睡眠学テクニック/著者:櫻井武

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書籍情報

タイトル

すぐに実践したくなる

すごく使える睡眠学テクニック

発刊 2024年9月1日

ISBN 978-4-534-06129-4

総ページ数 216p

書評サイト 読書メーターPRESIDENT Online

出版社リンク 日本実業出版社

著者

櫻井武

医師、医学博士。
1998年、覚醒を制御する神経ペプチド「オレキシン」の発見に携わった1人。

出版

日本実業出版社

もくじ

  • はじめに
  • 第1章 意外と誤解が多い睡眠学
    • そもそも、どうして眠気が生まれるのか?
    • ノンレム睡眠には「3段階の眠りの深さ」がある
    • レム睡眠が不足すると、寿命が短くなる!?
    • 「睡眠負債」っていったいなに?
    • 「疲れがとれてスッキリ」の正体、情報過多のリセット
    • ノンレム睡眠中に、脳に溜まったゴミを除去する
    • どうして「楽しみな遠足の前日」は眠れなくなるのか?
    • 「最低7時間は睡眠をとる」は嘘
  • 第2章 睡眠学的に正しい眠りの法則
    • 睡眠にゴールデンタイムはない!
    • 「夜の強い光」が体内時計を狂わせている
    • 「90分周期」という睡眠神話
    • 睡眠の質は温度と湿度で決まる
    • 1日のなかでもっとも眠れない「睡眠禁止帯」
    • 眠ろうとしてもなかなか眠れなかったらベッドから出る
    • 睡眠中は話し声も騒音レベルに感じる
    • 「寝ないで済む」特効薬は絶対にない!
  • 第3章 免疫力を高める睡眠学
    • 体内時計の不思議なメカニズム
    • 睡眠のベストタイミングはいつ?
    • ぬるめのお風呂に15分以上入る
    • いつも決まった時間に空腹を感じる「食餌同期性リズム」
    • どうしてカフェインをとると眠れなくなるのか?
    • 乳酸菌飲料を飲むと睡眠の質が向上する!?
    • 万人に有効な入眠儀式はない!
    • 寝る前にリラックスモードになったほうがいいわけ
    • どうして寝不足のときに風邪をひきやすいのか?
    • 「眠れない」体験は睡眠の大敵
  • 第4章 仕事効率を高める睡眠学
    • 脳は寝ている間も起きる準備をしている!?
    • 14時~15時は小さな眠気のピーク
    • 「パワーナップ=昼寝」でパフォーマンスが上がる
    • 冷たいタオルで”活動モード”を呼び起こす
    • 運動が睡眠に良い影響を与える理由
    • ブルーライトが睡眠に悪いわけ
    • 登校時間が1時間遅くなると学力が向上した??
    • 良い二度寝と、悪い二度寝
    • コーヒーで眠気を吹き飛ばすならアイスよりホット
    • 睡眠に効果がある4つの香り
    • 月曜日は、いつも時差ボケ!?!?
    • 時差ボケは諦めるか、抗うか
    • 長時間眠れるのは人間だけ
  • 第5章 健康寿命と睡眠学
    • 「いつも眠い」は危機的状況
    • 「いびき」は深刻な病気の予備軍
    • 睡眠日誌を2週間つけてみる
    • 「昼間眠くないか」で適切な睡眠時間を測る
    • 寝だめせずに30分の仮眠をとる
    • 「眠れない」記憶はいつの間にか蓄積される
    • 「早起きは三文の徳」は時代遅れ!!!
    • 睡眠薬は「眠る成功体験」のサポート役
    • 体調不良のときに寝たほうがいいわけ
    • 脳波を観察しないと睡眠は採点できない
    • 「夢遊病」に夢は関係していない
    • よく寝ると、ダイエットに効果的!?
    • 寝る前のお酒はどうしてダメなのか?
  • 第6章 年齢・体質と睡眠学
    • 訓練してもショートスリーパーにはなれない!
    • 現代人は寝不足をごまかしている
    • 「朝型」 「夜型」は年齢で変わる
    • どうして年をとると早起きになるのか?
    • 「早寝早起きが体に良い」は嘘
    • よく眠れる魔法の寝具はない!
    • 起きたときの違和感は病院を受診したほうがいい
    • 過眠症は昼も夜も睡眠と起きている状態を繰り返す
    • 睡眠時間で認知症になるリスクが変わる
    • サマータイム制度は死亡率を高めている??
    • うれしい、心配、興奮で眠気が吹っ飛ぶ
  • 第7章 睡眠学で紐解く就寝中の脳の働き
    • どうして私たちは夢を見るのか?
    • 夢で「でたらめなストーリー」が出てくるワケ
    • 金縛りは睡眠の質が落ちているサイン
    • 寝ているだけで記憶力が高まる!?
    • 必要のないファイルを整理して脳を動かす
    • 「嫌なことは、寝たら忘れる」って本当?
    • 睡眠はひらめきや発見につながる
    • 「寝言が多いと睡眠の質が悪い」は嘘
    • アナウンサーは寝言が少ない?
    • 私たちは冬眠でエネルギーを節約できるのか?
  • おわりに

書籍紹介

 本書は、睡眠の重要性やそのメカニズムについての基本的な知識から始まりますが、その目的は理論を学ぶことよりも、実践的なテクニックを提供することにあります。櫻井教授は、睡眠負債や不眠症の治療法、最新の睡眠研究の成果などを通じて、睡眠が私たちの健康やパフォーマンスにどのように影響を与えるかを説明します。これにより、読者は自分の睡眠パターンを理解し、改善の必要性を感じることができます。

具体的な快眠法

 具体的なテクニックとしては、例えば「90分単位で睡眠時間を管理する」方法や、「寝る前のリラックス法」などが紹介されています。特に注目すべきは、睡眠の質を高めるための環境整備や、食事や運動のタイミングが睡眠にどう影響するかについての詳細なアドバイスです。また、テクノロジーを活用した睡眠管理の方法についても触れられています。

ストレス軽減

 この本では、睡眠とストレスの関係についても深く掘り下げ、ストレスを軽減することで睡眠の質を向上させるアプローチを提供します。これらのテクニックは、科学的根拠に基づいているため、単なる自己啓発本ではなく、学術的なバックグラウンドを持っている点が魅力です。

睡眠から生活習慣を変える

 櫻井武教授は、彼の専門知識を活かして、睡眠の科学的な理解と実際の生活改善を結びつけることで、読者が自身の睡眠をコントロールし、生活の質を向上させる手助けをしています。この書籍は、睡眠に悩む人々だけでなく、睡眠の最適化によって日々の生活をより充実させたいと考える全ての人にとって有益な一冊です。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

「最低7時間は睡眠をとる」は、嘘

 1982年、アメリカの1000万人以上を対象にした調査では、6.5~7.4時間の睡眠時間を持つ人々の死亡危険率が最も低いことが示されました。この結果から、睡眠時間が7時間前後がベストだという考えが根強く浸透しています。

 しかし、調査対象者が30~102歳と幅広く、また睡眠時間にはベッドでゴロゴロする時間も含まれている可能性が高いため、正確性に欠ける面があります。この研究から読み取れることは、30歳以上の人が病気にならずに寿命を延ばすためには、睡眠時間が7時間前後が良いかもしれないということです。

 ちなみに、認知機能を調べた実験では、「7時間」と「9時間」の睡眠時間で比較したところ、9時間睡眠の方が認知機能が高かったという結果もあります。アインシュタインは10時間寝ていたようですし、メジャーリーガーの大谷翔平選手も長い睡眠時間を確保していることが知られています。これらの偉業を成す人々から適切な睡眠時間を導き出すのは重要であることがわかるでしょう。

 自分の最適な睡眠時間を見つけるための最もわかりやすい方法は、昼間に眠気に襲われることなく、本来やるべき作業をしっかり行うことができるかどうかという目安です。あくまで昼間を快適に過ごせるかどうかが、自分に適した睡眠時間の指標と言えるでしょう。無理に目安の時間以上眠る必要はありません。

 睡眠は非常に融通が利きます。あまり活動しなかった日には、睡眠時間が短くなるかもしれません。どうしても成し遂げなければならない仕事があれば、眠りを犠牲にすることも考えられます。その後、「睡眠負債」を返済する必要がありますが、睡眠時間は柔軟に考えることも大事なポイントです。

睡眠日誌を2週間つけてみる

 睡眠習慣を「見える化」する睡眠日誌は、睡眠外来がある病院のホームページからダウンロードすることができます。

 また、スマホでも睡眠日誌をつけるアプリがあり、エクセルを使用しても問題ありません。

 睡眠の問題点を見つけるには、少なくとも2週間分の日誌をつける必要があります。起床時や寝る前など、いつも決まった時間に記録をつけることも大切です。

 日誌を見直して、平日と休日の睡眠時間の差を比べてみましょう。平日よりも2時間以上多く眠っていたら、平日の睡眠不足が溜まっています。休日と平日の睡眠時間の差が30分以内であれば、その睡眠時間は自分にとって必要な睡眠時間と言えるでしょう。

 ただし、睡眠時間が7時間以上確保できているにもかかわらず、午前中に強い眠気が襲ったり、日中ボーっとしたりする場合には、睡眠の質が低下している状態です。睡眠時無呼吸症候群などの疾患が影響している可能性があります。

 また、睡眠日誌は、睡眠の見える化だけでなく、不眠や睡眠の悩みで医療機関を受診した際にも、診断がスムーズになるなどのメリットがあります。

脳波を観察しないと睡眠は採点できない!

 最近では、スマートフォンのアプリなどで睡眠を採点するものも登場していますが、睡眠を正確に評価するには脳波を調べる必要があるため、枕元に機器を置いただけでは正確に採点することはできません。

 睡眠は「意識がない状態」です。自分で評価することはできません。「よく眠れた」と自分で評価しても、客観的な評価とは大きく異なる場合があります。

 リストバンドタイプや枕元に置くタイプの睡眠計を使って睡眠を評価しようとする人もいますが、こうした睡眠計測は体の動きを診断するものです。ゲーム感覚で使うなら問題ありませんが、正確な評価はできません。

 睡眠を客観的に評価するには、脳波を調べるしか方法がありません。これまでの睡眠時の脳波測定は、入院した上で臨床検査技師などのスタッフによる検査を受ける必要がありました。しかし、2020年には、自宅で眠っているときの脳波を調べられる「在宅睡眠脳波計測サービス」が登場しています。誰でも手軽に、高い精度で自分の睡眠を評価できる時代がまもなくやってくるでしょう。

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