小説「JR上野駅公園口」

書籍情報

タイトル

JR上野駅公園口

著者:柳美里(ゆう みり)

1968年生まれ。高校中退後、東由多加率いる「東京キッドブラザース」に入団。役者、主演助手を経て、86年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。93年「魚の祭」で岸田國士戯曲賞を最年少で受賞。97年「家族シネマ」で芥川賞を受賞。著書に「フルハウス」(泉鏡花文学賞、野間文芸新人賞)「命」「8月の果て」「雨と夢のあとに」「グッドバイ・ママ」「まちあわせ」「貧乏の神様」「ねこのおうち」「人生にはやらなくていいことがある」他多数。

*オフィシャルサイト

http://yu-miri.com

そでより抜粋

出版

河出書房

ストーリー

 この小説を構想しはじめたのは、十二年前のことです。

 2006年に、ホームラスの方々の間で「山狩り」と呼ばれる、行幸啓直前に行われる「特別清掃」の取材を行いました。

「山狩り」実施の日時の告知は、ホームレスの方々のブルーシートの「コヤ」に直接張り紙を貼るという方法のみで、早くても実施一週間前、二日前の時もあるということで、東京在住の友人に頼んで上野公園に通ってもらい、張り紙の譲歩を送ってもらいました。

 上野恩賜公園近くのビジネスホテルに宿泊し、ホームレスの方々が「コヤ」を畳みはじめる午前七時から、公園に戻る五時までのあいだ、彼らの足跡を追いました。

 真冬の激しい雨の日で、想像の何倍もつらい一日でした。

「山狩り」の取材は、三回行いました。

 彼らと話をして歩き、集団就職や出稼ぎで上京してきた東北出身者が多い、ということを知りました。彼らの話に相槌を打ったり質問したりしていると─、七十代の男性が、私とのあいだの空間に、両手で三角と直線を書きました。

「あんたには在る。おれたちには無い。在るひとに、無いひとの気持ちは分からないよ」と言われました。

彼が描いたのは、屋根と壁─、家でした。

単行本版 あとがき より一部抜粋

実際にホームレスの方を取材して書かれたお話です。

ゴミの日に捨てたはずのジャージを着ているひと、左右違う靴を履いているひと、そんなホームレスの方々がJR上野駅公園口の改札を出て、横断歩道を渡ったところにあるイチョウの木の植え込みの囲いに座っている。

養う家族がいなくなって、賞味期限の切れたコンビニ弁当で毎日過ごしているひと、
会社が倒産して無職になり妻に離婚を突き付けられたひと、
妻と子供を置いて蒸発したひと、
借金だらけの貧乏家族に生まれホームレスになったひと、
ホームレスになった理由があります。
ホームレスになりたくてなったわけではないのです。

空き缶を1000個集めたら2千円を貰える。
あそこの通りは売れ残った商品を生ごみとは別に綺麗な袋に入れて、置いといてくれる。
などのホームレスの生活を挟みながら、話が進んでいきます。

著書の魅力

「山狩り」と呼ばれる、行幸啓直前に行われる「特別清掃」 のホームレスの方の視点で書かれていて、年々数が減っていってるホームレスの実態を個人にスポットを当てたのエピソードとして書かれていて、想像よりも辛い現実を思い知らされる一冊となりました。

近所の橋の下に、何十年と住んでいるホームレスの方がいらっしゃり、たまにコンビニでお買い物をなさるのですが、鼻を摘まんでしまう店員さんや、子供を抱えて車の中に戻りホームレスの方が出てくるのを待ってから買い物をする人がおられます。離れていてもニオイがしますので分からなくはないのですが、仕草や行動に表わすのはやり過ぎではないかなと思います。(おそらく、ホームレスの方は気にされてないと思いますが。)

自分もイヤだなと感じていましたが、この本を読むことで考え方・価値観をグーでぶん殴られたような感覚を覚えました。「人の立場に立って考える」ということが全然できてませんでした。

ホームレスになりたくてホームレスになっているわけでは無いのです。コンビニのトイレを利用して、ワンカップ1つか、安いパンを1つ、あるいはシーチキンマヨネーズのおにぎりを1つ買って帰るのは、僕らも一緒ではないですか。そりゃあ、利用したトイレが酷く汚れることはありますよ。でも、まあ、そのくらい良いかなと考え方を切り替えられる一冊となるかもしれません。

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