スタバではグランデを買え!

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 著者の場合、いつも買うものといえばペットボトルのお茶です。毎日2~3本をコンビニや自動販売機から買います。ときどきスーパーの特売や100円ショップでも買います。

 自動販売機では150円なのに、スーパーの特売では88円で売られているのです。同じお茶なのに、なぜこんなにも異なる価格で売られているのでしょうか。

 支払うときのお金は、消費生活の上で重要なコストのひとつですが、買い物にかかる時間や労力も大きなコストです。

 本書では、コストの観点から私生活を分析します。消費生活の中で抱いていた疑問を解決することができればと願っています。

書籍情報

タイトル

スタバではグランデを買え!

価格と生活の経済学

第1刷 2007年9月13日

発行 ダイヤモンド社、ちくま文庫

装丁 デジカル デザイン室

DTP デジカル デザイン室

制作 ダイヤモンド・グラフィック社

印刷 堀内印刷所、加藤文明社

製本 宮本製本所

営業担当

編集担当 加藤貞顕

ISBN978-4-478-00229-2

総ページ数 284p

著者

吉本佳生

経済学者。生活経済、国際経済、マクロ経済、ミクロ経済、経済数学、ファイナンス論など数々の演習を行った経験を持っています。数多くの経済の書籍を執筆しています。

出版

ちくま文庫、ダイヤモンド社

携帯料金の餌食になる

 携帯電話会社の料金体系では、通話料金や基本料金に適用される割引サービスがいろいろと用意されています。会社としては、料金や基本料金を引き下げるのはできるだけ避けたいからです。

 部分的にアピールして消費効果が高くなるものだけ、割引サービスの導入をして顧客を増やそうと競争しているのです。

 日本の携帯電話の価格競争は複雑になっており、新しいプランやサービスが発表されます。携帯電話料金として毎月大きな金額を支払っているようなら、定期的に自分が契約している会社とは別の企業の料金体系を調べてみるとよいでしょう。大幅に節約できるかもしれません。

 月額の使用料に鈍感なお客様と敏感なお客様と、両方を複雑な料金体系を用意しておくことで価格差別が容易にできる仕組みです。

 こういう価格差別を行う企業の宣伝方法は、意図的に情報コストを高めるものになっています。「安い」「ゼロ円」などの長所は強調されているのに、本当に重要な内容は小さく細く書かれているのです。

 細かい部分まで読む人は本当に安いプランを選択する一方で、強調された部分につられた人は有利でない割高なプランに手を出します。

 面倒な文章を読む時間を節約する人には、できるだけ高い料金を支払ってもらいたいと思っているのです。

スターバックスのサイズ

商品名普通サイズWサイズ
日替わりコーヒー250円350円
カフェラテ300円400円
カフェモカ350円450円
スペシャル400円500円
コーヒーサイズと価格

 お客様がカフェラテの注文サイズを普通サイズからWサイズに変更してくれるなら、25円のコスト追加で、100円の売り上げ増しですので、75円の利益を余分に稼げます。

 価格の高い飲み物ほど、ミルクを注いだり、チョコレートを入れたりと手間はかかりますが、すべての商品においてサイズ変更の価格差を100円に統一しているようです。

 結局のところ、価格の高い飲み物ほど利益の比率は大きくなっていきますので、お店としてもWサイズが一番儲かる商品になります。2杯分を1回の注文で済ませられるのです。

 お客様も追加の240㏄がプラス100円で飲めるので、損にはなりません。一度にたくさん飲みたいと思う人にとって、お買い得な設定であることは事実です。

 広い意味では、テナント料や人件費といったコストが取引にかかわってきます。様々な形でかかわるコストですが、うまく節約する方法があれば、その分だけ消費者や企業は利益を得られるのです。消費者が賢く買い物するためには、自分が負担するコストはもちろんのこと、店やメーカーなどが負担してくれているコストもふくめて、いろいろなことに意識を向けましょう。

100円ショップの安さ

 最近の100円ショップで売っている商品は、機能やデザインなどの品質面でも十分に満足できるものが多くなっています。

 100円ショップがいろいろな商品を安く売ることができるのは、コストをうまく削減しているからです。100円ショップのコスト削減は、工場、物流、販売の3つの段階に分けて整理してあります。

 原価は安くて1円から100円以上のものまで幅広くあるといわれていて、原価の返金は50円~70円の間との推測です。

 コストと工程の例をあげるなら、1個35円で製造して、15円の物流コストかけて、30円の販売コストで売ることで、1個20円の利益を得ています。

 人件費がかからない外国で製造され、大量に商品や材料を1度に「完全買い取り」することで、安く商品を提供できるのです。

 他にも、食料品や乾電池、ハンガーやファイルなど、内容量を調節できる商品では、少しずつ量を減らして実質的な値下げをして100円均一を保っています。

 雇うアルバイトの人数が少ないのも大手100円ショップの特徴です。発注、受取、陳列、レジ打ち、金銭管理までをおこなっています。もし、1%以上のロスがでていたら解雇できるという厳しい雇用契約を結んでいるのです。

いくらでも仕事はある

 政治家や経済学者などが、日本の経済格差をどれだけ問題にしていようと、現実の格差が是正されていません。まずは所得を稼ぐことから考えてみましょう。

 私たちは、職業選択の自由を持ち、自由にモノやサービスを消費できます。これはとても凄いことです。

 ひとつのモノを消費者に届けるまでに必要な仕事はたくさんあります。高度な技術で生産されるモノでも、箱詰めなどの単純な作業でも、運転する、運ぶといった作業がきちんとされていなければ、消費者が満足する形では届けられないのです。

 単純で誰にでもできそうな仕事も、多くの職場で必要とされています。実は、仕事をきちんとおこなうことができる人は、求められている人数よりずっと少ないのが現状です。

 「自分はしっかりできている」と思っている社員ほど勘違いをしているというデータがあります。講義の理解度と自己評価を答えてもらった研究があります。自己申告で100%理解していると答えた学生は、平均30点ほどしかありませんでした。過度に自信を持っている人の傾向として、周りの評価と自己評価が異なることが多いようです。

 珍しいタイプですが、自己評価も高く能力も高い人もいらっしゃいます。単純作業をしなければならないような仕事ではプライドがあるため、うまく世の中の分業工程で苦労することもあるようです。

 自己評価が低くても、仕事が許容レベルでできる人も世の中にはいなければいけません。

あとがき

 私たちが生活していく中で購入するモノやサービスの原価を突き詰めて考えていくと、消費支出の大部分は広い範囲のコストを支払っていることがわかります。

 世の中、取引にかかるコストを安くするのは商売の基本です。どんなモノやサービスの規模の経済性が働きやすいのかを知っておくと、得をしやすいでしょう。ただし、需要が今後増えるかどうかの判断も必要になります。

 コストがかかるからといって節約しすぎることで、他人と違った行動をしていると暮らしにくいのも事実です。自分が少数派なのか、自己分析が正確であるほと、上手に生活ができるでしょう。

 生活のなかで経済のしくみがわかると楽しいと思っていただけたら幸いです。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 ※ちょっと昔の書籍ですので、今の物価を考えると違和感を感じるかもしれません。

 日本の場合は、空間把握能力や集団能力、指先や腕などを効率よく動かす作業など、幼少期からの義務教育で学んでいます。プラスして物理、化学、言語、数字、を学ぶため、深くは理解していなくとも、なんとなく工程を教われば解るという、日本人の凄さは感じています。

 よく、日本国産!とシールが貼られている商品を作っているところに、場内の様子を探ってみると夜間でベトナム人が大量に派遣されていたりします。女性の方が多く、男性優位社会の文化もあって、上司にあたる男性にとっては扱いにくいこともあるようです。

 許容範囲内で仕事をキレイにやってもらえれば問題はないですが、無自覚で雑なことばかりで返品が多かったり、検品に明け暮れて逆に手間が増えています。日本国産と書いて商品価値を高めているようですが、ベトナムの人件費で生産するのと変わりません。それほど、日本国内の単純作業の仕事は働き手が足りていないのが現状です。

 商品にデカデカと書いてあることを鵜呑みにするのもどうかと思います。お出かけ先で、水分を取りたいのに高いからと自販機で飲み物を買わないのもどうかと思います。自分のやり方で合ってるんだ!と仕事しない人は論外です。そのようなことを学びました。

 物価とビジネスの成り立ちを知れる本になっています。

 下にリンクを貼っておきますので、本書の購入を検討してみて下さい。

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