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目次
書籍情報
頭痛専門外来へ行こう!
発刊 2024年6月19日
ISBN 978-4-7745-2008-7
総ページ数 158p
金中直輔
医療法人いなほ会 頭とからだのクリニックかねなか脳神経外科医院長。
2022年12月にグループクリニックとしてスポーツ&整形外科中のを開院し、「健康寿命の延伸」を理念に日々の診療を行っている。
現代書林
- はじめに
- 第1章 頭痛外来へようこそ
- 誰にもわかってもらえない頭痛の悩み
- 慢性頭痛による経済損失は信じられないほど大きい
- 子どもの頭痛は不登校の引き金として注目されている
- 死なないけど、生活できない
- 鎮痛薬を服用しても良くならない理由① 痛みの症状が強く、持続時間が長い
- トリプタンや鎮痛薬を飲んでも良くならない理由② 薬の使い分けとタイミングが難しい
- 常に薬を内服することへの抵抗性や副作用などによる忍容性の低下
- 片頭痛と緊張型頭痛を区別するのは難しい
- 片頭痛と思っていたらクモ膜下出血だったケースも
- 頭痛外来の先にある専門治療
- Column 片頭痛と脳梗塞
- 第2章 頭痛はなぜ起きるのか?
- 一次性頭痛と二次性頭痛
- 「SNNOOP10」(二次性頭痛を示唆する症状)
- 頭痛外来では、こうして二次性頭痛を見つける
- 一次性頭痛の代表は片頭痛と緊張型頭痛
- 頭痛外来にやってくる患者さんが最も多い「片頭痛」
- 頭痛以外の症状がとてもつらいのが特徴
- 頭痛がおさまった後も、すっきりしない症状が続く
- 片頭痛は頭痛ばかりを見ていると誤認する
- 片頭痛の原因を知ろう
- 薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛MOH)
- 以外に多いMOH
- 市販薬でも処方薬でも起こる
- MOHの治療
- パソコンやスマホの影響で起こる「緊張型頭痛」
- 重い緊張型頭痛はQOL(生活の質)を低下させる
- 緊張型頭痛の原因
- 緊張型頭痛の治療
- 涙や鼻水を伴う激烈な頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)
- 「群発頭痛」が代表だが、他のタイプもある
- Karte1 群発頭痛の治療
- 薬で良くならない場合は酸素治療法が効果的
- Column 頭痛体操は頭痛痛にも緊張型頭痛にも効く
- なぜ二次性頭痛を知っておくことが大事なのか
- Karte2 少量の出血では、わかりにくい…クモ膜下出血
- Karte3 排便時のいきみが引き金に…可逆性脳血管攣縮症(RCVS)
- Karte4 マッサージが引き金?…椎骨動脈解離
- Karte5 激しい耳鳴りと共に起こる頭痛…低髄液圧症候群(低髄液圧性頭痛)
- Karte6 認知症と間違われることもある…脳腫瘍
- Karte7 長引く子どもの頭痛には要注意…副鼻腔炎を伴う頭痛
- Karte8 高齢者に多い…慢性硬膜下血腫による頭痛
- Karte9 話すだけで痛い。左顔面の激しい痛み
- Column 脳動脈瘤
- 第3章 つらい頭痛の代表・片頭痛の最新治療
- 「片頭痛は薬を飲み続けなければ治らない」は嘘
- 片頭痛の発生機序を理解しよう
- 治療のゴールまでは約半年~1年が目標
- 新しい薬の登場で、片頭痛の予防が可能になった
- 片頭痛の急性期(痛い時の)治療
- トリプタンの副作用を知っておけば怖くない
- 5種類のトリプタン製剤の使い分け
- 5種類のトリプタン製剤とそれぞれの特徴
- 制吐剤にも片頭痛を軽減する効果がある
- かつては広く使われていたエルゴタミン製剤
- 服用のタイミングを心配しないですむ新しい薬
- 薬の使用頻度が増えてきたら要注意
- 片頭痛の予防治療
- Karte10 抗CGRP関連製剤で片頭痛をコントロール
- 抗CGRP関連製剤はどのように片頭痛を予防するのか?
- できる医療機関は限定されている
- 発作間欠期(痛みがない時)にも苦痛がある
- 片頭痛の生活療法が重要な理由
- 実践! 片頭痛の生活療法
- 片頭痛を予防する食生活
- 片頭痛発作を起こしやすい食品
- Karte11 薬の調整と生活療法で良くなった患者さん
- 片頭痛に対する「認知行動療法」
- Column 妊娠と片頭痛治療
- Column 年をとると片頭痛は起こりにくくなる
- 第4章 気をつけておきたい「子どもの頭痛」
- 子どもにも頭痛があるのか?
- 子どもの頭痛は思春期に増える
- 体と心のギャップにより生じる頭痛
- Karte12 子どもの片頭痛には大人と違う特徴がある
- 子どもの片頭痛の治療は非薬物療法が中心
- Karte13 薬が効かない…起立性調節障害との共存
- Karte14 薬が効かない…スマホ、タブレットの使用過多
- Karte15 薬が効かない…登校を体が拒否する
- 慢性連日性頭痛の背景にある自己評価の低下
- 新型コロナに感染した後の頭痛でも、長引くと不登校になることがある
- 子どもの頭痛を軽視してはいけない
- 心の成長と共に、良くなるケースがほとんど
- 親御さんには「頭痛があってよかった」と言いたい
- Column 他にもいろいろある、不登校のサポート体制
- おわりに
書籍紹介
頭痛専門医である金中直輔先生が、長年の臨床経験を基にして執筆されたもので、頭痛の種類や原因、治療法について分かりやすく解説しています。
本書の魅力
この本の最大の魅力は、専門的な知識を持つ医師が執筆しているため、信頼性が高く、実践的な情報が満載であることです。頭痛の原因は多岐にわたりますが、本書では片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などの主要な頭痛のタイプを網羅し、それぞれの特徴や治療法を詳しく説明しています。また、頭痛がどのように発生するのか、そのメカニズムについても深く掘り下げており、読者が自身の症状を理解する手助けとなります。
読んで得られる知識
「頭痛専門外来へ行こう!」を読むことで、次のような知識が得られます:
- 頭痛の分類と特徴:自身の頭痛のタイプを見極める手助けとなります。
- 原因と引き金:ストレスや生活習慣、食事など、頭痛の原因となる要因について学べます。
- 治療法と予防策:薬物療法や非薬物療法、生活習慣の改善方法について具体的なアドバイスが得られます。
- 頭痛専門外来の重要性:専門の医療機関で診断と治療を受けることのメリットについて理解できます。
頭痛に悩む全ての人へ
頭痛は日常生活に大きな影響を与える厄介な症状ですが、本書を通じて正しい知識を得ることで、適切な対策を講じることが可能になります。金中先生の丁寧な説明と親しみやすい文章は、医療に詳しくない人でも理解しやすく、実際に役立つ情報が詰まっています。
「頭痛専門外来へ行こう!」は、頭痛に悩む全ての人々にとって心強いガイドブックとなることでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
片頭痛と緊張型頭痛を区別するのは難しい
慢性頭痛で長年医療機関に通っているにもかかわらず、症状が改善しない場合、誤診の可能性があります。
片頭痛と診断された人のうち、75%は以前に「片頭痛以外の頭痛」と誤診されています。これは、クモ膜下出血などとは異なり、画像診断では慢性頭痛を判別できないためです。
さらに、緊張型頭痛は片頭痛と症状が非常に似ているため、診断が難しくなる要因となっています。
片頭痛を正しく診断するためには、予兆期における脳血流の低下による症状を見極めることが重要です。そのため、問診時には「動くと悪化する」「悪心や吐き気」「光過敏・音過敏」「臭いに敏感」といった頭痛以外の症状があるかを確認します。
脳神経外科医や神経内科医でも、片頭痛の診断が難しいことがあります。そのため、頭痛専門の医師に診断を受けることをおすすめします。それほど頭痛のタイプを見分けるのは難しいのです。
緊張型頭痛の治療
つらい緊張型頭痛は、我慢せずに専門機関で治療を受けることをおすすめします。市販の鎮痛薬を使いすぎると、かえって頭痛が悪化することがあります。
脳の異常がないことを検査で確認し、緊張型頭痛の原因となる生活習慣を改善することが重要です。頭痛体操も効果的です。
慢性緊張型頭痛の患者さんは、ストレスやうつ病を併発していることが多く、頭だけでなく心も疲弊しています。中枢疼痛メカニズムが関与しているため、鎮痛薬だけでは効果がない場合もあります。薬物治療だけでなく、リラクゼーション療法や認知行動療法などを組み合わせることが一般的です。
片頭痛の生活療法
片頭痛はストレスや精神的緊張、疲労によって悪化します。特に、ストレスから解放される週末などに発作が起こりやすいです。ストレスを軽減することは簡単ではありませんが、できる範囲で努めてみてください。
瞑想、腹式呼吸、湯船に浸かる、友人と過ごす時間を持つなど、簡単なストレス軽減方法から始めると良いでしょう。余裕があれば、ウォーキングやジョギング、ヨガといった適度な運動もおすすめです。
片頭痛を持つ人には、十分な睡眠が必要です。しかし、睡眠が長すぎても発作が起こりやすいので、8時間を目安に6~9時間の間で自分に合った睡眠時間を習慣づけましょう。
スマホ、タブレットの使用過多
1日に6時間ほどスマホを使う人が増えています。こうした端末の使い過ぎで首や肩がこり、緊張型頭痛を引き起こし、それが慢性連日性頭痛に移行する人も多いです。
目の網膜には物体を認識する細胞と、光を感じる受容体の細胞があります。夜に長時間スマホを使用すると、画面からのブルーライトで睡眠障害が起こることがあります。また、メディアの刺激により眠れなくなることもあるでしょう。このような生活習慣が続くと、概日リズムが崩れ、朝起きられなくなり、セロトニンが枯渇して頭痛が発生することが明らかになっています。
子どもの頭痛には、このような背景が隠れている場合があります。このようなケースでは、生活習慣を改善するだけで頭痛が和らぐことがほとんどです。