは低所得者層に多く購入されています。数百万分の1しか当たらないのだから買わないと思う人もいます。子どもを大学に行かせる資金を手に入れる唯一のチャンスと考えて購入する人もいるのです。

 私たちはみな、お金に対しておかしなことをします。その時々に意味があると思われる判断をしているだけにすぎないのです。

運とリスク

 運とリスクを兄弟です。人生を左右する現実を表しています。

ビル・ゲイツの運

 ビル・ゲイツが通った高校レイクサイド・スクールには、世界でも珍しくコンピューターが導入されていました。当時、コンピューターが導入されている学校に通うことができたのは、全世界の高校生のうち100万人に1人しかいなかったのです。ビル・ゲイツは、たまたまそのうちの1人でした。
 同世代の誰よりも早く、コンピューターに触れる機会を得ていたのです。

 当時、ビル・ゲイツには親友がいました。エバンスです。コンピューターを使って授業スケジュール作成ツールの開発を頼まれ、ゲイツ協力し、見事に大人の期待に応えました。2人はコンビを組み続けると信じて疑わなかったが、卒業をする前に登山中の事故で帰らぬ人になったのです。
 米国では毎年。登山による死亡事故が40件弱発生しています。ハイスクール在学中に登山によって命を落とす確率は100万人に1人です。エバンスは、たまたまそのうちの1人なのです。

 誰も、経済的な成功に運が影響していないとは思っていません。能力や努力がまったくなかったかのように思われることを避けるために、「運に恵まれた」ことを公にすることに抵抗を覚えます。
 他人の成功に対して「運が良かった」と言うのをためらい、自分の成功を「運が良かっただけ」と評価することを受け入れないのです。
 失敗に対しての運も、同じように誤解されることが多いです。

ウォーレン・バフェットにはなれない

 誰かを絶賛して「こんなふうになりたい」と憧れたとき、誰かを見下ろして「こんなふうにはなりたくない」と思ったときには、気を付けましょう。その人の努力や判断に、成功や失敗の原因があると思い込むことは危険です。

 大切なのは、特定の個人や事例ではなく、大きなパターンに注目することです。
 多数の成功と失敗に共通するパターンを探すことで、実用的な教訓を得られるようになります。自分の人生に当てはめやすく、真似しやすいのです。

 ウォーレン・バフェットの真似をすることは、難しいでしょう。彼の傷害にわたる投資パフォーマンスには、運の要素もあるからです。

 成功をもたらすものを運とするならば、その兄弟であるリスクが側にいます。運悪くリスクが実現化してしまうときもあるでしょう。
 失敗にうまく対処するコツは、1度や2度失敗したとしても、自身を失わなないことです。良いときがくるのを信じながら、プレイし続けましょう。

決して満足できない人たち

スラム街で育った大富豪

 コルカタのスラム街で生まれ育ちながら、上場企業の5社の取締役を務めた大富豪です。2008年には、グプタの資産は1億ドルに達していたといわれています。
 グプタは、単なる億万長者では満足できなかったようです。資産10億ドル以上の「ビリオネア」になりたかったのでしょう。

 ゴールドマン・サックスにバフェットの支援が入り、50億ドルの投資を計画していることをグプタは耳にします。耳にしたすぐ後に、ゴールドマン・サックス株を17万5000株を購入したのです。そして、あまりにも分かりやすいインサイダー取引だったため、逮捕されました。

 なぜ、こんなにも資産を持つ人が、もっと多くの富を得ようと危険を犯すのでしょうか。彼らには「十分」の感覚がなかったのです。

経済力を手にする前に、4つのことを覚えてほしい

1.動き続けるゴールポストを止めよ

 「もっと多く」の金、権力、名声を求めて、満足感よりも野心のほうが大きくなってしまうのは、とても危険です。一歩前進するごとに、ゴールポストが2歩前に動きます。

 資本主義は、「富を生み出すこと」と「羨望を生み出すこと」に長けています。ライバルに負けたくない気持ちは努力を活性させるのです。ですが、「十分」を心得ていなければ、幸せが遠のきます

 古くから「幸福とは、結果から期待値を引いたもの」と言われています。

2.「富の比較ゲーム」に参加してはいけない

 他人と収入を比較してもきりがありません。比較をしている限り、誰も頂上には到達できないのです。きりがないのだから、決して勝つことができません。唯一、勝てる方法は、最初から戦わないことです。

 ラスベガスのディーラーはこう言います。
「ラスベガスで勝ちたいのなら、カジノに入ってすぐ出口に向かうことです」

3.吐くまで食うな

 吐くまで食べれば、食事量の限界を知れるでしょう。だけれども、誰もそんな無茶はいたしません。
 投資やビジネスの場合はどうか?なぜか、破産してしまったり、続行不能になったりします。

 燃え尽きるまで稼ごうとすると、高リスクの投資ポートフォリオを維持できなくなります。

4.大きな利益が得られる可能性があっても、危険を犯す価値のないものは多い

 グプタは出所後に、私の評価が地に落ちたのは事実だと語っています。失ったものの大きさを感じていたのでしょう。大切なものを失うようなリスクを取る必要があるのでしょうか?

複利の魔法

ウォーレン・バフェットの資産のほどんどは60代以降に増えたもの

 バフェットの845億ドル中815億ドルは、社会保障受給資格を得た60代半ば以降に増えたものです。(本書の執筆事典で)

 バフェットの成功の鍵は、$\frac{3}{4}$世紀に渡って類まれな投資家であり続けたことにあります。もし、60代で投資をやめていたら、その名が世界に知れ渡ることはなかったのです。
 つまり、若いときに経済的基盤を築き、長期間にわたって投資し続けたことが功を奏したということです。成功の最大の要因は、「時間」と言えるでしょう。

複利の力は、あなたの想像をはるかに上回る

 複利の力は、なかなか実感しづらいものがあります。20代で始めるか、30代で始めるかで老後の生活が大きく違うことを想像できるでしょうか?

 貯金の概念は簡単です。「8+8+8+8+8+8+8+8+8」を暗算しろと言われれば、72と答えられるでしょう。ですが、「8×8×8×8×8×8×8×8」を暗算しろと言われたら、頭が爆発してしまいます。(答え:1億3421万7728)
 急激に成長することを想像することは、私たちは苦手としています。

投資の最重要アドバイスは「黙ってじっと待て」

 巨額の投資リターンを得るために必死になってしまう人がいます。直感的には、それがお金持ちになる一番の近道に思えるからです。しかし、巨額のリターンはたいてい1度きりで終わってしまいます。

 良い投資とは、そこそこのリターンをくり返し手に入れ続けることです。複利の力は、そこで発揮されます。

裕福になること、裕福であり続けること

 裕福になる方法は無限に存在し、それを保つ方法は倹約と心配性の組み合わせです。

マイケル・モリッツの成功理由

 ベンチャーキャピタルとしては珍しく、40年にわたって繁栄しているセコイア・キャピタル社のマイケル・モリッツは、インタビューで成功の理由を語りました。

「常に倒産を恐れている事だと思う」
「成長、頭脳、洞察力ではなく、諦めずに頑張れるかどうかだ」

 「自分の身を削ってまで得る価値などなきに等しいということ」と「複利は何年もかけて手元を増やせる場合に効果があること」、モリッツの言葉を投資の場合に置き換えても成立することがわかります。

大きなリターンを得ることよりも、経済的に破綻しないことを目指す

 年間の利回りが現金1%、株式なら10%だとすると、現金を持ち続けることは多くのリターンを逃していると感じられるでしょう。
 しかし、その現金を保有しているおかげで、下げ相場でも株を売らずに済み、小さく勝ち続けられるとしたら、現金を保有するメリットが大きくなります。

計画通りに進まない可能性を踏まえて計画する

 予想もしなかったコロナウイルスの猛威などの、現実がもたらす変化に合わせて修正することで、初めて計画の意味がもたらされます。

 誤りの余地を踏まえて、幅広い状況に十分に対応できるようにしておきましょう。この余地が狭いと、予定通りに行かないほど脆弱になります。

 多くの賭けが失敗するのは、完璧な条件が揃わなければ成功しないような計画を立ててしまうからです。

未来に楽観的であれ

 ここでいう楽観主義は「ものごとがうまくいくと信じること」ではありません。「たとえ途中で不運に見舞われたとしても、長期的に見れば物事は自分が望む方向に進むと信じること」です。

 長い道のりには、途中に地雷がたくさん埋められていることを想定しておくべきなのです。

テールイベントの絶大な力

 5割の確率で失敗しても、富は築けます。

ディズニーを成功に導いたのは400分の1の作品

 ディズニーが最初に設立したスタジオは倒産の憂き目に遭いました。製作費は膨大にかかります。1930年代後半には400本以上のアニメーション作品を制作していて、ほとんどが短編のものでした。アニメーションとして愛されてはいましたが、赤字続きだったようです。
 全てを変えたのは『白雪姫と7人の小人たち』でした。今まで稼いだすべての収益よりも桁違いに多い800万ドルもの収益を叩き出したのです。このヒットを堺に、ディズニー・スタジオは大きく様変わりすることとなりました。

全体の1%以下の行動が、投資の成否を決める

 ナポレオンによる天才的な軍人の定義は、
「周りの人間が瘴気を失っているときに、普通のことができる者」です。

 3人の投資家がいたとします。

  • スー
    • 上げ相場だろうが下げ相場だろうが、とにかく米国の株式に投資する
  • ジム
    • 景気が後退したら株式を売却して、毎月1ドルを現金で貯金する
    • 景気後退が終わったら貯金を全て株式市場に投資する
  • トム
    • 景気が後退したら6か月後に株を売却する
    • 契機が回復したら6か月後に投資を再開する

 この3人が、1900年から2019年まで毎月1ドルずつ貯金して、株式市場に投資すると結果はどうなるでしょうか?

  • スー 43万551ドル
  • ジム 25万7386ドル
  • トム 23万4476ドル

スーの圧勝です。

 天才的な投資家の定義も、
「周りの人たちが我を忘れているときに、当たり前の行動を取れる人」なのです。

半分以上失敗しても、成功できる

 物事がうまくいかないことは多いし、失敗するのも当然だと理解できるようになりましょう。

 金融の業界では優秀な人でも、正しい判断をするのは10回中6回程度です。

 ネットフリックスのCEOリード・ヘイスティングスは、同社が大規模な予算をかけていた複数の作品の作成を中止すると発表し、以下のように述べたことがあります。
「今、我々の作品が火っとする確率は高すぎる。私は常にコンテンツチームにこう働きかけている。もっとリスクを取れ、もっとクレイジーなことに挑戦しろ、と。なぜなら、我々が良い作品を世に送りだすためには、多数の企画が必要だからだ。途中でボツになる気角がたくさん出るようでなければいけない」
ヒット作の裏には必ず、いくつもの失敗作が眠っているのです。

自由

幸福とは

 ミシガン大学で心理学者をしていたアンガス・キャンベルは、他人よりも明らかに幸福度が高い人がいることを明らかにしました。
 「人生を自分でコントロールしている」というはっきりとした感覚があることが、人を幸せにするといいます。

 お金は、自分の時間をコントロールできるようにしてくれます。蓄えが増えるごとに、人は周りの都合に左右されることなく、自律的に生きられるようになっていきます。

 生活のために1日も仕事を休めない状態に比べれば、蓄えによる安心感はとても大きいのです。

どんなに好きなことでも、自分でコントロールできないと辛い

 自分でコントロールできないスケジュールに従ってまですきなことをするのは、嫌いな事をしているのと同じです。心理学では、これを「心理的リアクタンス」と呼んでいます。

 好きなときに、好きな人と、好きな場所で、好きなことを好きなだけできる人生を過ごすためにお金を蓄えることが、結果的に多くのリターンを生み出すのです。

現代人が、豊かさと引き換えに失ったもの

 大きくて質の良い物を変えるようになりました。同時に、自分の時間をコントロールできなくなったのです。

 米国の高齢者1000人にインタビューをすると、人生経験から学んだ幸せは、温かな友情、大きな目的のための活動への参加、子どもたちとゆっくり過ごす時間などでした。
 人生の先輩からのアドバイスです。

 モノではなく、時間こそが幸せを導きます。

貯金の価値

富を築くための貯蓄率

 個人がお金を貯蓄し、倹約することは、「お金を増やすための方程式」において、私たちが唯一コントロールできる部分であり、将来的にも確実な効果が期待できます。

 少ないお金で幸せになる方法を学べば、必要なものを買っても十分に手元にお金が残ります。

 収入を増やすよりも、支出を減らすほうが簡単で、自分でコントロールもしやすいのです。 

目的のない貯金が最大の価値を生む

 目的のために貯蓄するのは、すべてが予測可能な世界では意味があるかもしれません。しかし、私たちの世界は予測不能です。

 貯蓄はリスクに対する備えでもあります。

 目的のない貯金をすれば、選択肢と柔軟性が手に入ります。考える時間や、人生を軌道修正できるようになるかもしれません。

 少額の貯金をするたびに、誰かに所有されていた自分の未来を少しずつ奪い返しているのです。

合理的>数理的

 冷徹な数理的指向より、おおまかな合理的指向がうまくいきます。

 人生は表計算ソフトで表せません。

最善策ではなく、腑に落ちる方法を選びたがる

 風邪を引いたときに、体は病原菌に対抗するため熱を発するのです。体の熱が上がりきる前に、アイシングや解熱剤を使って熱を下げようとしてませんか?
 最近でこそ、熱が下がり始めてから解熱剤を使って下さい。などの忠告がされるようになりました。熱は菌に抵抗するために発しているものだと知りながらも、「熱がでたから薬を飲む」と感覚的に理解できる方を選ぶ人が多いのです。

「知らない企業」より「好きな企業」への投資がリターンを生む理由

 投資対象の企業の企業理念や製品などに興味があれば、必然的に訪れる業績の悪いときにも応援する気持ちが生まれ、諦めずに投資を継続することができます。

 個別株投資は勝てる見込みが薄いので、計算上は理にかなった選択ではありません。けれども、こだわりたい企業への少額の投資ならば、合理的でしょう。

 誰かの予測にただ従って投資するのは危険です。
 人生すべてが一貫していることなど、めったにありません。

サプライズ

 歴史とは、未来を予測する地図ではありません。

この世界では、前例のない出来事が常に起きている

経済や投資市場の動向を注視している人は、この言葉を壁に張り出しておくべきでしょう。

ファイナンスの答えは「過去」にはない

 投資の世界では、何かが同じ状態を長く続けることはほとんどありません

 人はお金に対して、ある時代を経験した人の話を過大評価してしまいがちです。ですが、何かを経験したらといって、次に何が起こるかを予測できるとは限りません。むしろ、自信過剰になる危険があります。

 前回の利上げとまったく同じようになるとは限らないのです。

世界にはサプライズが潜んでいる

 世界大恐慌や第二次世界大戦のような過去の出来事を、これから起こる最悪のシナリオの基準だと考える人は多くいます。しかし、歴史的な対事件は、当時、前例がありません。未来に前例のある出来事が起こるというのは、思い込みにすぎないのです。

 例外的な出来事から、「世界にはサプライズが潜んでいる」という教訓を学ぶべきなのです。

 大きな影響を及ぼすのは、前例のないサプライズだという予測に、私は自信を持っています。

過去の成功した投資ルールは今は使えない

 グレアムが提唱した投資の講師は1934年から1972年のあいだに4度も破棄され、更新されていました。

 投資家や経済学者の多くは、自分の予測が何十年先もデータに裏打ちされていると安心しています。ですが、投資の歴史をさかのぼればさかのぼるほど、現代には通用しない可能性が高くなります。

誤りの余地

余裕のある計画が、勝利をもたらす

 ブラックジャックのカードカウンティングを例にみてみましょう。
 プレイヤーは、欲しいカードが出る確率が高い時に掛金を増やし、低い時には掛金を減らすことができます。プロのプレイヤーは自分が正しい可能性も、間違っている可能性もあることを自覚しています。
 彼らの戦略の基礎は「謙虚さ」です。予測通りに進まないことを見越して、「誤りの余地」を残しておかなければなりません。

 失敗しても、また挑戦できる余力を残しておくということです。

さまざまな結果を許容し、安全域をつくる

 お金にまつわるほぼすべてのことは、偶然性に支配された世界で起こっています。何か正確に予測することはできません。
 安全域を設けておくことは、確実性ではなく偶然に支配された世界を安全に進み続けるための唯一の有効な手段なのです。

 できることといえば、確率を考えることだけなのです。

「誤りの余地」をつくるべき場面

 以下の場面でつくるべきです。

  • 価格変動リスクがある場合
  • 老後資金のための投資の場合

 あなたは、資産が3割減っても大丈夫ですか
 表計算ソフト上は大丈夫だと思えるかもしれません。ですが、精神的にはどうですか?次に大きなチャンスが巡ってきても行動できなくなります。人生設計の見直しを考え始めるかもしれません。
 大きな損失を出した後、疲れ切って投資をやめてしまう人をたくさん見てきました。
 やはり、「誤りの余地」を考えておくべきでしょう。

 米国株式市場の年平均の利回りはインフレ調整後で6.8%あります。しかし将来的に利回りが低くなった場合はどうですか?
 若い時に突然、高額の医療費が必要になり、老後用の資金を取り崩さなければならなくなったらどうでしょう?
 やはり、解決策は「誤りの余地」を残しておくことでしょう。

95%の確率で勝てる場合でも、手をだしてはいけない勝負

 95%の確率で勝てるものは、5%の確率で負ける可能性があるということです。
 絶対に負けが許されない状況で、5%負ける可能性があるのに、勝てると判断して賭けにでてはなりません。

 負けることが起きたときに人生を破滅させる可能性がある場合、どんなに魅力的な報酬があってもリスクに見合いません

 こうした事態を回避するために、投資資産のバランスと取る必要があります。片方でリスクをとり、片方で慎重な戦略をとるのです。

あなたは変わる

 長期計画は見かけよりも難しいのです。

歴史の終わり錯覚

 私たちは、「18歳のときには想像もつかなかった人生の目標を、30代には考えている」という現実をもっと認識すべきなのです。

 若い時に急いで結婚した相手と、中年になって急いで離婚をしようとすることが、最近多くなってきていると思います。私たちには、こうした自覚がないのです。

 人はみな、自分はあまりへんかしないだろうと考えています。

 人生でやりたいことが変ったときに、マネープランを中断しないのは難しいことです。人生には様々な変化があります。周囲の環境も、自分自身の願望も、未来にはどうなっているのかわかりません。

 低収入の仕事を選んで質素に暮らし十分満足している若者は、子育てや老後の資金を準備できない可能性があります。

 懸命に金を稼いで贅沢な生活をして満足している若者は、若くて健康な時期のほとんどをオフィスで過ごしたことを後から後悔するリスクがあります。

 この問題に、簡単な解決策はありません。長期的なファイナンシャルプランを描く際には次の2つことを心に留めておくべきでしょう。

  • 極端なファイナンシャルプランは避ける
  • 「過去の自分」の囚人になってはいけない

極端なファイナンシャルプランは避ける

 極端な低収入でも満足できると仮定したり、極端な高収入を求めて永遠と働くことを選択したりすると、将来的に後悔しやすくなります。

 人はどんな状況にも適応できてしまいます。質素な生活や、贅沢な生活といった極端な生き方でかんじるメリットが次第に薄れていくものです。

 鍵を握るのは持続性です。人間は時の経過とともに変化をしていきます。だからこそ、人生の局面でバランスをとることが、将来の後悔を防ぐことに繋がるのです。

 現役時代に、貯蓄、自由時間、勤務時間、家族と過ごす時間をすべて適度にすることを目標にすれば、後悔もしにくくなるでしょう。

「過去の自分」の囚人になってはいけない

 大学の成功をきめるときに選んだ分野だからという理由で、生涯そのキャリアに忠実であり続けようとする人たちは、実にもったいないことをしています。

 18歳のときに決めた仕事を、年金を受け取る年齢になっても楽しく続けられる確率は低いとわかるはずです。

この世に無料のものはない

投資の神は、代償をしはらわずにリターンを求める者を嫌う

 価値あるものに代償がつきものであるように、投資の成功にも代償が必要です。その代償は、お金で支払うものではありません。
 絶えず市場に翻弄されるという代償です。

 投資のリターンが大きい商品ほど、価格は高くなります。飲料メーカーのモンスター・ビバレッジの株価は1995年から2018年までに史上最高となる3190倍の値上がりをみせました。
 投資の場合の3つの選択を用意します。

  1. 代償を払い、ボラティリティや混乱を受け入れる
  2. 中古車を買うように、利回りは少ないが安定した投資資産を探す
  3. 車を盗むように、リターンは得てもそれに伴うボラティリティは避けようとする

 投資をする人の多くは、3番の選択肢を選ぶ傾向にあります。値上がりする前に買おうとし、値下がりする前に売ろうとします。しかし、投資の神はそれを好みません。ほとんどの場合は捕まって罰を受けることになるでしょう。

投資の代償は「罰金」ではなく「入場料」だと考える

 車や休暇などに代償を支払うことをいとわない人たちが、優れた投資リターンへの代償を避けようとするのでしょうか。
 たしかに、投資で成功するために必要な代償は、わかりにくいものです。

 そこで、市場の変動性の意識を変えてみましょう。「間違った判断をしたことに対する罰金」ととらえるのではなく、「将来的に利益を得るために支払わなければならない手数料」と考えるのです。長期的に投資するのであれば、重要なことです。

 ディズニーランドの入場チケットのような「手数料」と同じような感覚でいればいいのです。ディズニーランドの場合は「楽しい1日」を得られます。このチケット料金を罰や罰金とみなしている人がいるでしょうか。そして、支払ったチケット代に見合う体験を得られるものなのです。

市場のゲーム

 「別のゲーム」をしているプレイヤーから学んではいけない

短期トレーダーがつくったバブルに惑わされるな

 バブルは、長期的な投資家が、自分たちとは別のゲームをしている短期的なトレーダーを参考にして投資をしたときに有害になります。

 デイトレーダーからみたその日の価格60ドルという株価は妥当なものでした。長期トレーダーからみた60ドルという株価はかなり高いものでした。デイトレーダーはその日の高くなった時点で取引するためです。長期トレーダーがデイトレーダーの言うことを信じて、この株を買ってしまうと大損をしてしまうでしょう。

 画面の向こうにいる、株価解説者は「なけなしのお金で投資をしている高齢者」なのか「初々しい気持ちで楽しんでいる若者」なのか知りません。

「自分がしているゲーム」を紙に書き出す

 投資家によって目標は違います。値上がりには麻薬のような効果があるのも事実です。

 つまり、自分がどれくらいの時間軸で投資をしようとしているかを忘れず、別のゲームをしている他人の言動に惑わされないことが大切です。

 自分がどんなゲームをしているかを、あらためて言葉に書き出して確認することを強くおすすめします。

 少なくとも、「来年は景気が後退する」「今年の市場はどうなるか」などの短絡的な情報は、「私がしているゲーム」ではありません。

お金の真理(本書で学んだこと)

 具体的なアドバイスをするつもりはありません。普遍的な心理をお伝えしたいからです。

 お金には普遍的な心理があります。この心理をどんなふうに自分のお金に当てはめるべきかについて、人それぞれ違っているとしてもです。

 それを前提としたうえで、お金についての普遍的な教訓をまとめました。

  • 物事がうまくいっているときには慎重に、うまくいかないときには寛容に
  • エゴを減らせば、豊かになれる
  • 「夜、安心して眠れること」を優先してお金の管理をすべし
  • 投資で結果を出すための最大の秘訣は、時間軸を長くすること
  • うまくいかないことがあっても問題ないと考える。半分は間違っていても、資産は増やせる
  • 自分の時間をコントロールするためにお金を貯め、使う
  • 貯金をする。ただ貯金する。貯めるのに特別な理由は必要ない
  • 成功のために必要なだいしょうを見極め、それを支払う準備をする
  • 「誤りの余地」を何よりも大切にする
  • 極端な経済的判断は避ける
  • リスクを好きになること。リスクは、時間の経過とともに利益を生む
  • 自分がしているゲームを明確する
  • 多様な意見を認める

 投資に対する考えは人それぞれです。ファイナンスの世界ではおかしなことを考えている人など、誰もいないのだから。

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